見出し画像

SNSと難民支援、それは偽善か。 風刺画から見る中東情勢#22

先日SNSで雪が積もったエルサレムの写真を見かけました。

白銀の景色の中での黄金のドームは美しく、ついついいいねを押してしまいます。

一方で、厳しい冬の寒さの中、難民キャンプで厳しい生活を送っている人々のことを表現した「難民と雪」という風刺画も見かけました。

数年前パレスチナ西岸を訪れた際に難民キャンプとして紹介されたのは、難民2世3世が住む集合住宅のような場所でありました。よって現在パレスチナで下図のようないわゆる難民キャンプのような簡易テントで生活している人々がどれほどいるかは把握しておりませんが、この図のリンク先のタグに「パレスチナ難民」「シリア難民」「レバノン 」「トルコ」「ヨルダン」といったものがあることからも、それらの国に難民の方々がいること、また彼らが厳しい冬の生活を耐えているということをこの図は主張しているのだと思います。

画像1

出典:Al Arabi Al jadeed 2021.2.18

また今年は冬の厳しさだけではなく、コロナ禍による生活の厳しさもあります。下図は「難民とコロナ」というタイトルの風刺画です。

こちらの図のタグは「シリア難民」のみでありますため、具体的にシリアの状況を描いているということでしょうか。

画像2

出典:Al Arabi Al Jadeed 2021.2.12

調べていたら下記のような記事を見つけました。

Al Arabi Al Jadeed: シリア北部のテント難民は緊急支援を必要とする(2021.1.19)

シリア北西部の145の難民テントが大雨により被害を受けたということです。またこの記事によるとシリア北部には49,000人の難民、また1304のテントがあるということでした。

*ただしこの記事では難民(Lajiun)という単語ではなく「移民、難民(Najihun)」という単語が使用されております。

ちなみにネットニュースにおけるこれらの単語の使い分けは何を意味しているのでしょうか? 他にも「移住者(Muhajirun)」という単語もありますよね? 世界難民の日は「移住者(Muhajirun)」が使われているのをさっき他の記事でみました。

これらの違いについても、まとめておく必要がありますね。

画像3

出典: Al Arabi Al Jadeed 2021.1.22

話は戻り、この上の風刺画のタイトルは「シリア北部のテントの状況」という風刺画です。大雨で洪水になった様子は確かに写真で見たように、泥と混ざって茶色くなっているのですが、なんだか上の図は「地獄」を暗示しているようにも思えます。この状況に諦めかけている男性と、一方でその上に乗る子供は沈みゆくテントの状況を把握できていないように見えますね。

この他にも、難民に関する風刺画はすぐに次から次へと見つかるように、たくさんあります。その多くが難民の生活の厳しさを訴えたものが多いです。

そんな中で今日もっとも引っかかったのは、次の風刺画です。

画像4

出典:Al Arabi Al Jadeed 2021.2.20

タイトルは「オンライン支援」です。

難民キャンプの人々にコインが差し出されるその様子を、インスタグラム、You Tube、Facebook、Twitterのカメラが捕らえています。コインを差し出す側と受け取る側の服装も対照的ですね。袖までなんですが、それでも十分にわかるくらいに。(何か具体的な最近あった事例がもとになっているのでしょうか?)

自己顕示としての寄付、映えのための寄付、自己プロデュースとしての寄付、イメージ戦略としての寄付、などなど、、、

右側が如何にもお金持ちといった手で、両者があまりにも対照的であったため、最初は差し出す側を批判している図であるのかなとも考えました。そして、たとえ「映えのための寄付」であったとしてもそれは批判されることなのかな?と。そういった意味で引っかかった図であります。とはいえ、おそらく批判しているとまで言えないかもしれません。

いろいろと考えましたが今は、一方が本当に支援を必要としている人たち、もう一方がSNSでの映えのために寄付をする人たち、お金の価値がこれほどまでに両極端である現在の世界の様子(構造)を描写した風刺画であると捉えています。

それでは。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?