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羽をもがれた妖精は復讐を謡う

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1話3〜4ページで完結していく予定のファンタジー×ミステリー。 魔法、異世界、剣等出てくる予定。あと理系チックな要素も。 完全自己満です。 だいたい土日のどちらかで更新する予定 …
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羽をもがれた妖精は復讐を謡う 小噺;恵方巻き

羽をもがれた妖精は復讐を謡う 小噺;恵方巻き

 テーブルには大判の海苔に酢飯、そして干瓢や出汁巻き玉子、胡瓜などが用意されている。
他にも、ナギによるリクエストで海老やカニカマ、ツナマヨにアボカドなどがあった。
「なぁ、そんなに食べれるのか…?」
と、俺はナギの手元を見て問うた。
「いけるっ!」
とナギは海老とアボカドの上にツナマヨを載せる。クルッと巻いて、どうだっ!と得意げに俺に見せてきた。
その様子は可愛いのだが、それよりも気になるのは、

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-小噺②

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-小噺②

陽もだいぶ落ちてきた頃、俺たちは設置されていたテントの中にいた。多くの人が利用出来るように椅子はなく、立ち飲み用の丸テーブルが置かれている。
夕飯代わりに、俺たちは大量に買った食べ物を広げた。
「焼きソーセージは定番だよなぁ」
「ライプクーヘンも美味しいっ」
林檎のムースがお気に召したのか、たっぷりと付けるナギ。俺は「ビールにすれば良かった」と呟く。ちなみに今飲んでいるのはメットだ。
「あ、聖歌隊

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-小噺

 目を覚ますと、腕の中にはずっと欲しかったものがいた。
それは規則正しく寝息を立てていて、意識はまだ夢の中のようだ。
「ナギ…」
俺は優しく頭を撫でる。しかし眠りが浅かったのか、瞼が僅かに動きそしてゆっくりと開かれた。
「ルカ…」
寝惚け眼で俺を見る。体勢を変えたいのか、俺の腕の中にいるのにモゾモゾと動いた。
俺は少し意地悪したくて、ナギを抱き締める。
「……」
まだ頭が覚醒していないのか、ナギは

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

 霰の屋敷から戻ってきて、俺とナギはそれぞれ覚えている範囲で、互いに解いた問題を出し合った。
「俺がそっちに行ってたら、一問目で駄目だったな…」
「これでも仕込まれているからね」
ナギは得意げに片目を閉じ、口の端を上げた。その様子に俺は少し膨れる。
分かってる、ナギとの差はまだまだ広いのだと。
「ちなみにこの問題、別の証明方法は知ってる?」
と、ナギが一つの問題を示した。俺はうっと詰まる。
『1=

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

夜風に芒が揺れる。俺は縁側に座り、体は外に向けつつもチラリと隣の人物を見やった。
「すっかり秋だなぁ」
と言いながら、団子ーーーではなく、月餅に手を伸ばすナギ。
「月見と言えば、団子じゃないのか?」
「今、風見が用意してくれてるよ」
そうではなく、と俺はジト目を向けた。ナギは「ルカもいる?」と、首を傾げながらまだ口を付けていない月餅を差し出す。
俺が月餅を受け取ると、ナギは「十五夜の月見って言うの

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う;小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う;小噺

 ルカは着の身着のままアルカナに来た為、暫くの間は本部内にある仮眠室で寝泊りしていた。
手持ちの金しか持っていなかった事もあり、給金を前借りして必要最低限の生活必需品は購入していた。
そして漸く、前借り分の返済と部屋を借りるまでに至ったのである。
興味本位で内見についてきたナギが「大丈夫?」と心配そうに尋ねた。
「部屋の中はリノベーションされたばかりで綺麗だけど、不便じゃないか?」
確かに、何件か

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編

 師匠は赤ワインが注がれたグラフを回した。テーブルには燻製にされたチーズが置かれている。
「安物だけど、安心して飲める方が断然いい」
そう言って、美味しそうにワインを口に含んだ。その様子に、私は荒天に着いた日の事を思い出す。
 あの日、師匠は「名産品でも飲むか」と、部屋でボトルを開けた。そして開封早々に顔を顰め、少し口に含むとーーー吐き出したのだ。そして悪態を吐きながら、折角買ったワインをその場で

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う:過去編

羽をもがれた妖精は復讐を謡う:過去編

 翌日、私は師匠と別行動をしていた。断っておくが、これは脱走ではなく師匠の命令である。
「あら、迷子かしら」
と、葡萄棚を眺めていた私は声をかけられる。
私は気付かれない様ーーーおそらくバレているだろうがーーー服の裾を握りながら、声が震えない様に言った。
「わ、ワインが造られている様子って、見学できますか?」
私が人見知りが激しいと知っているにも関わらず、師匠が作った筋書き通りに声をだす。怒りを覚

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う:過去編

羽をもがれた妖精は復讐を謡う:過去編

 森の中を私は駆けていた。背後から猛スピードで追いかけてくる存在に、私は恐怖する。追い立てられ、恐怖心を煽られる。
「!!」
森を抜けると、平原に出た。やった、もう少しでゴールだ、と安堵する。
それがいけなかった。
「最後まで、気を抜くなと教えた筈だが」
背後から聞こえたその声に、恐る恐る振り返ってしまった私は悲鳴をあげた。そしてゴッッと痛々しい音がした瞬間、私は頭を押さえて悶絶する。涙目になって

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う;小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う;小噺

 それは四人でパフェを食べに行った時に話した内容だった。
「アルカナでの幼少期ってどんな事してたんだ?」と言うルカの問いに、ナギが「普通に勉強したり遊んでいたかな」と答えた。
「教育カリキュラムの中に、たまに同年代が集まっての課題授業みたいのがあるんだよ」
その際、各支部にいる同世代達が本部に集まるのだ。そしてグループワークみたいな事をやらされた。
「その時に風見、日向と会ったんだよなぁ」
「だい

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

羽をもがれた妖精は復讐を謡う:小噺

 ナギの食い意地が張っているのは、今に分かった事ではない。特に甘味に目がなく、15時のおやつと称して、毎日ルカに買いに行って貰ってる。ちなみに、リクエストがない日はルカが選ぶ事となっており、
「地味に頭を使う」
とぼやいていた事がある。と、言うのも
「好みじゃなくても食べるけど、後から別の奴に餌付けされてたんだよ」
新参者のルカでも分かる様に、ナギの好みかどうか、食べる様子ですぐに分かる。よって「

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[10]

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[10]


さて、どこから話すか。私はルカにアルカナについて説明する為、執務室に呼んでいた。
真剣な面持ちで、取り敢えず席に座る様に促す。話が長くなると思い、二人分の紅茶を入れた。
「さっきは外だから詳しくは話せなかったけど、まずアルカナが何故出来たのかを話そう」
取り敢えず、アルカナがどんな組織かは知っているか?とルカに問うた。
「人工能力者を造ってる企業だろう」
自分達の技術力の高さを知らしめる為に、

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[9]

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[9]


 ルカは膨れていた。ここ最近、ずっと機嫌が悪い。
その理由は明確だった。
「風見、パフェ食べに行こう」
「駅前に出来たお店の?いいわね」
ナギが風見ばかりに構うのだ。この間までは自分があの隣にいたのに……。
隣で書類仕事をしていた日向は、ルカの様子にやれやれと首を振り、溜息をついた。
「仕方ないだろ、ルカ。別に恋人同士って訳でもないだろ?」
「そうだけど……」
分かってはいる。ナギに誘われてア

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羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[8]

羽をもがれた妖精は復讐を謡う-過去編-[8]

机に置かれた、二匹のネズミーー片方は生きていて、もう片方は死んでいるーーを前に、フルメンは無言だった。チラリと私を咎めるような眼差しを向けてくる。
現在、私はフルメンに事の真相を報告しに来ていた。
「あの森には、サラマンダーはいない。火事を起こしていたのは、電気ネズミと火鼠だ」
「電気ネズミによる放電で、火災が生じたと?」
訝しげな表情を向けるフルメン。
「電気ネズミが出せる電圧は、獲物を痺れさせ

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