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白雪美香は彼氏ができない!_第1話

白雪美香は彼氏ができない!_第1話



プロローグ

「はぁ、はぁ、はぁっ」

白雪美香は、ぽっちゃりとした白く柔らかな肉体を揺らしながら、福岡市のセントラルパークと言われる大濠公園を走っている。

5月中旬の福岡は夏日になることもあり、今日の気温は25度を超えていた。気温が上がることは白雪美香もわかっていたが、ここまで暑くなるとは予想だにしていなかった。もう夏じゃないか、と白雪美香の荒い呼吸の中にため息が混じる。今更ながら厚手の服

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青ひげペローの婚活日記_白雪姫とLINE編

青ひげペローの婚活日記_白雪姫とLINE編

先日マッチングした白雪姫(仮名)と、LINEを交換することができた。

ちょっと強引だったかもしれないが、なんとかここまでこぎつけることができた。LINE交換をするタイミングは、「短期間でメッセージのやり取りが続いた後が多い」という情報を仕入れたため、私は白雪姫が返信したくなるような内容を数度のメッセージから予測し、ラリーへと持ち込んだ。

作戦は成功。

きっと趣味が合うと思われたに違いない。

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肩こりの原因と、ことのてん末。

肩こりの原因と、ことのてん末。

肩がコッて仕方がない。

デスクワークなので、肩の一つや二つ、あるいは三つや四つくらい、こっても仕方がないと思う。それにしたって、私の肩は非常に硬い。硬すぎる。

肩をぐるぐると回せば、ゴリゴリと音がなる。
セルフでマッサージをしてみても、全く指が入らない。指が入るということがどういうことかもよくわかっていないが、とにかく指が入らない。

もしかすると、かの有名な指圧の名士ケンシロウであれば、あの

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コイン・チョコレート・トス/まえがき

コイン・チョコレート・トス/まえがき

9月の最終週、小説を書き始めた。

一つ、noteに書きたいと思っていたことがあって、夏頃からそれをエッセイで書くかどうかを考えていた。
なんとなくエッセイにはしたくないなと思って、創作の中に誤魔化して混ぜこもうと思った。

どんな風に書くかな、とずっとぼんやりと考えていて、なんだかふっと書きたくなったので、書き始めて一週間で書いた。
プロットも作らず勢い任せで書いた。
書き上げたものの読むに値せ

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神様のくれた、画用紙。

神様のくれた、画用紙。

僕は白い場所にいる。
暖かいも寒いもない。あまりに体温と気温が一体となっていて、僕は自分の輪郭がわからない。
溶け込むように僕は白い場所に立っている。

立ちすくむ僕に、神様が近寄ってきた。
そして、一枚の画用紙をくれた。
ここに夢を描きなさい。そして、夢を描いたら、私に持ってきなさい、と。

白い場所の一角に、カラフルな画材。
心が躍る。この色とりどりの場所に名前があるとすれば、可能性。
そんな

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