ネガティブからポジティブに変わる「底打ち感」を感じるまで失敗体験と向き合う
失敗体験からくるネガティブな感情が強い意志や自覚に変わることを「底打ち感」と呼んでいます。失敗から学ぶことのできない人は、この底打ち感を感じる前に現実逃避をするなどして逃げ出してしまいます。本人の中では強烈な痛みとなっていないので、また同じ失敗を繰り返してしまうのです。
逆に、自分が犯した失敗と直面して「底打ち感」を感じるからこそ、「このやり方をすれば失敗する」「この失敗をしたら、こうやって乗り切ることができる」といったノウハウもデータベースのように自分の脳内に蓄積されていきます。
これが、失敗体験を最大限に活用して、効果的な頭の使い方を身につけるポイントです。
私自身も、強烈なネガティブ体験によって、これまでとはまったく異なる思考法を身につけた人間の一人です。少年期に体験した父の倒産劇。あのときの辛い体験から目を背けず、「倒産なんて二度とごめんだ!」という強烈な自覚を持つに至ったからこそ、現在の進和建設の理念が生まれました。
とはいえ、もちろんその後のすべてが順風満帆なわけではなく、経営者となってからも、たくさんの失敗体験をしています。リーマン・ショックのときなどは、世界的な不況のあおりを受けて、7億円もの損失を出したこともあります。しかし、そのときも、「損失はしたけれど、無借金経営は維持できたのだから、良しとしよう」とか、「世界中が不況なのだから仕方がない」などと、私は少しも思いませんでした。
忸怩たる感情を味わい尽くし、「社員のためにも、必ずその損失は埋め戻す!」という意志と自覚を持つに至り、結果、進和建設は今も成長と発展を続ける会社となっています。
失敗体験ととことん向き合えば、人間は間違いなく成長・発展をすることができます。もし、次に失敗をしてしまったら、「チャンス!」と捉え、ぜひ「底打ち感」を感じるまでとことん向き合ってほしいと思います。