見出し画像

高額療養費制度の活用〜医療保険不要論を鵜呑みにしている方は注意〜

巷では保険不要論なども賑わってますね。

YouTuberなどによる保険本来の本質部分が
語られず損得勘定だけで解説されているため、
本当に保険が必要な方へ保障が行き届いて
ないような気がします。

保険業界にいる者としてとても不安視しています。
我々保険業界にいる保険営業マンが保険のご提案
をする機会が減るからではなく、
万が一が起こった際に、保険が必要な家庭に
保険未加入という事態が起こり、人生真っ暗闇
となるご家庭が続発するかもしれないからです。

過去記事では、生命保険勧誘時に公的保障の
ご説明が義務化されるかもしれないという記事
を記載しました。

この記事では、特に死亡保障中心で「死亡保険
がなぜ必要なのか」の想いを書かせていただき
ました。

保険不要論信者に染まってしまっている方は、
まず上記記事からお読みいただけるといいかな
と思います。笑

では、本日は死亡保険以外にも不要論の的と
されている「医療保険」についてです。

医療保険を考えるにあたって、必ず押さえて
おきたい制度があります。

まずは、医療保険に加入していなくても
国から得られる保障から解説します。


基本の部分からですが、
サラリーマンである方であれば「健康保険」
自営業の方であれば「国民健康保険」に加入
されていますよね?

皆さん毎月医療保険とは別で国の医療保険に
入られています。
そのため、サラリーマンの方であれば、一定
保険料を給与から差し引かれているのではない
でしょうか。

健康保険であれば、標準報酬月額(4月~6月
の給料の平均)をもとに算出された保険料と
なります。
また、労使折半としてお勤めの会社が半分は
保険料を支払ってくれていると思います。

国民健康保険であれば、自治体ごとによって
計算方法も変わるため割愛しますが、多くは
世帯ごとに「前年の1月~12月の所得」「加入
者数」「年齢」をもとに計算されています。
また、健康保険とは違い全額自己負担です。 

この健康保険等に加入して、保険料を支払って
いることから、万が一ケガや病気をされた際、
医療機関の窓口で支払う医療費の自己負担額は
「3割」となります。

※70歳以上74歳以下の方は2割
 70歳以上であっても現役並み所得者は3割
 75歳以上の後期高齢者医療制度では1割も
 詳細は割愛します

この自己負担3割がまず基本の部分です。

例えば、100万円の医療費がかかったとすると、
30万円で済むという訳ですね。

しかし、ここでもう1つ制度があります。

本日のテーマでもある「高額療養費制度」です。

高額療養費制度とは、1ヶ月の間に医療機関等の
窓口で、自己負担3割となった金額が一定額以上
の場合、 その一定額を超過する部分を申請する
ことで還付が受けられる制度です。

例えば、上記の例で高額療養費制度を利用すると
下記の通りです。

画像元:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

自己負担の上限額は69歳以下の方と70歳以上の方
で計算方法が分かれています。

ここでは、69歳以下の方で見てみましょう。

画像元:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

上記例は、70歳以上・年収約370万円~770万円
の場合ですので、「ウ」に当てはまりますね。

そのため、1ヶ月の自己負担限度額は、
80,100円+(100万円-267,000円)×1% 
=87,430円

となります。

そのため、自己負担3割の30万円から、
高額療養費制度を利用すると、1ヶ月の
自己負担限度額は87,430円となるため、

30万円-87,430円 = 212,570円

212,570円還付を受けられます。

これが高額療養費制度です。
高額療養費制度は多額の医療費がかかったと
しても、家計の圧迫を防ぐとても良い公的保障
なので活用しない手はありません。

では、月に100万円の医療費がかかっても、
約8万円で収まるのなら、医療保険は不要と
思われた方もいらっしゃいますか?

これが不要論で突かれている部分ですね。

国からこれだけの保障を受けられるため、
民間保険会社の医療保険は不要だという
考えです。

これは、家庭の資産保有額や家計状況によっては
たしかに不要となり得るケースがあります。

年収1億円ですという方が医療保険が必要かと
言われたら不要かもしれません。
何かあれば資産の取り崩しで済むでしょう。
キャッシュリッチな方に保険が必要な機会は
相続対策くらいでしょう。

しかし、多くの家庭の場合、家計状況もギリギリ
で生活されている中、保有資産もまだまだ十分
ではないということが多いでしょう。

そのような中で、大きな病に罹った場合、
あなたならどうしますか?

例えば、がんに罹患されたとしましょう。

がんになった場合は、今まで通り働くことも
困難になり、今までと全く同じ収入が得られ
ないケースもあります。

さらに、多額の医療費が数年重なり、家計を
大きく圧迫するでしょう。

お給料も少なくなった、さらに将来のための
保有資産を取り崩すのも心配、、、

どのような治療を受けるかにもよりますが、
上記の自己負担額約8万円という額が、
数年続くことを考えるとどうですか?
ご家庭の状況を考えてみてください。

また、がんについては保険適用でない
「自由診療」も存在します。
こういった保険適用とならない医療を受ける
場合は全額自己負担です。3割負担もありません。


どうでしょうか。
多くの方が心配と考えると思います。

前回の記事でも記載しましたが、
保険は損得勘定で考えるから「保険不要論」
に行き着くのです。

保険は損する、損しないのテーブルで考える
ものではないんですよね。

もちろん可能な限り必要な保障に、できるだけ
損をしないコスパの良い形で入ることは大事
ですけどね。

もしがんにならないのなら、医療保険なんか
入らない方が家計は安定するため不要です。

しかし、限られた家計状況で、今と変わらない
生活を守るための最大限のリスクヘッジをする
には保険しかないんです。

このことを忘れないでください。


一般的に語る保険不要論は一部のケースです。
全ての方に保険が不要となるわけではありません。

また、基本的に「不要」などと極端な表現で
ウケの良さや、再生回数やいいね稼ぎをしている
中身のない動画も中にはあります…

ご自身の家計状況や必要な保障額に当てはめて
考えてください。
人それぞれ必要な保障は違う中で、一般論の
解説はあくまで一般的なものです。
あなたに合っているかどうかはわかりません。

大切なのは「一般的に」ではなく、
「自分だったら」という視点で考えてください。

この辺のサポートは私たち生命保険募集人に
お任せください。

では、高額療養費制度のお話に戻りますが、
あと2つほどメリットがあります。

それは、「世帯合算」と「多数回該当」です。

世帯合算とは、同じ世帯にいる被扶養者の受診
については、1ヶ月単位で合算することが可能
というものです。

そのため、奥様やお子さんなどが医療機関で
受診した際の金額も加味して考えることが可能
です。

その合算金額が自己負担限度額を超えていれば、
高額療養費の還付を受けることが可能です。

多数回該当とは、過去12ヶ月以内に3回以上、
上限を超えた場合は4回目から「多数回」該当
と判断され、自己負担の上限額が下がるという
仕組みです。

画像元:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

直近で3回以上限度額を超えたという方は、
この多数回該当も当てはまる可能性があります。

このように、医療保険を考える際には、
まず公的保障として活用できる高額療養費制度を
必ず理解しておきましょう。

しかしながら、国が守ってくれるのも限度が
あります。

ご自身の家庭の状況を考え、必要なリスクヘッジ
が可能なのが医療保険です。

しっかりと情報を精査した上で、必要な保障の
ご準備をいただきたいと思います。

それでは。

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?