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自主映画を、撮る。その10

本編の前にまずは、今週の二郎系のコーナー!!(2022年追記)

主宰10年来の庭「阪神国道 これが好きだから」にて、名手川島さんの麺上げ日に並ラーメンニンニクアリ全マシ一味インド。仕事のメールを捌きつつ、うっかり麺上げ順を見失いお店には多大なご迷惑をおかけしましたがしかし変わらぬご愛顧で包み込む一流店の「おもてなし」を体感した一日、帰り際全てを包み込む「いつもありがとう」の一言にめちゃ救われた!!

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以下、本題。(2021年末執筆)

『かぼちゃのパンケーキ』解説(3)

前回の続きから。本作は「即興劇」ベースの物語でしたから極端に決め事が少なく、つまり誰のどんな台詞/仕草をきっかけに展開させていくかという最低限の段取りだけ主演役とシェアしていた。撮影の直前カメラチェックと銘打って先制ジャブを打つ、マスター役の主宰。というのも「演者主導」を謳った本作の指揮権は終始向こうサイドにあって、主宰はいわばラジコン。

頃合いを見つつ主宰がハケたところから一人芝居が始まる段取りを想定していましたが。彼のアドリブ次第では、最悪ハケさせてもらえない可能性すらありましたし。怒りが頂点に達したタイミングで水を一気飲み、それを見てマスター役がオチの台詞を切り出す予定になっていましたがそれすら崩れるかもしれない。「限りなく予測不能な動き」をお願いしたことが仇となり。

『大久保選手』解説(1)

とはいえどんな結末を迎えたかは本編のお楽しみ、もう1作の解説へと移行してまいります。すなわち「大久保選手」が表すサッカー選手とくれば最早説明不要でしょうが、なぜこの名前になったかと言うと当初後輩のラグビー部員の方にゲスト出演して頂く予定でおりまして。ところが直前になり出演がキャンセルとなったため、参加可能なメンバーで埋め合わせを行った。

つまり大柄な人を呼んだから「大久保」になった訳ですね。安直が過ぎる。ところが代役を任された彼はどちらかといえば「小久保選手」テイストで。こういう凸凹感も悪くないよなあってな具合に、主宰演じる「木保監督」のインタビューから作品が始まっていきます。ほろ苦い結果となった準決勝後の一幕をほぼ完コピでお届け。あくまで再現度重視、他意はありません。

『大久保選手』解説(2)

前回触れた通り、当時インタビュワーを務めた映画部の同期はサッカー理解に乏しく。ほとんどルールもわからない状態でもってあの場に臨んでましたから、それこそ一触即発といった事態に発展する危険すらあった訳で。そこはしかしさすがの名手。終始ジェントルな対応で事なきを得ましたが、本作では存分に取っ組み合いさせて頂きました。

つまり内情を良く知る我々だからこそ表現できた「裏の世界」。しかしただの掴み合いではオチになりませんし、「シームレスに繋ぐ」本作の意向にもそぐわない。何か良い方法はないものかとあれこれ考えてみたところ、最もしっくりきたのが所謂「マッチポンプ商法」で。政治家の失言を引き出そうと躍起になってる新聞記者の方々いますよね、例えばああいった雰囲気。

『大久保選手』解説(3)

取っ組み合いに至った動機もこれで説明がつく。最初からインタビュワーは大久保選手を貶める目的で動いていた、ゆえに木保監督への真摯な物言いと対照的に描くという演出プランまで自ずと定まってくる。冗長なやりとりに見せておいて実は緻密に計算された台本なんですよ感を演出してみたつもりですが、果たして。

撮影スタッフや代表メンバーまで駆け寄って、一層ごちゃつく画角。最後は騒ぎをこっそり抜け出し、カメラマンがレンズを反らすところで本作が終わります。「良い子はマネしないでね」といった風な表情を覗かせながら。こういう「スカし」気味のオチって一度やってみたかったんです、「笑う犬」を観て育った世代として。

「コント形式」にも振れ幅を。

随所に難しさを感じた2作品でしたが、しいて挙げるとすればまずは「内輪ノリ」の排除/薄め加減。正直身内感が出ると一番サブい類の脚本だった、ですから個人的関係性はあくまでサブテーマの位置付けに留め、いかに他人行儀によそよそしく振る舞えるか。自主映画制作の一番の課題はそうした「客観性の担保」にこそあったのです。

なおかつ今回は「コント形式」で重ね打ちしましたからオチにも相応の振れ幅を、つまり再三述べてきた「置きに行く」か「スカす」か、あるいは思いがけない角度から切り込むのかという二択三択を常に仕掛けてまいりたい。いくらオムニバスのショートショートとはいえ、オチが読めた時点で観る側の集中力は途切れてしまうでしょうから。

ことごとく「逆手に取る」気概でもって。

敢えて制限の多いフォーマットに翻弄されてみたいと考えた。つまり、多少不自由な方が「自由度」を模索できそうですし短い尺だからこそ「そこ引き伸ばしちゃうんだ!?」的な意外性も発揮可能な余地がある。ただ一点屋台骨である「作品間をシームレスに繋ぐ」意識だけは肌身離さず持ち続けて、掌で転がせられる範疇のハプニングを漏れなく作品性に閉じ込めつつ。

とはいえ本稿、ついに編集作業の段まで漕ぎ着けました。薄ーく引き伸ばし引き伸ばしきましたがいよいよ佳境です。今一度各作品を「第三者的視点」で観た際のリアクションを共有できる、非常に有益なフェーズ。編集し直しくらいで済めば良いですが。ワンチャン作品がまるっとポシャるとすれば、ここ。果たして各人の反応やいかに。

(次回へ続く)



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