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散文詩

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2023年7月の記事一覧

クラブマンエステート 《詩》

クラブマンエステート 《詩》

「クラブマンエステート」

スピードスター マークII

Smithのタコメーター

吊り下げ式の後付けクーラー  

黒くて細いステアリング

剥げ落ちたサイドのウッドトリム
スライド式のリアガラス

観音開きのバックドアを開け

ピクニックテーブルと
小さな焚き木台

エスプレッソとサンドイッチ

スノーピークのタープで
小さな木陰を作るから

夏の匂い 

草の色と川の流れる音

君のハ

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楽園と獄中 《詩》

楽園と獄中 《詩》

「楽園と獄中」

形も何も無く実体も無く
目にも見えない

そんなものを愛した

空間を埋める煙 

窓越しに見た街並み

事実を受け入れ 
ひとつづつ 一歩づつ 

本当に大切なものは
何かを見極めなから

深く掘り下げ落とし込む事柄

良いとか悪いとか関係ない 
全てはお前の気持ち

己自身との勝ち負け 

綴る言の葉

女神が運ぶ悟りの言葉

本物偽物勘繰り今と昔

息をする様に
書き連ねた

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黒猫 《詩》

黒猫 《詩》

「黒猫」

笑顔と溜め息が飽和した部屋

動かない写真の景色 

辿る記憶

残像は時を連れ過ぎ去り

美しい想い出ばかりが募る

迷子の黒猫 曖昧な旋律

微かに繋がる細い光 

蜘蛛の糸

夜と朝をなどる指先

君が望んでた未来
選んだ道は また遠回り

三日月輝く夜に君の名を 
それが魔法の言葉に変わる

読まれない手紙を書き続けた日々

秒針が止まった時計

大切にしまっていた言葉

夜が

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長編物語 《詩》

長編物語 《詩》

「長編物語」

太陽のかわりに
言葉を並べ詩を書いた

君にも僕にも陽の光が見えないから

君の命が揺れない様に
強く抱きしめた

君が消えてしまわない様に

もう全部忘れなよ

君のかわりに
僕が全て覚えているから

痛みも傷も その涙も

決して忘れないから

君がどんな想いで生きて来たのかを
僕がずっと覚えているから

もう忘れなよ 

誰より近くで  

君の直ぐ傍で君を見てる 

確かめ

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通りすがり 《詩集》

通りすがり 《詩集》

スノードロップ

通り過ぎた後に
思い出してまた
約束の場所まで
たどり着いても
君はもういない

いつも探してる
キミの残り香が
消えないように
面影だけ抱いて

追いつけないよ

冬に咲く白い花
スノードロップ
花言葉が哀しい
教えてあげるね

貴方の死を望む

夢の続きは今宵



アイツがいた冬 2011

遠く伸びたアスファルトを
歩き続けても空に昇れない
つむじ風が信号の青を映す

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嘘つきのマリア 《詩》

嘘つきのマリア 《詩》

「嘘つきのマリア」

思わせぶりな囁きに惑わされ

もう迷う仲でも無いくせに 

じらし上手な女 

星の降る夜とか月明かりとか

朝が来たらアリバイ作り

嘘つきのマリア 色仕掛けの目配せ

弱みを握られたのは俺の方

あの時は あの時は ただ…
手のひらで塞ぐ俺の言い訳

嫉妬心丸出しの詮索

根掘り葉掘り 耳元で追い込む

企に満ちた微笑みに
逃げ越しの言葉を並べた俺

舞い上がってた遊び相

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