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風刺画から見る中東情勢

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ロシアを”悪”と批判する我々は”正義”か? 風刺画から見る中東情勢#38

ロシアを”悪”と批判する我々は”正義”か? 風刺画から見る中東情勢#38

ロシア・ウクライナ戦争が始まり早3か月。

日本や欧米のメディア報道では、ロシアは”悪”、ウクライナとそれを支援する欧米諸国は”正義”という勧善懲悪の2項対立で語られることも少なくないのではないでしょうか。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、2022年5月時点で3000人超の民間人が犠牲になっており、約644万人もの人々がウクライナ国外へ避難しています。

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フーシ派によるUAEの攻撃について 風刺画から見る中東情勢#37

フーシ派によるUAEの攻撃について 風刺画から見る中東情勢#37

今年に入ってからイエメンのフーシ派からUAEやサウジに対する攻撃が頻発に発生している。またフーシ派に対する報復攻撃も行われている。

1月17日:フーシ派がUAEアブダビの空港と石油施設にドローン攻撃。

1月21日:サウジ/UAEがイエメンの北部サーダ州を空爆。

1月23日:フーシ派がサウジ南部に弾道ミサイル発射。

1月24日:フーシ派がUAEアブダビに向けて2発の弾道ミサイルを発射

1月

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エジプト革命から11年、、、風刺画から見る中東情勢#36

エジプト革命から11年、、、風刺画から見る中東情勢#36

2011年1月25日にエジプトで当時のムバラク政権に対する大規模な反体制運動が起こりました。これはチュニジアをはじめとする当時のアラブ諸国で生じていた所謂 「アラブの春」運動でエジプトでは最終的にムバラクの長期独裁政権が終了しました。

これを記念して毎年1月25日前後にはエジプト革命にまつわる風刺画がSNSやニュースサイトでよく見かけます。

11年が経った今、エジプト革命について描かれる風刺画

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タリバンが首都制圧後、最初に行ったこと。 風刺画から見る中東情勢#35

タリバンが首都制圧後、最初に行ったこと。 風刺画から見る中東情勢#35

アフガニスタンの情勢にまつわる風刺画を前回紹介しましたが、今回もいくつか風刺画を紹介します。

出典:Twiter/ @aleqtisadiah / 20210901

サウジのAleqtisadiah紙掲載のFahad Al-Khamisi氏の作品。

「アフガニスタン」と書かれた爆弾。それに火をつけるのはアメリカ、自由の女神の松明。そして、逃げ去る、、。

出典:Twitter / @aaws

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『ランボー6 怒りのタリバン』(2021) 風刺画から見る中東情勢#34

『ランボー6 怒りのタリバン』(2021) 風刺画から見る中東情勢#34

『ランボー3 怒りのアフガン』(1988)のラストシーン、米兵ランボー(シルベスター・スタローン)1人 vs ソ連兵1000人(戦車+ヘリ)。

そんなランボー絶体絶命の境地に助けに現れたのは、アフガン・ゲリラ(ムジャーヒディーン)たち。。馬に乗った彼らが地平線にズラッと並んで現れたシーンは、非常に胸が高まる。

ランボーはアフガン・ゲリラ(ムジャーヒディーン)と協力し、ソ連兵を壊滅させる。そんな

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国際女性の日 風刺画から見る中東情勢#33

国際女性の日 風刺画から見る中東情勢#33

3月8日は「国際女性の日(国際女性デー)」であり、それに関する風刺画が多く目につきました。アラブに限らず、世界で活躍する女性が描かれています。

出典:Al Arabi Al Jadeed 2021.3.8 / Emad Hajjaj

ロンドンのカタール系報道局Al Arabi Al Jadeed紙に掲載された風刺画家Emad Hajjaiさんの作品。タイトルは「美しき女性の世界(宇宙)」。描か

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【ドバイで流行】 ほ乳瓶で飲むコーヒー  風刺画から見る中東情勢#32

【ドバイで流行】 ほ乳瓶で飲むコーヒー  風刺画から見る中東情勢#32

昨日、目を疑うような情報が飛び込んできました。

なんとドバイで哺乳瓶(ほ乳瓶)で飲み物を飲むことが流行っているようです。

ミルクやジュースだけでなく、コーヒーまでもをほ乳瓶で飲むようです。

またこれはドバイの1 Million Cafeというお店で提供されているとのこと。

ただもともとは1991年のフランスでほ乳瓶でドリンクを提供するお店があったようで、それに由来するようです。

夜7時に

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パレスチナ、船頭多くして船山に上る 風刺画から見る中東情勢#31

パレスチナ、船頭多くして船山に上る 風刺画から見る中東情勢#31

先日、来たるパレスチナ選挙に関するNote記事を書きましたが、引き続き最近も同件に関する風刺画がよく目につきます。

そんな中でアイデアが似ている(被っている)風刺画を見つけましたので、今回はそれらを取り上げたいと思います。

なお、前回の記事は下記の通り。

15年ぶりにパレスチナの議長選が行われるということ。また注目が集まっているのは、この選挙は対立しているファタハとハマースの和解や統一に繋が

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「あぁ神よ、悪を悪で滅したまえ!」 風刺画から見る中東情勢#30

「あぁ神よ、悪を悪で滅したまえ!」 風刺画から見る中東情勢#30

先日、2021年2月25日にオマーン 湾でイスラエルの自動車船が爆発するという事件がありました。

イランからのミサイル攻撃が原因ではないかと言われております。

イスラエルのネタニヤフ首相も、イランに嫌疑をかけています。

2019年にもオマーン湾含むホルムズ海峡付近では、イランが関わっているとみられるきな臭い事件が起きていました。下記でまとめてあります。

そこで、今回のイスラエルとイランのご

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【中東の反応】ハーショクジー氏殺害に関するCIAレポート 風刺画から見る中東情勢#29

【中東の反応】ハーショクジー氏殺害に関するCIAレポート 風刺画から見る中東情勢#29

先日、ハーショクジー氏*の殺害に関するCIAのレポートが公表されました。

*なおカショギ氏、ハーショグジー氏など日本語の表記はいろいろあります。

そのCIAのレポートでは、ハーショクジー氏の殺害はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(通称:MBS)の「承認のもと」実行されたことが明らかにされました。

ハーショクジー事件は2年前ですが、事件から1年後の風刺画も以前まとめました。

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ヨルダン、マスク着用義務違反者への罰金金額改定 風刺画から見る中東情勢#28

ヨルダン、マスク着用義務違反者への罰金金額改定 風刺画から見る中東情勢#28

ヨルダンではマスク着用等の公衆衛生措置に違反した者に対して、20~50ヨルダンディナール(JD)の罰金を設けていましたが、

2021年2月25日から、コロナ感染者の増加に伴い警戒レベルを引き上げ、また罰金金額を60~100JDに改定するようです。

現在の為替レートが1JD=約150円ということで、9,000円から15,000円の罰金に相当します。

参照:在ヨルダン日本国大使館からのメール(た

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アルジェリア、2年の時を経て民衆は再び外へ飛び出した。 風刺画から見る中東情勢#27

アルジェリア、2年の時を経て民衆は再び外へ飛び出した。 風刺画から見る中東情勢#27

2年前の2019年2月22日、アルジェリアで20年間大統領であったブーテフリカに対しての抗議運動が始まり、その年の4月にブーテフリカは大統領の地位から退きました。

またその年の4月に続いてスーダンのバシール大統領も失脚したことから、これらの独裁政権の崩壊の流れは第二ののアラブの春ではないかと当時話題になっていました。

そんなアルジェリアの前大統領ブーテフリカが失脚してから2年がたった今週の20

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中東のクラブハウス事情 風刺画から見る中東情勢#26

中東のクラブハウス事情 風刺画から見る中東情勢#26

最近日本でも話題のアプリの「Clubhouse(クラブハウス)」ですが、中東でも流行っているようです。

そんな中、興味深い風刺画を見つけました。

出典:Sa'ad al-Muhandi@S3d_78 2021.2.24

クラブハウスの部屋の名前は「東洋女性の解放」ですが、、、

参加者はみな男性で、全員ミュートにしています。

そのテーマに関しては、誰も発言をしない。

よって議論も進まない

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SNSと難民支援、それは偽善か。 風刺画から見る中東情勢#22

SNSと難民支援、それは偽善か。 風刺画から見る中東情勢#22

先日SNSで雪が積もったエルサレムの写真を見かけました。

白銀の景色の中での黄金のドームは美しく、ついついいいねを押してしまいます。

一方で、厳しい冬の寒さの中、難民キャンプで厳しい生活を送っている人々のことを表現した「難民と雪」という風刺画も見かけました。

数年前パレスチナ西岸を訪れた際に難民キャンプとして紹介されたのは、難民2世3世が住む集合住宅のような場所でありました。よって現在パレス

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