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ここは島国

日本って、島国なんだよなぁ。と、当たり前のことを、強く感じるようになった。

病気になってからというもの、海の向こう側、海外に対する想いが日に日に強くなってゆく。向こう側が知りたくて、向こう側の人と話をしたくて、生活を覗きたくて、ごはんを食べたくて、仕方がない。

なんでそんな大昔の人みたいなことを言ってるの?って思われるのだろうけれど、パニック障害という病気になると、「飛行機」が一番のハードルになってしまう。症状は人によって本当にまちまちで、エレベーターに乗れない人もいれば、電車に乗れないひと、渋谷スクランブル交差点みたいな人がいっぱいいるところが怖くなるひと、とかいろいろあるけれど、いろいろと乗り越えた最終的には、飛行機が一番ハードルが高い。あの閉鎖空間に、不安感を覚えてしまう人が多い。

私も病気になってからそう感じるようになった。発症してから誰にも打ち明けられなかった2年間の間に、出張で何回か海外に行っていたし、その時にも実際に飛行機で発作を起こしたことはないから、治療がしっかり出来ればきっと大丈夫だと思うのだけれど、こればっかりはトライしなければわからない。

休職して、ある程度身体の自由がきくようになってくると「海外でも遊びに行っちゃえばいいのに!」とか「旅行に行くとすっきりするよ」とたくさん声をかけてもらえるのだけど、それが出来ないからしんどいのよ・・・という気持ちもある。もちろん、そんなことは当事者じゃないとわからないのだから、そう声をかけてくれる人に全く罪はないし、嫌な気持ちもない。

そのときどきの体調で、出来る範囲で、やれることを目一杯やりたいと思うようになる。人間って本当に面白いもので、何でも出来たときはあんなにも消極的だったり臆病だったのに、「出来る範囲はここからここまで」って決められてしまうと、その範囲内でどこまで面白いことが出来るだろうか、楽しめるだろうか、とワクワクするものだ。面白そう、と少しでも目にとまったものや頭に浮かんだものがあれば、スケジュール帳を広げて、自分の胸に手を当てて「やってみる?どう?いける?」と自分と対話し、遠出していきたかったところに行ってみたり、話を聞いてみたいと思う人に会いにいったり、参加したいイベントに応募してみたり。そんな生活をしている。運がいいのか、想いが伝わるのか、そもそも応募者数が少ないのか(笑)、何なのか全然わからないけれど、そうやって行動し始めてから応募したイベントやセミナー、ライブなどは、全部当選している。なんでなんだろう。本当に不思議。笑 行動してみたもん勝ちなんだなぁって本当に思う。そうやって獲得した「参加権」はフル活用したいから、興味深い話は全部メモしたり、撮影していいものは写メを撮りまくったり、場の空気を肌で感じて吸収したり、憧れの人や話してみたいと思っていた人にはお手紙を書いて渡してもらったり、これまででは考えられないほど積極的になっている。そうやって過ごす時間は、本当に楽しくて尊い。体力は使うけど。

で、そんなこんなで、興味の範囲が広がり、そしてクリアになっていくほど、もっと広い世界と出会いたい、と思うようになる。そこで立ちはだかる、飛行機の壁。本当にさ、病気になるまで感じなかったけれど、日本って島国なんだよね。どこに行くにも、飛行機にのるしかない。どうやっても、飛行機以外の手段が見つからない。あぁ、こんな広い海の中にぽっかりと浮かんだ島国で、私は生きているんだ、と思う。何とも言えない不思議な気持ちになる。思わず大きな世界地図を買った。「海外」という言い古した言葉よりも、「海の向こう側」という言葉の方がしっくりくるようになった。

今現在は行けないけれど、近い将来、その「海の向こう側」に足を踏み入れたとき、たぶん私は、泣いてしまうと思う。これまで幾度となく行った異国の地でも、全く違う場所に来たように感じると思う。私が、全く別の人になっているから。別の感覚を持っているから。異国の地を自分の足で踏むことの出来る喜びも、その土地の生活や価値観を感じることができる喜びも、その土地の人と話ができる喜びも、全てがスパークする予感がする。全部が、一度当たり前じゃなくなったからこそ、感じられる喜び。

そんなワクワクが止まらない。そのときを最大限の喜びをもって迎えられるように、そして、そんな気持ちを伝えられるように、英語の勉強、コツコツがんばるんだ。きっとできる気がする。そしてそのころには、「飛行機の壁」はぶち壊れてる気がしてならない。

最近、こんな動画を観ている。ロイター通信が毎日更新している、その日世界各地で撮影された写真をスライド化したもの。それぞれを深堀しようと思えばできるのだろうけど、そこまでやる必要もないくらい、世界では毎日、色んな人が、色んなことをしている。それを知るだけで、面白い。

Sae

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