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いつかのための詩集

140
どこかで酒と出会うための詩集。
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#恋愛

ねえ、けむりの傍で眠ろう

ねえ、けむりの傍で眠ろう

あれは強い雨の日だったよ

君はバッグを傘にして走る

ヘッドライトに照らされて

濡れた瞳の欠片をみたよ 

スマホが

君は人混みとぶつかるように

落ちた 落ちた 落ちた

走りきってた 息が先駆け

僕は消え入る霧の虜の木

君が座る すっと

僕が立つ さっと

隣が 隣で 雨が強まってく

手で顔を隠す

開く 瞳を見た 見た

加速していく夜の光が

なんだか今日は蛍に思えて

いつ

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ランチタイムに亡霊を見て、夜

ランチタイムに亡霊を見て、夜

スプーンをぷすーんと刺して出かけよう

もう何もいらない喉につるりつるりつる

りと流し込んでゆく、今日もまた来てし

まったという市松模様の後悔をぴしゃり

と閉じきって左手でベルを鳴らそう、あ

なたと、ポテトと。「こんな夜だからこ

んな夜だから」とあなたが言っていた、

フォークを持つととどの詰まりそれは死

刑宣告の幕開けマクアケお開きが予想さ

れますご注意ください今日も明日も色の

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あなたと涙は音楽となりて

あなたと涙は音楽となりて

あなたと涙は音楽となりて

今私を包んでいる気がした

夕方17時を知らせる鐘が

車のガラスを高音に染める

爆撃機のようなヘリの音が

心臓の皮と共鳴をした気が

したから今私が摘んでいる

おぼろげなあなたはくしゃ

くしゃに泣いている、明日

の朝には大洋の小舟同士ね

、なんて呟いて私達は難波

しだした、とたんに高波に

さらわれてしまって、岸壁

すらすすり泣きを続けてい

る、空は

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ふりかえりふりかえるふかいえり

ふりかえりふりかえるふかいえり

ふりかえりふりかえる

ながい髪 ゆれた

ふりかえりふりかえる

右足はすくんだ

ふりかえりふりかえる

ふかいえりおりたたむ

ふかいえりおりたたむ

ふかいよるにたたずむ

ふかいえりおりたたむ

ふかいなタバコに酔う

ふかいえりふりかえる

展開するあらましを紡いだ

ハンカチの角をたどって指がある

ふかいえり編んでゆく指がある

ふりかえりわらったわらった君

ルービックキューブの

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燃やす燃やす日々の頭上で

燃やす燃やす日々の頭上で

わたしが出会わなかったたくさんのわたしの

眼をくりぬいて丘でもやそう

手を繋ぐ午後

飲んで帰る空

触れられなかった散り散りの雲

の、ような胸の奥

さえずるギリギリの口角

腹立たしさをたたえて眠る

攻撃的な木漏れ日

まるで他者な朝

冗談のようなミニ・スカート

まとめて猫に運んでもらおう

三毛かな アメショかな

泥棒だった!

あれはシーフ 一流のシーフ

銭形警部が裸足で逃

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モノクロームのとき

モノクロームのとき

器を見つめて

ゆるく曲がり

きっ と切れて

そっと佇む。 
 
 

木を見つめる

根を思う

枯れてしまえよ

そっ といじわる。
 
 

テレビをつけて

8→4

6→5

1→2

(ピンポーン。)
 
 

あかりを けしてよ ねえ
 
 
 

正面から みて

正面?

そう

こう?

ううん

ん?

こう。

こう、か。

そう。

ああ。

ね。

うん。

好き(

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ライドオンライトライト

ライドオンライトライト

おわりにしよう かよこ

闇、暗がりに僕らの僕らを返す

1、2、3の右足で水たまりを踏み潰す

―星屑までもが踊っている踊っている跳ね切る水

1、2、3の速さで駆け抜ける季節

ひまわり畑が泣いている

ソフトクリームが灰色に溶ける胡麻

稲光ばかりが耳を殴り塞ぐ

 
 

雨があがったら
 
うん
 
雨あがったら―
 
うん?うん

 
 

ハイヒールかつんかつんかっ響く季節

1、2

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ブルーライオット・ユース

ブルーライオット・ユース

青を見た
 
君の横で

急に青だ

何だ青か

切な雨だ

青だ密だ

密な蜜だ

重ね心だ

手を重ね

層が爽だ

指が青だ

脚が青だ

服が青だ

笑が青だ

凛と喉が

青と君だ

遠い青だ

熱く青だ

手の熱だ

君の顔だ

空に抱く

実の虚だ

僕の青だ

宵の口 酔の口 よいの、口?

宵の口 酔の口 よいの、口?

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

なめろうまでが 苦い

隣の客が うるさい

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

口紅が とけてゆく

くらいの ひややかな

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

部屋の整理は終わり あとは鍵を返すだけ

不幸脱ぐ不幸脱ぐ 私及び君

この一口で何を思い出すだろ

杯 かたむける かたむける

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巡る覆水ばかり

巡る覆水ばかり

水風船われた 君のそばで 水風船われた

水風船われた 水風船われた

あいつにかかった 水風船われた 澄んだ極彩色が 

水風船われた 月がしめった 枕が香った 水風船われた

気がした

水風船われた 水風船われた 水風船われた

君が笑って 水風船われた 水風船われた

ぬれてしまった 水風船われた 

水風船われた 麦わら帽が麦茶味

水風船われた 水風船われた

20年越しで 水風船われ

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ねがいごと

ねがいごと

ねえ、雪が降るね
そうだね
あたりは真っ白
そうだね
ペヤング食べちゃった?
うん
冷凍庫の爽は?
うん
そっか

豚がいい?
ん?
鶏にしよっか?
うん
すだち?
ゆず
チューブで買っておいた、一応
うん

マフラーしていきなよ
うん
寒いんじゃないかなあ?
んー
靴下薄くない?
んー?
こっちにしなよ
うん

星がきれい
うん
初めて見た、こんなの
普通じゃない
普通じゃ、ないよ
そう
そうだ

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8.20 17:34 後輩さんと別れていたら

8.20 17:34 後輩さんと別れていたら

先輩 よろしくお願いします
先輩 おつかれさまでした
先輩 初めまして
先輩 おはようございます!
先輩 ハンカチいります?
先輩 電気つけたままですよ
先輩 道こっちで合ってますか?
先輩 なんか倒れそうです
先輩 傷ついてもいいです
先輩 そのあとで私を蹴飛ばしてください
先輩 黙ったままなんですか
先輩 眉毛ひきつってます
行きましょう 先輩
先輩 飛行機飛んでます!
先輩 飲み会行っちゃだ

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