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[こぼれ話3]元・藤森旅館(仮)がオープン!


元・藤森旅館(仮)、現・小泊Fujiが8月20日にオープンしたそうなので、こちらの話を先に書きたいと思います。

藤森先生の建築ファンの中には、藤森建築を体験したい人が多いと思います。
そんなこと言わなくても、すでにいろんな作品をご覧になりに訪れていらっしゃるかとは思いますが、、。

でも、藤森先生の作品に、これまで宿泊施設って、なかったんですよね。
ところがどっこい、何年もかけて、先生に宿泊施設としての建築設計をご依頼されてきて、叶えた方がいます。

それが「小泊Fuji」さんです。
僕の名前は「藤」ですが「ふじ」ではなく「とう」と読みまして、こちらの旅館さんとは無関係であることは、先に言っておきます(笑)。

小泊Fujiさんでは、このプロジェクトの実現に向けて、クラウドファウンディングを実施されていました。

自分もそのクラウドファンディングで、「焼き杉ワークショップ」に参加し、藤森建築完成までの過程の一端を体験しました。
「焼き杉」というのは、藤森先生が作品の外壁材の仕上げに用いられている手法で、杉板の表面を焼くことで炭化させ、腐食に強い材にする伝統的な手法です。
(どっかのサイトの説明によれば、ほぼほぼメンテナンスフリーなんて書いてありましたが、すごいですね!)

Sumikaプロジェクトで作られていた住宅でも採用されていて、その時に知ってから、どんなもんかな〜と記憶の片隅に残っていたものですから、今回のクラウドファウンディングを見つけて、昨年の12月にのこのこ参加しに長野まで行ってきました。

「焼き杉」は、杉の板を三角に組んで、崖地に立てかけて、下から火を放り込んで、板の表面を焼いていきます。
最初に煙突効果でモクモク、パチパチと内側が焼けていきます。
いい塩梅に焼けたら三角形を崩して水をぶっかけて冷やし置きます。
参加は一日がかりでしたが、屋根材の銅板たたきもさせてもらって、楽しい体験ができました。


三角に組まれた杉板
崖地に立てかけて下に置いた新聞紙に火をつけると…
パチパチ音を立てながら火と煙が立ち上がります
壮観な焼き杉風景
焼けたらおろしてジョウロで水を満遍なくかけてから冷やします
焼いた杉には参加者それぞれ名前を書かせてもらいました
銅板叩きも体験させてもらいました
関西模型写真(実物は小泊FujiさんのWebサイトでご覧ください)



小泊Fujiの場所は、長野と山梨の境界くらいにあるそうです。

宿泊代は、僕からするとちょっとお高めですが、なかなかご体験できない藤森建築泊ですから、良かったら泊まってみてください。
どこかの壁に僕が焼いた杉と、どこかの屋根に僕が叩いた銅板があるかもしれません。


なお、「藤森照信の現代建築考」には、藤森先生の建築作品も2件収録されています。
大分の「ラムネ温泉」も焼き杉を採用した作品。
手法についてまでは触れられていませんが、藤森先生の焼き杉採用の過程がご理解いただける・・・かもしれません。


小泊Fuji
https://kodomari-fuji.jp/index.html



「藤森照信の現代建築考」表紙

藤森照信の現代建築考

文=藤森照信、撮影=下村純一 出版=鹿島出版会
2,600円(+税10%)
ISBN:9784306047013 体裁:A5・208頁 刊行:2023年8月

日本のプレ・モダニズムからモダニズムへの流れを、ライトから丹下健三、そして現代の第一線で活躍する建築家たちの作品を通して概観する。
明治初期に開拓した日本の建築という新しい領域にモダニズムが如何にして浸透してきたのか。日本の建築界は近代という激変の時代に、コルビュジエやバウハウスの影響を受けながらも対応してきた。時代を代表する建築家たちの45作品を通してその特質を考察する。

目次

まえがき:藤森照信

Group 1 モダニズムに共通する住まいの原型をつくり続けた建築家たち
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ、フランク・ロイド・ライト、アントニン・レーモンド

Group 2 戦後の日本建築界をおおいに豊かにした建築家たち
本野精吾、村野藤吾、堀口捨己、今井兼次、白井晟一

Group 3 造形力、力動性と民族性、記念碑性を接合させたコルビュジエ派の建築家たち
前川國男、谷口吉郎、吉村順三、奥村昭雄、内田祥哉、丹下健三、片岡献、松村正恒、池辺陽、ジョージ・ナカシマ、吉阪隆正、浅田孝、ほか

Group 4 戦後モダニズムにおけるバウハウス派とコルビュジエ派の建築家たち
大高正人、菊竹清則、磯崎新、黒川紀章、仙田満、山崎泰孝、象設計集団、伊東豊雄、内藤廣、高松伸、藤森照信、ほか

取材後記 ─ あとがきにかえて:下村純一


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