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香りのこと

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香水の感想を読むのが好きなので、「おめかし」とは別のマガジンに入れさせていただいてます。
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#エッセイ

あの人のアールグレイが忘れられなくて

あの人のアールグレイが忘れられなくて

あの人からは、いつも紅茶の香りがした。

20代の頃、同じ会社にHさんという年上の女性がいた。
10歳くらい離れていただろうか。

部署は違ったが、私が所属する部署と常に連携が必要なため、仕事で話さない日はなかったはずだ。

Hさんはあめ玉のような丸い頬をしていて、上半身ががっしりしている割に足の細い人だった。
いつも笑顔で、不機嫌な表情や声が刺々しかった記憶が一切ない。
おまけに天然で、男女問わ

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名前が秀逸だと思う香水②

名前が秀逸だと思う香水②

もうすぐ、薔薇の季節がやってくる。

ここフランスに根付く薔薇の生命力は、日本のそれよりすごい。

車がビュンビュン通る道路脇にも生えているし、家の軒先にも、もちろん森林にも、太陽の姿を追いかけながら力強く自生している。

そんな逞しい姿には、カタカナのバラではなく、アルファベットのROSEでもなく、漢字の薔薇という文字がよく似合う。

「薔薇」

・・・強そう。・・・なにこの無双感。

キーボー

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わたしの“一軍”香水、精鋭たち①

わたしの“一軍”香水、精鋭たち①

メイクして、髪をセットして、服を着て。
最後の仕上げに、香りをまとう。

出かける前のルーティーンは、高校を卒業した18歳の春からずっと続いている。

あれから○○年、マダムになりフランスに住まいを移した香水ヲタクのわたしが、どんなフレグランスをまとうようになったのか。

青くさかった18歳の自分にぜひ教えてあげたい。

・・・「己を知れ」

(18歳でDiorのプワゾンをまとっていた)

しかし

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私を守ってくれるのはゲランの香水 ラール エ ラ マティエール•ウードヌード

私を守ってくれるのはゲランの香水 ラール エ ラ マティエール•ウードヌード

48,400円。私のお守りの値段である。 

ゲラン•ラール エ ラ マティエールの、ウードヌード。
ゲランの最高峰のフレグランスコレクションの一つで、私は2022年の新宿での香水のイベント•サロンドパルファンでウードヌードに出会ってしまった。

試しに腕に乗せてみたら、濃厚なチョコレートのような香りに包まれた。
甘いだけではなく、リキュールも感じさせるような芳醇な香り。少しだけスパイシーで、大人

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夏の香水、シャネルのチャンス オーフレッシュ

夏の香水、シャネルのチャンス オーフレッシュ

暑くなってきたので、最近はシャネルのチャンスを手に取ることが多くなってきた。

筆者が持っているチャンスは、緑色のボトルでオーフレッシュという名前のもの。名の通りフレッシュで爽やかな香りだ。手持ちの香水の中で一番、万人受けする系かもしれない。そしてチャンスシリーズの中では一番、ターゲット層から外れた香りかもしれない。

シャネル チャンス オーフレッシュ(以降チャンス)の第一印象は、高校生や大学生

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ルラボで香水を買ったレポ

ルラボで香水を買ったレポ

筆者は生来の引きこもり体質であるからして、自粛期間というものはそれほど苦にならなかったのだが、一つだけ困ったことがあった。香水を試しに行くことができない。

待ちに待った緊急事態宣言の解除に伴い、各店舗も自粛を解除して再開を始めた頃、筆者がまっさきに向かったのはLE LABOの銀座シックス店である。

いやそこは代官山までいけよという声が聞こえなくもないのだが、あいにく別の用事があったので代官山ま

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雨上がり、灼熱のグリーン

雨上がり、灼熱のグリーン

 フレデリック・マルの「SYNTHETIC JUNGLE」をとうとう使い切ってしまった。返す返すも夏に最適な、爽快でビターな近未来グリーンであった。この1年はもとより愛用していた香りの他に、「SYNTHETIC JUNGLE」にほれ込んでしまったことから期せずして3つの香りを使い分けることになったが、なんといっても「SYNTHETIC JUNGLE」の登板がダントツであった。

◇◇◇
 
 天然

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コーディネートにジャスミンを〜フエギアで新たな自問自答テーマに出会う

コーディネートにジャスミンを〜フエギアで新たな自問自答テーマに出会う

Y'sの制服を着て日々を過ごすようになって、香水が欲しくなった。コーディネートの一部として、香りが欲しい。そんなことを思うなんて初めてだし、自分でも驚きだ。

自慢じゃないが、私は今までに香水を使い切ったことが一度もない。買った当初はうきうきと毎日つけるのだが、徐々につけ忘れる日が増え、半年もすれば香水の存在自体すっかり忘れてしまう。20代からそんなことを繰り返した結果、ここ数年は香水というアイテ

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ゲランという魔法

ゲランという魔法

使うたびに元気が出て、強くなった気分になるコスメ。
人それぞれあると思うが、わたしにとってそれはゲランのコスメである。

春の陽気になってきた日、久しぶりにゲランカウンターを訪れた。わたしはそれほど上客でもないし、数ヶ月に一回、手持ちのアイテムの中で足りなくなったものを補充する程度である。毎日メイクをする生活でもないので減りは遅い。それでも顔を覚えてくれているBAさんがいるので、いつも決まったコス

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香水沼という甘美なもの

香水沼という甘美なもの

身につけるものの中で香水ほど目立たず、しかし人の印象に残るものは他には無いのではないだろうかと思っている。ここ数年、筆者がハマっている沼はいくつかあるが、今回はその中でも「香水沼」について記述していこうと思う。

お気に入りの香りについては既に他の記事で書いているので割愛するとして、今回は香水沼に入って変わったとこととか香水沼の魅力について語ってみようと思う。

香水沼にハマったのは三年ほど前。た

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憧憬 熱烈 創造 体感 

憧憬 熱烈 創造 体感 

 先だって、ゲランのクラシック名香『夜間飛行』は香水とオーデパルファムとではまったく別物である、という見解を得てから両方ともを一日試すことができたのだが、実際これは本当にそうだった。知識として濃度の違いがあることは当然ながらわかっていたものの、そういう話ではないなと思うほど別物といっていい。当然ながら香水の方が断然欲しい香りであったが、自分の香りにかけられる金額を大幅超過という点でしぶしぶ見送った

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【フエギアは】香水専門店で、なぜか人生相談に乗ってもらった話【いいぞ】

【フエギアは】香水専門店で、なぜか人生相談に乗ってもらった話【いいぞ】

いつ行っても並んでいる、GINZA SIXの謎の一角それが「フエギア1833」(以下「フエギア」)という、アルゼンチンの香水専門店。

わたしとフエギアの出会いは、自問自答講座・お買い物同行ツアーで「あそこのお店、めっちゃ人並んでいますね」とあきやあさみさんに話したことです。
あまりに並んでいたのと、当時はあきやさんもわたしも「並んでまで香水を購入するガチ勢」ではなかったので、ショップカードを頂戴

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SHIROの香水 スモークレザー

SHIROの香水 スモークレザー

SHIROのフレグランスといえばサボンやホワイトリリーが有名だろう。SNSでよく見かけるので、気になった筆者は今年のはじめくらいに店舗に行ったことがある。

そこで思わぬ出会い方をしたのがパフュームシリーズだった。白い容器のお手頃価格なサボンなどのシリーズとは違って、透明な100mlのガラスボトルに入った、少し高級なシリーズのフレグランス。

思わず手にとって、香りを確かめてみた。

フリージアミ

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香水が好きな理由

香水が好きな理由

私は香水が好きだけど、香水そのものよりも、
季節・天気・服・心と調和する香りを選ぶことが好きなのだと思う。

いくつか香水を持っていたところから、カラリアを始めて香水の選択肢が増えた。
※カラリアは香水のサブスク
香水の選択肢が増えたので、より一層今日この時に合う香りを選ぶことが楽しい。

初めての香水初めての香水は、ラベンダーの香りだった。
小学生になる前に手にしたものだと思う。
直径1センチの

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