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オンライン授業体験談エッセイ集(碩学舎デジタル教育研究会)

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碩学舎デジタル教育研究会の研究員の皆さんによる大学授業エッセイです。デジタル教科書を使った授業、オンライン授業についてのご自身の経験を語っていただいています。
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#オンライン授業

学生視点からのデジタル教科書を活用した講義:瀨良兼司先生(京都橘大学)

学生視点からのデジタル教科書を活用した講義:瀨良兼司先生(京都橘大学)

はじめに 2020年度から、大学生協の電子書籍システムであるDECS(Digital Education Contents Support)を採用しています。これまでの取り組みについては、以前の投稿で紹介していますので、ご覧いただけますと幸いです。
 今回は、2021年前期に実施した完全オンディマンド型の講義についてご紹介します。弊学では、履修者が80名以上になった場合、事前収録による完全オンディ

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デジタル教科書を用いた授業に対する満足度〜fsQCAを用いた探索的研究〜:横山斉理先生(法政大学)

デジタル教科書を用いた授業に対する満足度〜fsQCAを用いた探索的研究〜:横山斉理先生(法政大学)

はじめに 大学における授業のオンライン化・デジタル化をコロナ前から実施していた教員はごく少数で、ほとんどはコロナを機に急遽対応を迫られ四苦八苦しながら授業を提供しました。この時期の大学内部がどれほどバタバタしていたかが明るみに出ることはないと思いますが、それはもう大変でした(思い出したくありません)。この騒動で体調を悪くされた方も多いと思います。   
 わたしが所属する法政大学も同様で、コロナ対

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学生と教員がともに学ぶデジタル教科書利用法:山本奈央先生(名古屋市立大学)

学生と教員がともに学ぶデジタル教科書利用法:山本奈央先生(名古屋市立大学)

2021年春 デジタル教科書導入にあたり教員(私)が考えたこと
 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、私の所属する大学でも2020年より、オンライン講義が導入された。
 私は2019年末から1年強の育児休業に入ったため、2021年4月にはじめてオンライン講義を行うことになった。この時点ではオンライン講義に関する知識もノウハウもほとんどなく、むしろ学生のほうが講義の受け方や課題提出等、オンライン

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2回のデジタル教科書を用いた授業経験で見えてきたこと:朝岡孝平先生(高知工科大学)

2回のデジタル教科書を用いた授業経験で見えてきたこと:朝岡孝平先生(高知工科大学)

 高知工科大学経済・マネジメント学郡講師の朝岡と申します。
 私はこれまで、『1からの消費者行動 第2版』のデジタル版を用いた消費者行動論の講義を2回行いました。高知工科大学の履修者99名の対面授業と、一橋大学の履修者407名のオンデマンド授業です。性質が異なる授業でしたので、この記事では各授業の概要とうまくいった点・改善すべき点をまとめました。

高知工科大学:中規模・対面授業の概要

 基本的

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デジタル教科書を活用したアクティブラーニング授業の展開:柳到亨先生(和歌山大学)

デジタル教科書を活用したアクティブラーニング授業の展開:柳到亨先生(和歌山大学)

授業の概要 私が担当している科目は、商品企画論です。採用した教科書は「1からの商品企画」で、生協システムを活用した授業をしました。受講生は主に2回生・3回生を中心とした150名程度で、月曜日1時限90分授業です。後期(10月―2月)の15回授業を行いました。
 皆さんが周知されているように、アクティブラーニングとは、教員による一方的な講義形式とは異なり、受講者の主体的かつ能動的な学習への参加を取り

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コミュニケーション・ツールとしてのデジタル教科書: 藤田健先生(山口大学)

コミュニケーション・ツールとしてのデジタル教科書: 藤田健先生(山口大学)

はじめに デジタル教科書は、「紙媒体の教科書を電子版にしたものだ」と思われることが多いように思う。見た目はたしかにそうなのだが、筆者からすると、さまざまな可能性に開かれた教育ツールに見える。そこで本稿は、デジタル教科書をコミュニケーション・ツールとして捉え、それを活用した筆者の取り組みを紹介したい。

授業中のコミュニケーションの促進授業の進め方を変えたきっかけ

 筆者は「商品開発論」(2年生以

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大規模オンライン講義の工夫と課題:西春奈先生(岡山商科大学)

大規模オンライン講義の工夫と課題:西春奈先生(岡山商科大学)

2020年4月以降のオンライン授業の状況 教員3年目の2020年4月,ある程度固まってきたと思われた教材や授業方法をオンラインに対応させるべく,大幅に見直すことになりました。2020年度前期以降,私が担当した授業を下記にまとめました。2020年度前期はオンデマンド型の講義を,後期以降はZoomを併用したハイブリッド型の講義を展開しています。これは,「原則対面授業」という所属大学の基本方針と,諸事情

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私がデジタル教科書を採用していない理由:坂田隆文先生(中京大学)

私がデジタル教科書を採用していない理由:坂田隆文先生(中京大学)

はじめに 碩学舎デジタル教育研究会の一員としてこのようなタイトルのnoteを書くのには、実は勇気がいりました。そこで、「おいっ坂田、何を書いとんねん」(研究会メンバーは私と違って紳士淑女の集いなのでもっと丁寧なお言葉かとは思いますが)というツッコミもあることを覚悟のうえでこのタイトルを付けた理由から説明したいと思います。
 碩学舎デジタル教育研究会とは、デジタル教材を用いた授業運営の工夫やコツを共

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デジタル教科書を少人数授業で使うための工夫:北村真琴先生(東京経済大学)

デジタル教科書を少人数授業で使うための工夫:北村真琴先生(東京経済大学)

 私は2020年度後期から、デジタル教科書の利用を始めました。初心者につき、少人数授業でしか利用していません。以下では、この1年半の利用方法と所感などをまとめたいと思います。利用アプリは大学生協のVarsityWaveです。

デジタル教科書を少人数授業(主にゼミ)で導入 まずは少人数授業、特にゼミから導入するのがよいという助言を受け、2020年度後期に学部ゼミで「1からのマーケティング分析」で初

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外国人教員ならではのオンライン授業の悩みと工夫:王怡人先生(琉球大学)

外国人教員ならではのオンライン授業の悩みと工夫:王怡人先生(琉球大学)

はじめに このノートは,デジタル教科書を活用した内容ではなく,オンライン授業に関する外国人教員の悩みとやってきた最小限の工夫に関する雑ぱくな感想文です。大した内容ではないのでどうぞご笑覧ください。

「作業効率」と「学習効果」のジレンマ
 2020年からの2年間,従来の対面授業からオンライン授業に切り替わることでそれに慣れていない自分にとって最初の1年はかなり苦労しました。
 急な方針転換なので,

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突然オンライン授業がやってきた!:藤井資子先生(熊本県立大学)

突然オンライン授業がやってきた!:藤井資子先生(熊本県立大学)

私とデジタル教科書の出会い 私とデジタル教科書との出会いは電撃的なものでした。2020年春頃でしたでしょうか。コロナウィルス感染症の流行により、学校の授業は開店休業状態。事務作業はフル稼働していたように思います。

 オンラインで授業をやろうと、弊学で、Microsoft社のteamsが導入されました。最初は、teamsに振り回されて四苦八苦です。出したつもりの課題が出題されていなかったり、出さな

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オンデマンド授業でも双方向を感じられる「対話型」授業への挑戦:岡田庄生先生(博報堂/法政大学)

オンデマンド授業でも双方向を感じられる「対話型」授業への挑戦:岡田庄生先生(博報堂/法政大学)

みなさんこんにちは。

博報堂でブランド戦略のコンサルタントをしている岡田庄生といいます。昨年度、法政大学大学院で博士後期課程を修了し、博士号を取得しました。

今日は、私が非常勤講師として担当している授業での工夫について紹介したいと思います。

私は、法政大学経営学部でマーケティング・リサーチ論という授業の講師を担当しているのですが、こちらは登録者約300名のオンデマンド授業です。

つまり、事

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碩学舎デジタル教育研究会:研究員によるエッセイが始まります!

碩学舎デジタル教育研究会:研究員によるエッセイが始まります!

 全国の大学教員の皆さんは、コロナウィルスの流行以来、オンライン授業への対応など、大変な毎日を過ごされたと思います。対面授業を復活させる大学も増えてまいりましたが、大規模講義は依然、録画やライブ配信などで実施するところも多いでしょう。
 コロナウィルスは多くの厄災をもたらしましたが、一方で、大学教育という観点から考えると、かつては考えられない授業運営のイノベーションが次々と実現しました。
 碩学舎

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