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[こぼれ話2]藤森先生の原稿は手書きでファックスで


連載の初期、藤森先生の原稿は、原稿用紙に直書きしたものがFAXで送られてきていました。
原稿用紙は20字詰め。
誌面のレイアウトデザインは16字詰めだったので、下から4文字くらいのところに横線を引いて、原稿を書かれていました。

ただ、書いたまま送られてくるのではなくて、編集記号入り。
途中で文章が追加されていたり、順序を逆にするという指示が入っていたり。
原稿を書いている途中でそういう文章が書いてあったりするので、原稿用紙にそって数える行数はいつもマチマチ。

でもWordに打ち直してみると、大体掲載分量ピッタリになっている。
見た目は分量が多かったり少なかったりしても、前後3行くらいには納まっていたと思います。
ちゃんと必要な行数を数えていらっしゃったのか、感覚的にこのくらいなら納まるというのがあったのか。。

ちなみに、先生の文字はだいぶ達筆で、最初の頃は判読できない文字がいくつかありました。社内でもクイズ大会をしていました。
とはいえ、年数を重ねると、クセを感覚的に掴めてきたのか、読み取り上級者になっていきましたが笑。

当時の上司からは、「数年後に価値がつくかもしれないから直筆原稿を保存しておけ」という話もありましたが、直筆原稿といえど、FAXを通して送られてきた原稿はコピーに過ぎないわけで、価値は高くならないだろうと思って、指示を無視してました。
今思えば、こういう時のネタに使えましたね。そういう意味では、取っておけば良かったなと少々後悔ですw

なお、連載後半は、word原稿がメールに添付されて届くようになりました。
wordの画面は、原稿用紙デザインを使用されていました。



「藤森照信の現代建築考」表紙

藤森照信の現代建築考

文=藤森照信、撮影=下村純一 出版=鹿島出版会
2,600円(+税10%)
ISBN:9784306047013 体裁:A5・208頁 刊行:2023年8月

日本のプレ・モダニズムからモダニズムへの流れを、ライトから丹下健三、そして現代の第一線で活躍する建築家たちの作品を通して概観する。
明治初期に開拓した日本の建築という新しい領域にモダニズムが如何にして浸透してきたのか。日本の建築界は近代という激変の時代に、コルビュジエやバウハウスの影響を受けながらも対応してきた。時代を代表する建築家たちの45作品を通してその特質を考察する。

目次

まえがき:藤森照信

Group 1 モダニズムに共通する住まいの原型をつくり続けた建築家たち
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ、フランク・ロイド・ライト、アントニン・レーモンド

Group 2 戦後の日本建築界をおおいに豊かにした建築家たち
本野精吾、村野藤吾、堀口捨己、今井兼次、白井晟一

Group 3 造形力、力動性と民族性、記念碑性を接合させたコルビュジエ派の建築家たち
前川國男、谷口吉郎、吉村順三、奥村昭雄、内田祥哉、丹下健三、片岡献、松村正恒、池辺陽、ジョージ・ナカシマ、吉阪隆正、浅田孝、ほか

Group 4 戦後モダニズムにおけるバウハウス派とコルビュジエ派の建築家たち
大高正人、菊竹清則、磯崎新、黒川紀章、仙田満、山崎泰孝、象設計集団、伊東豊雄、内藤廣、高松伸、藤森照信、ほか

取材後記 ─ あとがきにかえて:下村純一


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https://kajima-publishing.co.jp/books/architecture/v2t7-5ee3c/


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