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国際法

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宇宙関連の国際法を3分で解説しています。
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#宇宙

日米交換公文から学ぶ決断力

日米交換公文から学ぶ決断力



アメリカの輸出規制緩和昨年の記事ですが、アメリカが宇宙開発の国際連携強化策として、同盟国への輸出規制を緩和する検討に入ったとのニュースが報じられました(なお、中国への輸出については厳しい規制を維持)。中国との関係は気になりますが、同盟国間の協力によって宇宙開発がより加速することが期待されそうです。
日本は、今でこそH-Ⅱロケットやイプシロン、きぼう、こうのとり等をはじめとした技術を提げて宇宙開

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3分でわかる国連スペースデブリ低減ガイドライン

3分でわかる国連スペースデブリ低減ガイドライン



今月10日、政府は、スペースデブリ(宇宙ごみ)を除去する技術の実用化に向けた財政支援を検討することを発表しました。エンジニアの方々からは様々な意見が出ており、デブリに関する「世間一般」の認識と現場の認識との間には少々差があるようにも思えます。

以前、デブリに関するルールメイキングから得られる学びを取り上げましたが、今回は、そもそも国連スペースデブリ低減ガイドラインはどのようなことを規定してい

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3分でわかる宇宙エレベーターの法律

3分でわかる宇宙エレベーターの法律



エンデュミオンの奇蹟「宇宙に行く」というフレーズを聞いたときに、どのような手段を思い浮かべるでしょうか?まず思い浮かべるのはロケットだと思いますが、他の選択肢として宇宙エレベーターという構想があります。「とある魔術の禁書目録」にも出てくる宇宙エレベーターには、どのような法律上の課題があるのでしょうか?

宇宙エレベーターとは宇宙エレベーターは、まさに地球と宇宙空間とを結ぶエレベーターです。日本

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3分でわかる宇宙資源をめぐる法律

3分でわかる宇宙資源をめぐる法律



水の発見宇宙には、レアメタルや水などの資源があるとされますが、昨日、小惑星リュウグウの地表から水成分が発見されたことが明らかになりました。水からは水素を生成できるため、将来的に液体燃料としての活用が期待されます。宇宙には他にもレアメタルなどの資源があるとされますが、今回は、宇宙資源をめぐる法律上の考え方を取り上げます。

宇宙資源は誰のものかそもそも宇宙資源を獲得できたとして、それは誰のものに

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3分でわかる宇宙食のルール

3分でわかる宇宙食のルール



Space Food X3月27日、JAXAと民間企業が連携して宇宙と地球の食料に関する課題解決を目指すという「Space Food X」プロジェクトが発表されました。参画メンバーを見るとまさにオールスター感があり、今後の展開が楽しみなプロジェクトとなっています。
ところで、地球上の食品に関しては食品衛生法をはじめとした様々なルールがありますが、宇宙食に関しては何かルールがあるのでしょうか?

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3分でわかるCOPUOS

3分でわかるCOPUOS



COPUOSとは?宇宙条約をはじめとする宇宙関連条約(宇宙条約、宇宙救助返還協定、宇宙損害責任条約、宇宙物体登録条約、月協定)は、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS : United Nation Committee on the Peaceful Use of Outer Space)で作成されました。COPUOSが国連で初めて召集されたのは1958年で、翌年に正式な委員会となり、20

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マンガで分かる宇宙法体系



宇宙法という名の法律はない「宇宙法」というと、どのようなイメージを持つでしょうか?
「法律」というただでさえよくわからないものに「宇宙」というもっとわからないものを掛け合わせているのだから、全く意味不明のものに違いないという印象を持たれるかもしれません。
実は「宇宙法」という名前の法律があるわけではなく、宇宙に関するルールを定めた条約や国連決議、声明文、法律などをいろいろまとめて「宇宙法」と呼

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マンガでわかる宇宙法のニーズ

マンガでわかる宇宙法のニーズ



宇宙ビジネス戦国時代だからこそ今日、国内外を問わず、ロケット打上げサービスや衛星データ活用といった、宇宙に関わる数々のサービスが生まれています。

もっとも、宇宙空間は誰のものでもないことや、個人単位を超えて国単位の話となり得ること、活用している技術が最先端であることといった事情から、今までは(地球上のビジネスでは)考えられてこなかった問題も多く生じてきます。
そうであればこそ、必要になるのは

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3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ

3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ



人工衛星に対するサイバー攻撃人工衛星は、通信やGPSはじめ広く民生技術としても活用されていますが、使い方によっては人の生命をも奪い得る能力を秘めています。
例えば、複数の衛星が同一地点に向けて電波を発すれば巨大な電子レンジが出来上がりますし(殺人兵器になり得ます)、GPSの信号に誤りを生じさせて自動運転車の事故を発生させることも可能でしょう。
そうだとすれば、人工衛星あるいはその設備をハッキン

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3分でわかるクロスウェーバー

3分でわかるクロスウェーバー



7月16日、JAXAシンポジウム2019 「JAXA Begins New Era」が開催されました。
パネルディスカッション「宇宙開発とサブカルチャー “宇宙と創造力のランデヴー”」の中で、「宇宙開発は性善説」という文脈で「クロスウェーバー」という用語が飛び交っていました。JAXA國中理事がわかりやすく解説されていましたが、具体的にはどういうことなのでしょうか?

クロスウェーバー=お互いに

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3分でわかる宇宙空間と犯罪

3分でわかる宇宙空間と犯罪



6月にISSから帰還したNASAの宇宙飛行士が、別居中・係争中の配偶者の銀行口座にISSから不正アクセスをした疑いで調査を受けている事件が話題になっています。
口座へのアクセス自体は認めているものの、「家計をチェックしただけ」であり、不正行為であることは否認しているようです。
いずれにしても真実は今後明らかになるとして、「宇宙空間での犯罪行為」ということで注目されています。

ISS政府間協定

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3分でわかる宇宙ビジネスと特許権

3分でわかる宇宙ビジネスと特許権



宇宙で発明した場合?宇宙旅行をはじめ、人類が宇宙空間に進出する機会が増加しています。
より多くの人が宇宙へ行くとなれば、新たな発見や地上ではなし得ないような芸術作品が生まれることでしょう。

宇宙兄弟では、せりかさんがALSの治療薬実験をしていました。

では、宇宙空間での発明に関する知的財産権はどのように取り扱われるのでしょうか?

そもそも特許とは?ー技術を独占的に実施できる権利特許権とは

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3分でわかる月の土地の所有権

3分でわかる月の土地の所有権



月の土地を持ってるんだけど...?「宇宙法」というワードを口にすると、「月の土地を持ってるんだけどこれって有効なの?」という質問を受けることがよくあります。
月の土地という響きは夢のあるお話ですし、月だけでなく火星の土地についても売買されているようです。
こうした天体の土地の売買は有効なのでしょうか?

宇宙条約と天体の領有禁止まず、宇宙条約2条は以下のように規定し、国家が天体を所有することを

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3分でわかる安全保障貿易管理

3分でわかる安全保障貿易管理



宇宙技術はもともと軍事技術ですが、技術の発展のためには国際的な取引を伴います。
軍事技術のような慎重な取り扱いが求められるものの取引について、安全保障の観点からはどのようなルールがあるのでしょうか?

安全保障貿易管理とは?ー軍事技術は一般的なルールと区別仮にロケットや人工衛星を作って打ち上げる場合を考えてみます。
全ての国が打上げ設備を持っているわけではありませんし、ロケットも軌道へ投入でき

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