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『とある金夜』#1 道具なしのSM短編小説


こんにちは。こんばんは。
ジャンルとしては短編の官能小説かと思います。
純愛の少しだけSM寄りな官能小説です。
特別な道具を必要としないコミュニケーションによるSM=「道具なしのSM」を書いていきたいと思います。

登場人物は「彼」と「彼女」で名前は特に付けていません。
視点は彼・彼女を作品か場面によって適度に切り替えるつもりです。
一応サムネ画像で分かるようにしています。
青「彼」視点
赤「彼女」視点
緑「混合」視点 なのでご参考まで。


SMといってもとてもソフトなので、誰かの ” したいな ” と思った時の引き出しになれたりしたら幸いです。
ではでは。












『とある金夜』第一話




金曜の夜。
仕事終わりのデート。

彼は彼女と話しながらふわふわと上の空で歩いていた。

頭の中は隣を歩く彼女とどうやって”する”のか、そればかりを考えていた。

仕事の疲れが少し残っていたが、頭の中は”したい”という気持ちでいっぱいだった。

そのせいで体もなんだかソワソワするのが分かった。

気持ち早歩きなせいなのか、鼓動が早くなるのを感じながら古アパートへと帰ってきた。

今夜は彼女が泊まってくれる。

部屋に入ると彼はジャケットをハンガーにかけ、第一ボタンを外してネクタイを緩めた。

横を見ると彼女も慣れたようにいつもの場所に荷物を置き、彼に並んでジャケットを脱ぎ始めていた。

彼女のブラウスにはうっすらと下着が透けている。


それを見て彼は我慢するのをやめた――。



電球色のスタンドライトだけを残し、すぐ横のスイッチで部屋の電気を消した。

同時にハンガーをかけ終えた彼女の腕をつかむと、自分の方へ彼女のカラダをグッと引き寄せた。

腕をつかまれたその力で悟ったのか、彼女のカラダはそのまま彼の両腕に素直におさまった。


彼女は少しうつむいたまま胸に顔をうずめてきた。

そして深く息を吸ったかと思うと一言、息を漏らすように言った──。




「好き……」

耳に染み込んできたその一言に、彼の体は一気にこたえた。

片方の腕を肩に、もう片方は腰にまわして、手のひらと腕全体で彼女のカラダを強く抱きしめた。


彼女のくびれた腰にまわした腕が、まるで型でも取ったかの様にぴったりと合わさり心地いい。


首をかしげて彼女の首元へ鼻先をあて、首と襟元のあいだから彼女の匂いを深く吸った。

彼女の匂いを嗅ぐといつも自然と心の力が抜けて気持ちがやわらぐのが分かる。

そのまましばらく、彼は深く息だけをして彼女を抱きしめた……。


ぎゅっと強く抱きしめてから再び向き合うと、目があった二人の口から「大好き」と言葉が漏れた。

そして再び、彼の耳に彼女の一言が染み込んできた。

「ねぇ……したい……」

その言葉に彼の体は反射的にこたえ、彼女の腰から服をめくって手を差し込んだ……。


その手を服と肌の間を滑らせて彼女の少し汗ばんだ背中にあてて自分の体に寄せると、もう片方の手で彼女の首後ろを掴んでさらに引き寄せ──

キスした──。

キスしたままの口を少しだけ開けると、それを感じとったのか彼女も口を少し開いた。

二人は唇を離さないまま舌先を合わせた。


合わせた舌を絡ませながら、彼は彼女の背中にあてていた手で腰を掴んだり、ブラの下の膨らみに沿わせたり、また腰にあてたりしながら愛おしく彼女の体を撫でた。

そうしながら二人の舌はもっと絡んでいた。


彼は撫でていた手をサッと彼女の胸元にまわすと、胸の膨らみをブラの上から手のひら全体で鷲掴みにした。

その手と彼女の首後ろを掴んだ手で彼女の身体を強く圧迫すると、抗えない彼女にもっと舌を入れた。

別に逃げるわけじゃないが、彼はいつも彼女に気持ちをぶつける時、彼女が抵抗できないくらい強く掴んだり自由を奪うのが好きだった。

しかも心の中ではニヤリと笑いながら、抵抗できない彼女の姿を見て愛おしさを通り越してもはやゾクゾクしていた。


一度手を離すと、彼はキスを続けたまま彼女のブラウスのボタンを手先の感覚だけを頼りに上から外していった。

ゆっくり、ひとつずつ。

全てのボタンが外れてカーテンのようにひらっとめくれると、彼は身体を引いてその間から見える彼女のカラダを愛おしく見つめた。


「すごく綺麗だよ……」

恥ずかしそうに目を伏せて少し顎を引いた彼女を見て、彼はその顎に手をやるとクイっと持ち上げてもう一度キスをした。


彼女は目をつむっている。

彼は何も言わず自分のネクタイをほどき、キスしたままそのネクタイを手に彼女の頭を撫でた。

キスされながら頭を撫でられたのが嬉しいのか、彼女が少し声にならない息を漏らしたのが分かった。

「んんっ……」

これから何をされるかも知らずに感じている彼女。
その姿を見て彼にとっては愛おしくてたまらなかった。

そういうたまらなく弱く、Mで、エロくなるのが好きなのだ。

どうしようもなくメチャクチャにしたくなる。

そんなとき彼は、彼女の反応を見て心底Mだと感じたし、キスをしながらそんなことを考えている自分が、やっぱり心底Sなんだと思った。

彼は手に垂らしたネクタイを両手で持ち直すと、キスをしたまま彼女の目をおおって頭の後ろで結んだ──。


続。









【あとがき】
最後までありがとうございます。

せっかく「誰かの”したい”の引き出しに」という思いを乗せている短編なので、タメになるかは分かりませんがあとがきを付けてみようと思います。

今回は「彼」視点で進めてみました。
次回は一転、「彼女」視点の予定です。
デート帰り、そわそわした気持ちで始まりを迎えるところまでのお話でした。

今回も特別使った道具は無いのですが、一つだけ登場させました。

「ネクタイ」です。

彼女の目を覆うのに彼は自分の「ネクタイ」を使いました。
手元にあるものでスムーズに事を運んでいきます。笑

んー。

女性側には気づかれないように進めて、「えっ?!」ってなっているうちに手中に収めたいですよね(?)。

それから。
なるべく女性側の「ただ待っている時間」を作らないように心がけておきたいです。

やっぱりコミュニケーションだと思うので、手持ち無沙汰に棒立ちにさせてはいけないなと思います。

余計なコトを考えさせてしまう時間を作らず、違和感なく「えっ?!」を引き出すのが、イイ。

んー。

これはSごころなのかもしれません。

そんなわけで今回は手元(首元?)にあってすぐ使える「ネクタイ」を使うシチュエーションにしてみました。

けれど実際には女性のアイメイクが落ちてしまうことを考えると、あまりネクタイは使わないかもしれません。
(でもここぞというときには燃えそうです。笑)

なので個人的に似たような場面なら、下のようなアイマスクを使うことが多いです。
目元が凹んでいて、見ている分には多少落ちてしまいますがメイクが崩れにくいです。
それに自分でしてみても目元の圧迫感がないので疲れにくいのが分かります。

下のアイマスクも凹んでいますが、なんだか仮面ライダーとか大きなサングラスみたいな見た目で雑念が入る気がするので、、、笑

私は上のを使っています。笑

商品画像の最後の一枚が、モデルさんが掛けている眼鏡なのか水中眼鏡みたいになっていますが、私が買ったものはそんな見た目ではなかったです。

二番目の写真みたいなシームレスな外観デザインです。

まあ見た目はさておき、取り出して目に掛けるまでをスマートにする方が難しいですよね。

着けたいときに「ガサゴソ」とやり始めるのは避けたいところです。

んー。

そんなこと気にしているのは私だけでしょうか。笑

その辺は皆さんも何かアイデアがあれば聞いてみたいです。

アイマスクには今後登場してもらおうと思うので、お楽しみに。

ではまた。




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