見出し画像

結果が出ない人生って不幸か? 諦める力が必要か?

金メダルまで、あと約60メートルだった。
 4年前の平昌オリンピック(五輪)で金メダル二つを獲得したスピードスケートの高木菜那は、今年2月の北京五輪では連覇をかけたチームパシューで転倒。
 
悔しい銀メダルとなった。
 3度の五輪を経験し、4月5日に引退を発表したばかりの29歳。
 「努力は無駄じゃない」と伝えたいという。

==========

朝日新聞でこんな記事を読んだ。
見出しは「結果が出ない人生って不幸ですか? 転倒した高木菜那が伝えたいこと」。

ちょうど為末大さんの「諦める力」を読んだところだったので、「努力」と「結果」の相関関係について考えさせられてしまった。

アスリートの中で、そのスポーツで「食っていける人」はマイノリティ。
しかもオリンピックで金メダルを取れる人は、ほんの一握り。

「努力することが」よその国に比べて異常に崇拝される日本で、アスリートたちが自分を失わず、新しい可能性へと扉を開いていくことについて、骨太な文章で書かれているのが「諦める力」だと思う。

そういえば、日本人は「根性」という美徳が大好きだ。

それを「諦める力」の著者である為末大さんは強調する。
彼は金メダルを取得するという目的を達成するために、
100メートルを諦めて、市場規模が小さくて競合が少なく
かつ適性のある400メートルハードルで勝負をした。

100メートルを「諦めた」のではなく「逃げた」のでもなく、
より成功への可能性の高い道を選んだのだ。

島田紳助さんが自分の才能と世の中の流れを分析して、
自分たちにしかできない紳竜漫才をつくったと話していた。

種目は違っても、この二人の主張は同じかもしれない。
どんなに努力をしても思うような結果が出せないと、無駄な努力になってしまう。

ノーベル賞を受賞した科学者の山中伸弥氏も似たようなことを言ってらした。

========

日本の伝統的な武士的エートスからすると、この考え方の切り替えは、非常に高いハードルかもしれない(「三十六計逃げるに如かず」は日本ではなく中国南北朝時代の兵法によるもの)。

努力に果て、夢に死す。そんな美学が隅々まで行き渡った社会なのだ。
努力を止めること=負け の構図がそこにはできあがってしまっている。

今後日本人は、もっと違った角度から努力を捉えられるようになるのだろうか。とても興味深い問いだと思う。

ちなみに著者の為末さんは「諦める力」の後、「逃げる自由」という本を出している。
コインの裏表、という気もするが、タイトルの付け方も、確かに上手い。


================================
以下の4冊を先月出版。
応援していただけると嬉しいです。

Kindle読み放題サブスクされてる方は無料

 


サポートは株式会社スクーンジャパンおよび米国スクーン社が乳がんのNPO団体(LBBC)に寄付する資金に利用させていただきます。