saho

本と珈琲が好き 子どもの発達、親子の育ちに関わる仕事をする心理士です

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本と珈琲が好き 子どもの発達、親子の育ちに関わる仕事をする心理士です

記事一覧

視点という教養(リベラルアーツ)

どの情報からこの本を予約したのだろう。 思い出せないのだけど、とにかくその情報源よ、ありがとう!今年いちばん面白かった。 歴史を面白く学ぶコテンラジオの深井さん…

saho
2週間前
5

嘘と正典

地図と拳を読みたいと1年半くらい前から予約しているのにいまだに図書館の順番が回ってこない。 その間につなぐ。 1位に躍り出た。3冊の中では圧倒的。 特に良かったのが…

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4週間前

九年前の祈り/あわいに開かれて

小野正嗣さんの本と出会ったのは20代の頃で、ヴィレッジヴァンガードの本棚に居心地悪そうに置かれていた、マイクロバスという作品。 「わー、これはきたぞ」と、ひとり興…

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1か月前
1

日本語はこわくない

最近長女から、話し言葉の文法的な間違いを指摘されることが多い。長年夫から、無意識のうちにダジャレを言っていると指摘されてきた。いずれも、溢れ出る思考や感情を整理…

saho
1か月前
3

モヤ対談

新しい作家や本探し。 対談相手に興味深い名前がいくつかあったので、他の知らない方を知るために読んだ。 飯間浩明 日本語は怖くない 荒井 裕樹 まとまらない言葉を生…

saho
1か月前

君が手にするはずだった黄金について

忙しい、いや、忙しくもないんだけど、久しぶりになかなか前に進めずにもがいている。 こんな時に限って予約本の順番が回ってくる。 あれ?この本あと50人くらい待ってたは…

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3か月前
2

超人ナイチンゲール

先日小5の娘が、学校の課題で伝記を読んだという話をしていて、そういえばうちの子たちは伝記とかそういうの、好きじゃないなぁと思った。 何でだろう?そうか、私も好き…

saho
4か月前
2

ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済

以前に一度読んだことがあり、改めて読みたくなって図書館で借りた。9年前の本なのに図書館で予約してから回ってくるのに3ヶ月。最近は図書館の使い勝手が悪くなる一方だ。…

saho
5か月前
2

逆ソクラテス

小学生が主人公で、カンニングから始まるミステリーぽい話なのかな?と、下の子のために買った小説。もちろん小学生も読めるけど、私自身気づかされることが多すぎて、小学…

saho
6か月前
3

言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

新年1冊目。夕方に北陸で大きな地震があり、遠く離れていても心が落ち着かない。メディアから少し離れるために終盤一気に読んだ。 行政の乳幼児健診やクリニックの発達相…

saho
6か月前
3

訂正する力

今年も様々な本に楽しませてもらった。 本を読んで自分を省みるし、本を読んで社会や他者に関心を持つ。本は、心地よく生きるための道標だなと、つくづく感じる。 東さん…

saho
6か月前
1

言葉のズレと共感幻想

レビューを読んで興味を持ち、図書館で予約していたのがようやく回ってきた。 始まりから具体と抽象の話が出てきて、「あれ?この話どこかで…」と思ったら、佐渡島さんの…

saho
8か月前
2

ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー からの流れでハマータウンの野郎どもを読んだのが1年前くらい、そして先日いつもチェックする本屋のちくま文庫のコーナーでこ…

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8か月前
1

藤井聡太のいる時代

愛知県瀬戸市は私の母の地元だ。 幼少期の頃から年に数回、母に連れられ名古屋から名鉄に揺られて新瀬戸駅に降り立った。 高校生くらいになってからは、隣の無人駅の瀬戸市…

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9か月前
5

木曜日のシェフレラ

私は乳幼児期が中心なので、スクールカウンセラーの経験はないが、スクールカウンセラー経験の長い友人が勧めてくれたマンガ。近所の本屋は数軒廻っても全然売ってなくて、…

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9か月前
5

天日干し経営

発売日に書店で購入した。 内容について語るには畏れ多いほどにお世話になった恩人なので、出会った頃の話を。 最初に接点を持ったのは、転職して半年、25歳の時だったと…

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9か月前
4
視点という教養(リベラルアーツ)

視点という教養(リベラルアーツ)

どの情報からこの本を予約したのだろう。
思い出せないのだけど、とにかくその情報源よ、ありがとう!今年いちばん面白かった。

歴史を面白く学ぶコテンラジオの深井さんが、
リベラルアーツ(教養)に出会うために
物理学
文化人類学
仏教学
歴史学
宗教学
教育学
脳科学
の研究者と対話する。

これが、儲かるとか使えるとか役に立つ感のない、純粋な学問への興味とその解説で、
教養というと物知りとか知識人み

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嘘と正典

嘘と正典

地図と拳を読みたいと1年半くらい前から予約しているのにいまだに図書館の順番が回ってこない。
その間につなぐ。

1位に躍り出た。3冊の中では圧倒的。
特に良かったのがタイトルの「嘘と正典」。

以前に、原田マハさんの楽園のカンヴァスを読んだ時に書いたのだけど

加えてSF的でミステリー要素もあって、最後に「そっちかー!」って唸った。
小川さんの得意な世界観に触れた気がした。

早く来い来い、地図と

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九年前の祈り/あわいに開かれて

九年前の祈り/あわいに開かれて

小野正嗣さんの本と出会ったのは20代の頃で、ヴィレッジヴァンガードの本棚に居心地悪そうに置かれていた、マイクロバスという作品。
「わー、これはきたぞ」と、ひとり興奮を噛み締めたことを思い出す。
暗い、明るくはない。ただ、自分がどこいるかわからなくなるようなぼんやりとした時空間と、丁寧な描写が好きだと思った。あまり評判にはならなかった覚えがある。
その後子育てが始まったりで、本から遠ざかっていた。

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日本語はこわくない

日本語はこわくない

最近長女から、話し言葉の文法的な間違いを指摘されることが多い。長年夫から、無意識のうちにダジャレを言っていると指摘されてきた。いずれも、溢れ出る思考や感情を整理せずそのまま発しているからだと思う。頑固なわたしは、「伝わればいいじゃん」と心の中で呟き、耳を傾けずにきた。

わかってはいるが、完璧が苦手である。概ねで良いと思っている。こんなに言い訳している時点で、相当な日本語コンプレックスなのかもしれ

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モヤ対談

モヤ対談

新しい作家や本探し。
対談相手に興味深い名前がいくつかあったので、他の知らない方を知るために読んだ。

飯間浩明 日本語は怖くない
荒井 裕樹 まとまらない言葉を生きる

あたりが発見。こういう本の探し方もありだな。

君が手にするはずだった黄金について

君が手にするはずだった黄金について

忙しい、いや、忙しくもないんだけど、久しぶりになかなか前に進めずにもがいている。
こんな時に限って予約本の順番が回ってくる。
あれ?この本あと50人くらい待ってたはずなんだけど、蔵書増やしたのかな。ここで借りないと順番飛ばされる。

焦っても仕方ないし、ちょっと停止して読み始めた。短編集で、隙間に読むのにはちょうどよかった。
著者自身が主人公のフィクションともノンフィクションとも取れる話なんだけど

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超人ナイチンゲール

超人ナイチンゲール

先日小5の娘が、学校の課題で伝記を読んだという話をしていて、そういえばうちの子たちは伝記とかそういうの、好きじゃないなぁと思った。

何でだろう?そうか、私も好きじゃない。
何でだろう?聖人が描かれるから?世のため人のために尽くすことの美徳が説かれるから?

学校の道徳も、それは本来の道徳なのでしょうか?と疑問におもうことがあって、それは、令和の日本で「嫌われず要領よく振舞う」、SST(ソーシャル

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ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済

ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済

以前に一度読んだことがあり、改めて読みたくなって図書館で借りた。9年前の本なのに図書館で予約してから回ってくるのに3ヶ月。最近は図書館の使い勝手が悪くなる一方だ。

クルミドコーヒーの影山さんは東大マッキンゼーからのベンチャーキャピタル、そして今はカフェ店主という異色の経歴。ただ、異色なのはその経歴というよりはむしろ、その経歴から安易に想像してしまう経験や強みを活かすどころか捨てていくようなコミュ

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逆ソクラテス

逆ソクラテス

小学生が主人公で、カンニングから始まるミステリーぽい話なのかな?と、下の子のために買った小説。もちろん小学生も読めるけど、私自身気づかされることが多すぎて、小学生を育てる親世代も読むと良いと思えた。

生徒を差別する教員、怒鳴り威圧させることでチームを率いるコーチ、そうした大人たちの影響を受けて、友人を揶揄ったり若い教員を困らせて、そんなことしか楽しみを見出せない子どもたち。
短編の一つ、「非オプ

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言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

新年1冊目。夕方に北陸で大きな地震があり、遠く離れていても心が落ち着かない。メディアから少し離れるために終盤一気に読んだ。

行政の乳幼児健診やクリニックの発達相談で、
言葉の遅れについて相談を受けるケースも多く、言語獲得の発達についてはある程度前提知識もあったけれど、
オノマトペの言語学的な知識はなかったので、面白かった。世界のオノマトペの共通性や日本語のオノマトペの規則性などが事例とともにたく

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訂正する力

訂正する力

今年も様々な本に楽しませてもらった。
本を読んで自分を省みるし、本を読んで社会や他者に関心を持つ。本は、心地よく生きるための道標だなと、つくづく感じる。

東さんの本はいくつかトライしては難しくて、
難しくありませんと書いてあるのにも関わらず難しかったのだけれど、この本はとても読みやすかった。

現状維持でもリセットでもなく、訂正。
修正ではなく、訂正。

現状維持もリセットも思考停止で幼稚だ。

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言葉のズレと共感幻想

言葉のズレと共感幻想

レビューを読んで興味を持ち、図書館で予約していたのがようやく回ってきた。
始まりから具体と抽象の話が出てきて、「あれ?この話どこかで…」と思ったら、佐渡島さんの対談相手は、夫が買って本棚に置いてあった本"具体と抽象"の著者だった。

私は心理士として相手の心の奥深くに耳を傾ける仕事をしているので、とにかく具体だ。
具体の話をしないと、素の感情的な部分に迫れない。
以前読んだ信田さよ子さんの"言葉を

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ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち

ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
からの流れでハマータウンの野郎どもを読んだのが1年前くらい、そして先日いつもチェックする本屋のちくま文庫のコーナーでこの本を見つけた。
ハマータウンの野郎どもで描かれた若者世代が、紛れもない"おじさん"世代となり、英国のEU離脱に揺れる様子を、彼らの魅力を引き出しながら描くノンフィクションエッセイ。
時にハハッと笑っちゃいながらも、現在の英国の社会保障シ

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藤井聡太のいる時代

藤井聡太のいる時代

愛知県瀬戸市は私の母の地元だ。
幼少期の頃から年に数回、母に連れられ名古屋から名鉄に揺られて新瀬戸駅に降り立った。
高校生くらいになってからは、隣の無人駅の瀬戸市役所前駅から、ゆるゆると続く坂道を歩いて1人で祖父母の家に行った。25年前の記憶では、陶器で有名な、のどかな田舎町だ。

年老いた母にとっては、自分の地元で生まれ育った若くて品の良い青年は、自分の息子同然、誇りでしかない。
半年前に姉の同

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木曜日のシェフレラ

木曜日のシェフレラ

私は乳幼児期が中心なので、スクールカウンセラーの経験はないが、スクールカウンセラー経験の長い友人が勧めてくれたマンガ。近所の本屋は数軒廻っても全然売ってなくて、横浜そごうの紀伊國屋書店で見つけた。

薄めの単行本でまだ2巻だけだが、スクールカウンセラーがわかりやすく描かれていた。

スクールカウンセラーはたいてい週1日しかいない。(これも実は自治体によりけりで、私の住む川崎市の小学校は週1もいない

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天日干し経営

天日干し経営

発売日に書店で購入した。
内容について語るには畏れ多いほどにお世話になった恩人なので、出会った頃の話を。

最初に接点を持ったのは、転職して半年、25歳の時だったと思う。当時担当していたお客様のことで、若いキャリアアドバイザーの私は会社にいけなくなるほど酷く傷つき、仕事を続ける自信を失っていた。その時に、突然にメールが届いた。
君は悪くないし、お客様を悪く思う必要もない。これからも自信を持って仕事

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