マガジンのカバー画像

324
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

小さな炎 《詩》

小さな炎 《詩》

「小さな炎」

僕の足元に

寡黙な陽だまりを作り出す太陽

時間は更に緩やかに流れる

君は猫の様に

暗い穴を覗き込んでいる

其の先にあるものは

君の瞳にしか映らない

その暗い穴には

深い暗示が隠されていた

「今日死んでしまえば 明日は死なずにすむ」

君はそう言葉にして囁く

其処はいつまでも

君が居る場所じゃない

何度も君にそう呼び掛ける

僕等はきっと

何処かに行く事が出

もっとみる
楽園へ続く道 《詩》

楽園へ続く道 《詩》

「楽園へ続く道」

終末を生き延びる為に

極端な仮説を立ち上げ

至福の王国への導きを説く教団

神の洗練を受け入れた人々

悪魔の手に堕ちた人々

楽園に続く道は此処にあり

天国と地獄の境目は
薄いベニヤ板で仕切られていた

僕の足音が聞こえますか?

貴方は神様ですか  

それとも悪魔ですか

其の場所には愛や
ロマンチックな幻想はありますか

青い海と白い砂浜 

穏やかな風に揺れる花

もっとみる
邪悪な光 《詩》

邪悪な光 《詩》

「邪悪な光」

悲観的な色あいを帯びた幻想と

攻撃的な響きを持つ光が仄かに漂う

表に現れているのは 

ただの見せかけに過ぎない 

徹底された秘密主義 

歪んだ鏡が映し出す

恐ろしく執拗な性質を持つ陽の光

何かの始まりを意味するもの

もう全ての時が動き始めている

その光に恐怖し逃げ出した人々

次第に力を増す
その邪悪な光に眼を背けた

そして誰ひとりとして居なくなった

僕ひとり

もっとみる
天国の鐘 《詩》

天国の鐘 《詩》

「天国の鐘」

真っ黒なマスカラを付けた夜

空に浮かんだ ふたつの月

人工的なアルミニウムで出来た星

メタリックなネオンの輝き

僕等の意識は
古い記憶の中を彷徨っていた

遠くで天国の鐘が鳴っている

ひとりでもいい 

心から誰かを愛する事が出来るなら

その人生には救いがある

全てが終わり 全てが始まる

待ちきれない夜がやって来る

不動の月 《詩》

不動の月 《詩》

「不動の月」

花一輪 

在りし日の君 

香る春

静かに添えた手のひら

暗黒の雲に覆われた夜空にさえ

音も無く浮かぶ不動の月

あやかしの時は遠去かり

あの日 夢見たふたりの旅

其処に咲いていた小さな花は

眠る事無く咲き続ける

夜更けに恋をし
君の名を呼ぶ

いつからか 

君の言葉の中に愛を探してる