藤 繁和(旭出版企画)

編集者・ライター・カメラマン。東京ガスの建築情報誌「LIVE ENERGY(ライブエナ…

藤 繁和(旭出版企画)

編集者・ライター・カメラマン。東京ガスの建築情報誌「LIVE ENERGY(ライブエナージ)」に連載されていた建築家・建築史家・東京大学名誉教授 藤森照信先生「現代建築考」担当。2001年日本大学大学院博士後期課程修了、博士(工学)。一級建築士。

記事一覧

[こぼれ話11(最終回)]15年間の取材旅で、一番印象的で一番目指したいと思った藤森先生の一つの言葉

藤森先生との取材旅の中で、色々なお話を伺いましたが、一番印象的な言葉は何?と言われたら、いの一番にあげたくなる言葉があります。 沖縄に取材に行った帰りの飛行機を…

[こぼれ話10]下村さんのフィルム写真に対する強い想い

下村さんが愛用するカメラは中判カメラでした。 カシュッ、カチカチカチカチ、カシュッ、カチカチカチカチ、カシュッ、、、、シュルシュルシュル…と巻き上げたら、皮のカ…

[こぼれ話9]下村純一さんの仕事を間近で見て考える「写真家とは」

「藤森照信の現代建築考」の写真は、すべて建築写真家・下村純一さんの撮り下ろしです。 X(旧Twitter)とかでお名前を検索してみると、下村さんの写真ファンもチラホラ見…

[こぼれ話8]藤森先生はレーモンドがお好き?

「藤森照信の現代建築考」には、45の建築作品が取り上げられています。 建築家別に集計をしてみると、一番多いのがアントニン・レーモンド。 取材候補だった八幡製鐵大谷…

[こぼれ話7]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築②

前回のこぼれ話で書いたように、藤森先生の現代建築考で取材できなかった建築が2つありました。 一つは、菊竹さんの都城市民会館。 そしてもう一つが、A.レーモンドの「…

[こぼれ話6]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築①

そろそろお手元に新刊「藤森照信の現代建築考」が届いた頃でしょうか? ご購入いただけましたか?? さて、藤森先生の「現代建築考」は、全部で45の建築について先生が原…

[こぼれ話5]藤森先生と乗った、人生初の恐ろしい乗り物!?

15年続いたこの企画で一番怖かった取材があります。 2010年くらいに、藤森先生から吉阪隆正さんの「黒沢池ヒュッテ」を取材したいとリクエストを受けました。 黒沢池ヒュ…

[こぼれ話4]藤森先生が取材後に連れて行ってくれた、ただ一つのお菓子屋さん。

先日、「現代建築考」の写真撮影をしてくださった建築写真家の下村さんに久々にお会いしました。 その時に、新刊の宣伝に思い出話や裏話を書き始めた話をしたところ、下村…

[こぼれ話3]元・藤森旅館(仮)がオープン!

元・藤森旅館(仮)、現・小泊Fujiが8月20日にオープンしたそうなので、こちらの話を先に書きたいと思います。 藤森先生の建築ファンの中には、藤森建築を体験したい人が…

[こぼれ話2]藤森先生の原稿は手書きでファックスで

連載の初期、藤森先生の原稿は、原稿用紙に直書きしたものがFAXで送られてきていました。 原稿用紙は20字詰め。 誌面のレイアウトデザインは16字詰めだったので、下から4…

[こぼれ話1]なんで藤森先生が東京ガスで連載を?!

最初の投稿でも書いたように、藤森先生の「現代建築考」は、東京ガスの都市エネルギー事業部の建築情報誌で連載をしていました。 都市エネルギー事業部というのは、都市の…

2023.8.15発売「藤森照信の現代建築考」ご紹介

旭出版企画の藤(トウ)と申します。 東京ガス 都市エネルギー事業部にて1981年から2017年まで発行していた建築情報誌「LIVE ENERGY(ライブエナージ)」の企画制作を担当…

[こぼれ話11(最終回)]15年間の取材旅で、一番印象的で一番目指したいと思った藤森先生の一つの言葉

[こぼれ話11(最終回)]15年間の取材旅で、一番印象的で一番目指したいと思った藤森先生の一つの言葉

藤森先生との取材旅の中で、色々なお話を伺いましたが、一番印象的な言葉は何?と言われたら、いの一番にあげたくなる言葉があります。

沖縄に取材に行った帰りの飛行機を空港のロビーで待っているときだったと思います。
何かのスケジュールの話になったことがありました。
先生が一瞬考えるふうになって、『今日は何曜日だっけ?』とひと言。
「水曜日です」と誰かがそれに答えたあと、『いやぁ、困るよね。曜日感覚がなく

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[こぼれ話10]下村さんのフィルム写真に対する強い想い

[こぼれ話10]下村さんのフィルム写真に対する強い想い

下村さんが愛用するカメラは中判カメラでした。
カシュッ、カチカチカチカチ、カシュッ、カチカチカチカチ、カシュッ、、、、シュルシュルシュル…と巻き上げたら、皮のカバンの中から銀色のフィルムの袋を開けて、青と白の帯のデザインのブローニーを出して、カメラのおしりから装填します。
僕が初めて担当した第四回目の取材の時から最後までずっと変わらない作業。
きっと、最初の大学セミナーハウス取材の時から、いえ、そ

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[こぼれ話9]下村純一さんの仕事を間近で見て考える「写真家とは」

[こぼれ話9]下村純一さんの仕事を間近で見て考える「写真家とは」

「藤森照信の現代建築考」の写真は、すべて建築写真家・下村純一さんの撮り下ろしです。
X(旧Twitter)とかでお名前を検索してみると、下村さんの写真ファンもチラホラ見かけます。

写真家・下村さんの起用は、藤森先生のご指名でした。
先生に聞いたわけではないですが、藤森先生が一緒にお仕事をする建築写真家は3人いるとのウワサ。
その1人が下村さん、ということだそうです。

隣でおしゃべりをしながら撮

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[こぼれ話8]藤森先生はレーモンドがお好き?

[こぼれ話8]藤森先生はレーモンドがお好き?

「藤森照信の現代建築考」には、45の建築作品が取り上げられています。

建築家別に集計をしてみると、一番多いのがアントニン・レーモンド。
取材候補だった八幡製鐵大谷体育館を1つ足せば、頭ひとつ飛び抜けます。
ご存知のように、レーモンドはF.L.ライトが帝国ホテルを建設するときに設計助手として来日した建築家で、その仕事を離れた後も日本で活躍し、著名な日本の建築家たちに多大な影響を与えた方です。

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[こぼれ話7]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築②

[こぼれ話7]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築②

前回のこぼれ話で書いたように、藤森先生の現代建築考で取材できなかった建築が2つありました。

一つは、菊竹さんの都城市民会館。
そしてもう一つが、A.レーモンドの「八幡製鐵大谷記念体育館」でした。

<外観写真はコレ>http://sisekib.kitahistory.net/yahichouootanitaiikukan01c.jpg

先生からリクエストを受けて、取材先を探しましたが、現存し

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[こぼれ話6]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築①

[こぼれ話6]藤森先生からリクエストいただいたけれども、取材できなかった唯2つの建築①

そろそろお手元に新刊「藤森照信の現代建築考」が届いた頃でしょうか?
ご購入いただけましたか??

さて、藤森先生の「現代建築考」は、全部で45の建築について先生が原稿を書かれています。
取材先は、先生からリクエストをいただいて、僕らから所有者の方にアプローチして取材オファーをしてました。

そんな中、実は先生からリクエストをいただいたけれども、取材できなかった建築が2つありました。
(言っていいの

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[こぼれ話5]藤森先生と乗った、人生初の恐ろしい乗り物!?

[こぼれ話5]藤森先生と乗った、人生初の恐ろしい乗り物!?

15年続いたこの企画で一番怖かった取材があります。

2010年くらいに、藤森先生から吉阪隆正さんの「黒沢池ヒュッテ」を取材したいとリクエストを受けました。
黒沢池ヒュッテは、新潟・妙高にある山荘です。

おそらく山荘案内か何かがネット検索でヒットしたんだと思います。
それで所有者の方に取材依頼の電話をすることはできました。
でも所有者のUさんは「来るなら雪がある時に見てほしい。それがこの山荘の本

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[こぼれ話4]藤森先生が取材後に連れて行ってくれた、ただ一つのお菓子屋さん。

[こぼれ話4]藤森先生が取材後に連れて行ってくれた、ただ一つのお菓子屋さん。

先日、「現代建築考」の写真撮影をしてくださった建築写真家の下村さんに久々にお会いしました。
その時に、新刊の宣伝に思い出話や裏話を書き始めた話をしたところ、下村さんから『そういえばさ…』と思い出話にのぼったのが、栗きんとんのお話。

馬籠宿にある谷口吉郎の『藤村記念堂』を取材した後、帰りのタクシーの中で、どういう流れからか栗きんとんの話になりました。
この日、JR中津川駅からタクシーで現地へ行って

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[こぼれ話3]元・藤森旅館(仮)がオープン!

[こぼれ話3]元・藤森旅館(仮)がオープン!

元・藤森旅館(仮)、現・小泊Fujiが8月20日にオープンしたそうなので、こちらの話を先に書きたいと思います。

藤森先生の建築ファンの中には、藤森建築を体験したい人が多いと思います。
そんなこと言わなくても、すでにいろんな作品をご覧になりに訪れていらっしゃるかとは思いますが、、。

でも、藤森先生の作品に、これまで宿泊施設って、なかったんですよね。
ところがどっこい、何年もかけて、先生に宿泊施設

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[こぼれ話2]藤森先生の原稿は手書きでファックスで

[こぼれ話2]藤森先生の原稿は手書きでファックスで

連載の初期、藤森先生の原稿は、原稿用紙に直書きしたものがFAXで送られてきていました。
原稿用紙は20字詰め。
誌面のレイアウトデザインは16字詰めだったので、下から4文字くらいのところに横線を引いて、原稿を書かれていました。

ただ、書いたまま送られてくるのではなくて、編集記号入り。
途中で文章が追加されていたり、順序を逆にするという指示が入っていたり。
原稿を書いている途中でそういう文章が書い

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[こぼれ話1]なんで藤森先生が東京ガスで連載を?!

[こぼれ話1]なんで藤森先生が東京ガスで連載を?!

最初の投稿でも書いたように、藤森先生の「現代建築考」は、東京ガスの都市エネルギー事業部の建築情報誌で連載をしていました。
都市エネルギー事業部というのは、都市のビジネス分野のガス機器、都市ガス導入の営業を担当する部署です。
そんな部署でなぜ建築情報誌『LIVE ENERGY』(ライブエナージ)を制作していたのか?
最初にそこから書かせてください。

LIVE ENERGYは、1981年に創刊された

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2023.8.15発売「藤森照信の現代建築考」ご紹介

2023.8.15発売「藤森照信の現代建築考」ご紹介

旭出版企画の藤(トウ)と申します。
東京ガス 都市エネルギー事業部にて1981年から2017年まで発行していた建築情報誌「LIVE ENERGY(ライブエナージ)」の企画制作を担当していた会社の編集者です。
この度、本誌で建築家・建築史家・東京大学名誉教授の藤森照信先生が15年間連載していた「現代建築考」が一冊に再構成され、単行本として発行されました。
それを記念して、取材の手配・帯同・記事の編集

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