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本の紹介

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学びのあった本を紹介します。
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#子育て

【本紹介】自分の意見で生きていこう(著/ちきりん)

【本紹介】自分の意見で生きていこう(著/ちきりん)

 子育てには、悩みはつきもの。すくすく心身健康にさえ育って欲しいと思いつつも、「(できれば)勉強ができるように育ってほしい」「(できれば)スポーツができるように育ってほしい」と思うようになり、さらにはそれがエスカレートしていき、「xx (例:弁護士・医者・スポーツ選手)になって欲しい」等と、親である自分が達成できなかった夢を子供に託すようになる。

 もっとも大切なことは、「自分の人生を主体的に選

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【本紹介】走って、悩んで、見つけた事(大迫傑)

 正月に箱根駅伝を見た人も多いと思うが、己の限界に挑戦し、100%力を出し切ろうとするアスリートの姿には、心を打たれる。本書は、大迫さんの考えや生きる上での哲学のようなものが垣間見える文章で興味深かった。

 あまりにも外部から入ってくる情報が多い現代において、しっかり自分に向き合いたい、自分を深堀りしたいと思っている人には、学べる事が多い一冊かもしれない。ページ数が多いわけではないので、2時間も

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自分の「石」を磨き続ける

自分の「石」を磨き続ける

 年末年始。昨年を振り返る。読んだ本、書いたメモ、手帳、仕事のノート。平穏な心で振り返りをしないと、同じような間違いを繰り返す。コロナで空いた時間で自分がやり始めたのが、日英同時読書。和訳版がある英語原著を日英共に買って読み始める。子育て中という事もあり、昨年はこの一冊から始めた。そして、再び読み返してみて、新たな気づきもあった。

 自分に合ったやり方、学び方を知る事はとても大切だ。それがわかれ

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【本紹介】Brain 一流の頭脳④

【本紹介】Brain 一流の頭脳④

前回の続き。

今回のポイントは、ずばり「運動こそがすべて!」。

これでもかと言うほどに、著者のアンダース・ハンセン医師は強調する。もちろん、運動だけしていればいいという意味ではなく、身体を動かして心拍数を上げる事により、集中力が高まりやすくなり、勉強の効果が上がりやすくなるという意味だ。机に向かう時間は、十分に確保しなければならない。

現在の社会は、脳の進化の速度をはるかに凌ぐ速さで変化して

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【村上春樹】走ることについて語るときに僕の語ること

【村上春樹】走ることについて語るときに僕の語ること

 自己啓発なら、この一冊で十分。そんなある書評を読んだが、確かにそうかもしれない。運動が脳(特に創作活動)に与える影響について、小説家のことばにヒントがあるかもしれないと思い、本書を購入したが、思いの外、自分との向き合い方について、示唆を与えてくれる文章だった。

 ご本人も語られているように、小説家が、自らの私的な部分を開示することはあまりない。しかし本書はランニングという、村上さんの半生におい

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【本紹介】Brain Driven②ストレスとの向き合い方

【本紹介】Brain Driven②ストレスとの向き合い方

前回の続きです。

自分を守るためにも、"自分はどんな状況でどんなストレスを受けると、過剰なストレス反応が出るか"は、知っておいた方がいい。

過剰なストレスを感じる→前頭前皮質のdlPFCが働かなくなり、正常な判断力を失う(現実性の把握、エラー検知機能をモニタリングする機能が停止)

慢性的なストレスは、脳によくない

慢性的なストレス→コルチゾールが出続ける→海馬に悪影響で細胞を委縮させる(論

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【本紹介】Brain 一流の頭脳③

【本紹介】Brain 一流の頭脳③

・創造性の作り方 (前回の記事はこちら)

スタンフォード大学の研究チームが176名の被験者を対象に、創造性を測る数種類のテストを行った。屋内や屋外で歩いたり、座って体を休めたりといった様々な条件下で、被験者にテストを受けさせた。(実験のタイトルは、「アイディアを働かせよ、創造的思考におけるウォーキングの効能」)

新しいアイディアを出す能力において、歩きながらテストを受けた被験者の成績は、歩かず

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【本紹介】Brain 一流の頭脳①

【本紹介】Brain 一流の頭脳①

本書の著者は、スウェーデンの精神科医Anders Hansen氏。ノーベル生理学・医学賞の選考委員会がある名門カロリンスカ研究所にて医学を、ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得修めている。本書は、一般読者を対象に、極めて平易な文章で書かれているが、記述の裏づけ(参考文献、参考研究)はしっかりしており、何の論拠もない自己啓発本ではない事を最初にお断りしたい。論拠を深く知りたい場合には

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【本紹介】「超加速学習」(Jim Qwik著)

【本紹介】「超加速学習」(Jim Qwik著)

 幼少期(5歳)に、幼稚園で友達が引っ張った椅子から転げ落ち、鉄製のストーブに頭を打つ大事故に遭い、学習困難に陥った著者のJim Qwik氏(こちらのnoteでも紹介)。その学習の遅さを並々ならぬ努力で克服しようとし、かつ睡眠障害を抱え、1日の合計睡眠時間は90-120分だった著者の壮絶な青春時代。なんとか地元の大学に入るが、自分に絶望し、退学を決意する。その前に一度ウチのオヤジに会いなよと紹介さ

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「脳が冴える勉強法」(著・築山節)②

「脳が冴える勉強法」(著・築山節)②

前回の続き。

すぐに使える、「脳を活性化させる3つの方法」を紹介。

①体を動かす: 脳の表面中央付近(小脳: 運動を司る)に血液を送り込む。→脳全体に血液を巡らせて、脳を活性化させる。

②手を動かして簡単な作業をする(ex.勉強に入る前の5分机の上の片付け)

この作業により、側坐核が刺激され、軽い興奮状態が起こる。これを作業興奮(ドイツの精神科医エミール・クレペリンが発見)と言う。簡単な作

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「脳が冴える勉強法」(著・築山節)①

「脳が冴える勉強法」(著・築山節)①

以下、脳神経外科医である築山節さんの「脳が冴える勉強法」からの学び。

幼少期は①感覚系と感情系、②小学校中学年くらいから運動系、③一番最後に思考系を育てるとよい。

・感覚系:いろいろな音を聞かせたり、言葉を聞かせたり、いろいろな景色を見せたり、いろいろなものに触らせてあげる。感覚系を豊かに育てる事に幼少期の脳は適している。

・脳の覚醒度を上げる。そのような生活を意識する。「①運動」「②作業興

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(良著紹介)「PEAK」②:心的イメージと限界的練習の関係

本、特に良著を紹介する時には、全体の構成/ストーリー/文脈に配慮されての一冊の完成形があるので、抜粋は著者に取っては極めて危険もしくは不快な行為かもしれない。それを承知で、本書は今の自分にとって重要なテーマで1文1文が読み返す度に新たな示唆がある本であるため、抜粋をメモとして残す。

***

・十分な負荷を、十分な時間に渡って与えれば、身体はそれを楽にこなせるようになる。

・優れたパフォーマン

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(良著紹介)「PEAK」③:最終章の抜粋

特に自分が好きな最終章からの抜粋。

"Even those who don't reach the frontiers of field can still enjoy challenge of taking control of their own lives and improving their abilities. A world in which deliberate practice

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(良著紹介)「PEAK」④:限界的練習の実践

(良著紹介)「PEAK」④:限界的練習の実践

「いかに自分が取り組んでいる分野において、限界的練習(deliberate practice)」となる学習法を見つけられるか、またそれを実施できる環境を整えられるか?」本書を読んだあとの私の関心はそこにある。

最終章Homo Exercens (邦題:人生の可能性を切り拓く)において、物理学の授業において「限界的練習」を取り込んだ授業(実験では、先生として授業を受け持ったことのない大学院生が、限

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