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逆ソクラテス

小学生が主人公で、カンニングから始まるミステリーぽい話なのかな?と、下の子のために買った小説。もちろん小学生も読めるけど、私自身気づかされることが多すぎて、小学生を育てる親世代も読むと良いと思えた。

生徒を差別する教員、怒鳴り威圧させることでチームを率いるコーチ、そうした大人たちの影響を受けて、友人を揶揄ったり若い教員を困らせて、そんなことしか楽しみを見出せない子どもたち。
短編の一つ、「非オプティマス」の中で、こうした負の連鎖に巻き込まれ教員を困らせる生徒たちや、授業参観で「がつんと言ってやってください」と声をあげる親たちに、がつんと言わない久保先生は言う。

もし先生がみんなを叩いたり、もしくは恐ろしい言葉と恐ろしい声で叱って、それをやめさせたとしたら、君たちはどう思う?
将来自分が大人になった時も、ああやればいいんだなと思う。

伊坂幸太郎(2023)逆ソクラテス

虐待の連鎖と同じ話だ。特に私たち40代は、厳しい団塊世代に育てられ、バブルも経験せず就職は氷河期、耐えることで自分の成功を掴んできた。
私自身も、自分の子どもと関わる中で「私が子どもの頃はもっと親の言うこと聞いたよな…」と頭をよぎることがしばしばある。これが怖い。

職場など大人のコミュニティなら調整できる感情も、家族という距離の近さの中でつい、緩む。
親からされて嫌だったことも、親からされて良かったことも、今、自分が大人になってラベリングしている認知だと気づくことが必要だ。

子どもをより良く導くためには、ソクラテス的に無知の知を常に意識することが大切だと、改めて気付かされた。

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