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3分でわかる宇宙食のルール

Space Food X

3月27日、JAXAと民間企業が連携して宇宙と地球の食料に関する課題解決を目指すという「Space Food X」プロジェクトが発表されました。参画メンバーを見るとまさにオールスター感があり、今後の展開が楽しみなプロジェクトとなっています。
ところで、地球上の食品に関しては食品衛生法をはじめとした様々なルールがありますが、宇宙食に関しては何かルールがあるのでしょうか?

ISS Food Planと宇宙日本食認証基準

ISSへ宇宙食を供給するには、「宇宙日本食認証基準」を満たさなければなりません。これは、ISS計画の参画国が合意したISSへの宇宙食供給に関する基準文書「ISS Food Plan」をアレンジ(日本の食品安全基準を遵守しつつ具体的な要求事項を定める)したものです。
食品製造業者がJAXAから宇宙日本食として認証を受けるために遵守する必要がある基準やプロセスが明確化されており、「宇宙日本食」として認証が認められると5年間有効、更新が可能です。

要求事項

「宇宙日本食」として認証を受けるために宇宙日本食認証基準が要求する事項は以下のとおりです(出典:JAXAホームページ 「宇宙日本食」の認証基準の制定について)。

1 製造設備等の設置場所及び宇宙日本食製造に当たって有すべき設備の要求
日本国内に各種製造設備・分析設備等がある必要があります。

2 製造設備の衛生管理体制の要求
NASAが開発したHACCP(ハザード分析に基づく重要管理点)またはそれに準じた衛生管理を行うことが求められます。

3 食品に対する要求
以下の5つの観点からの基準をクリアする必要があります。

①衛生面: 微生物検査基準を規定(NASA基準準拠)
②栄養面: データを取得すべき栄養成分項目を規定
③品質面: 水分活性検査、粘度検査、官能検査基準を規定
④保存面: 軌道上での9ヶ月間の品質保持要求に応えるため、12ヶ月間の定温庫による保存試験、及びその前後の検査を実施
⑤包装の完全性:減圧検査、耐圧要求、耐寒・耐熱要求等を規定

4 容器包装に対する要求
既定の容器または基準を満たす容器を使用することが必要です。を規定

5 ラベルに対する要求
容器包装に貼付するラベルは、規定された記述内容、ラベルサイズである必要があります。

6 検査の実施機関についての要求
食品衛生法及び健康増進法の登録検査機関による食品の検査が必要です。

搭載プロセス

無事に「宇宙日本食」として認証を受けた宇宙食は、ISSへ輸送されます。
まず、ISSでの長期滞在が決定した宇宙飛行士による試食会が開かれ、搭載用宇宙食として選定されます。選定された宇宙食はJAXAからメーカーに発注され、メーカーはJAXAに納入します。
JAXAは、納入された宇宙食を検査した後、SpaceXなどの打上げ機関に輸送し、打上げ機関によってISSへ打ち上げられます。

参考:
・JAXAホームページ 「宇宙日本食」の認証基準の制定について
・JAXAホームページ 搭載プロセス
・宇宙日本食調達・輸送基準(ISS 搭載用)F改訂版 JAXA有人宇宙技術部門

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