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【本紹介】「超加速学習」(Jim Qwik著)

 幼少期(5歳)に、幼稚園で友達が引っ張った椅子から転げ落ち、鉄製のストーブに頭を打つ大事故に遭い、学習困難に陥った著者のJim Qwik氏(こちらのnoteでも紹介)。その学習の遅さを並々ならぬ努力で克服しようとし、かつ睡眠障害を抱え、1日の合計睡眠時間は90-120分だった著者の壮絶な青春時代。なんとか地元の大学に入るが、自分に絶望し、退学を決意する。その前に一度ウチのオヤジに会いなよと紹介された友人の父親との出会いがJim Qwik氏の人生を大きく変える。

https://m.youtube.com/watch?v=vpZ6j5f_Fsc&t=24s

今は、学習のスペシャリストになり、ビルゲイツに速読の方法を教え、シンギュラリティ大学に講座を持ち、ハリウッド俳優に効果的な台詞の覚え方を教えるまでになっている。

・本書を読む目的は、何?

 効率的な学習法(例:速読)を学ぶあなた自身の目的は、何だろうか?

 本書にも紹介されており、下記の動画(20:20~)でJim Qwikさん自身が紹介している一例がある。Jimさんは、ある女子学生( Freshman = 大学1年生)に速読方法を教えた。彼女は、30日で30冊の本を読み終えた。彼女のモチベ―ションは何だったのか、Jimさんは彼女に尋ねた。すると、実は、彼女の母親が末期がん(=terminate cancer)で余命60日だったことがわかった。医者も諦めていた母親も病状を改善すべく、彼女は医学書を読み漁ったのだ。読んで、読んで、彼女はついに母親の症状改善に効果のありそうな対処方法を探した。その治療法を実践し、何と彼女の母親の症状は改善したのだ。担当医は「奇跡が起こった」と言った。Jimさんの6ヵ月コースを修了した彼女は、その喜び(=Joy)で泣いていた。

以下、本書からの学び。

学習効果を最大化するには

①想起学習 (Active Recall)を行う

・勉強中の素材を復習する。→本を閉じ(音声や講義の録画なら停止して)、復習した範囲で思い出せることを全て書き出すか声に出して言う。→もう一度、素材を確認する。

このプロセスを数回繰り返せるだけの十分な勉強時間を確保しておこう。William R. Klemm氏の研究で「最も学習効果が高かったのは、最初の学習セッションで、対象範囲の反復勉強と強制的想起テストを最低4回連続で行った時だった」と言っている。

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②時間を空けて学習する

学習プラットホームSynapsのCEO James Gupta氏は、「学習で負荷がかかると、脳は筋肉のようにその刺激に反応し、神経細胞間の連絡を強化する。一定時間を空けて反復することで、この連絡はその都度さらに鍛えられる。その結果、知識を長く保持できるのだ。私の知る限り、間隔反復を使い始めた人は、それに絶対的な信頼を置いている。」間隔反復は、一定の間隔で復習する時、最も効果を発揮する。例えばAM中に1回、PM中に1回見直し、4日間繰り返したら、他の素材を同じ間隔で繰り返す。Active Recallと一緒にやると尚効果が上がる。

③心の状態と姿勢に気を配る

何かしているときの自分の状態は、その行動の成否に大きな影響を与える。嫌な事があった日のスピーチや試験は、全力が出せずうまくいかない可能性が高い。ココロの状態がパフォーマンスを下げるからだ。ポジティブで充実した状態であれば、同じ状況でも結果は良くなる可能性が高い。勉強も例外ではない。

姿勢も心の状態に関わる。姿勢を変える必要があれば、変えた後の集中力の度合いに注目しよう。正しい姿勢で座っているときは呼吸がしやすく、脳や身体に必要な酸素がスムーズに行き渡る。前かがみの姿勢は呼吸に関わる臓器を圧迫するので疲れてしまう。背筋を伸ばして笑顔を浮かべてポジティブな場面を創造して気分を前向きにしてから勉強に取り掛かろう。

④嗅覚を活用する

においは、記憶を脳の最前部に持ってくる働きにとても優れている。ローズマリーの香りは記憶力を改善するとわかっている。ペパーミントとレモンは集中力を高める。ペンシルバニア大学のジョーダン・ゲインズ・ルイス氏「外から入ってきたにおいは、まず嗅球という、鼻の奥から脳の底部に賭けて延びる組織で処理される。嗅球は偏桃体と海馬と直接繋がっている。どちらも感情や記憶と関わりが深い脳の領域だ。視覚、聴覚、触覚の情報はこの領域を通らない。だから嗅球は、他の感覚よりも感情や記憶を強く刺激するのだと思われる。」大事な試験前には、精油を手首に少量つけて勉強し、試験前に同じ精油(1-2滴)をつけるといい。他の人の迷惑にならないよう気をつけてね。

➄脳にいい音楽を聴く

カナダの心理学者E.グレン・シュレンバーグ博士発表の「覚醒度・気分仮説」は、音楽と気分の相関、気分と学習の相関を明らかにし、音楽を聴く事で学習能力を高められるとしている。また、音楽と学習の専門家であるクリス・ボイド・ブルワー氏はバロック音楽の学習効果への好影響について「バッハやヘンデルやテルマンが作曲したような, BPM(1分間の拍数)が50-80のバロック音楽は、集中するのに適した雰囲気を作り、学習者をα波の出る深い集中状態に導く。こうした音楽を聴きながら語彙の勉強、暗記、読書をすると、とてもはかどる」と述べている

⑥脳全体で話を聞く

人は、他人の話を聞いている時、驚くほどその話に集中していない。話を聞いた後に聞いた内容を教えてくれといえば、それがよくわかる。「HEAR」を意識して聞くとよい。"H": Halt (他の作業を中断する事) , "E": Empathy(共感して聞いてみる), "A": Anticipate(ワクワク好奇心をもって期待しながら聞く), "R": Review(聞いてからもう一度振り返る、メモを見返したり自分の言葉で置き換えて誰かに説明する)

➆脳に最適なノートの取り方をする

ノートの真ん中に線を引き、左半分で聞き取った内容を記録(Capture)し、右半分には気づきや自分の考えを書く(Create)。これをCapture & Createという。

読書が脳に良い理由。読書は、脳を鍛えるから。ハスキンズ研究所のケン・ピュー博士は「読書すると、視覚・言語・相関学習といった、それぞれ別の機能のために発達した脳の部位が特定の神経回路でつながる。これは脳にとても負荷がかかる事である。文章とは、脳で判断されたはずの大量の情報を簡易的に記したものなのだ」と言っている。また、読書は、記憶力を高め、注意力を高め、語彙力を養い、想像力を強化し、理解力を高めることがわかっている。

読書スピードを上げるには。①指でなぞって読む、②負荷をかける(xx秒で何ページ読めるかスピードを上げてみる)、③周辺視野を広げる(パッと見て目に入る文字数を増やす)、④本を立てて読む(テキストが水平だと不必要に目を緊張させる事がある。また前かがみの姿勢は体内の酸素の流れを悪くして疲れの原因になる)、⑤読む時間を20-25分で区切る、⑦読書を習慣にする、等がある。 全て試してみて、自分に合ったものを取り入れて、日々改良していこう。

(補足) Jim Qwik氏のおすすめ本

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