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日本美術史

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妙法院庫裏 修理工事現場公開

妙法院庫裏 修理工事現場公開

京都府文化財建造物修理工事現場2023へ行ってきました。
今年は妙法院の庫裏【国宝】の公開でした。

妙法院庫裏について庫裏とは一般的に寺院の台所を指しています。妙法院の庫裏は正面23.7メートル、奥行き21.8メートルと、庫裏としては巨大です。入母屋造、本瓦葺とし、頂部に煙出を設けます。建物は西を正面とし、唐破風造の
玄関が取り付きます。内部は西寄りの土間にかまどを設け、中央から東寄りには板間を

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大徳寺方丈 修理工事現場公開

大徳寺方丈 修理工事現場公開

京都府文化財建造物修理工事現場公開2022へ行ってきました。今年は大徳寺の方丈【国宝】の公開でした。

●大徳寺方丈について

方丈は大徳寺境内の奥に位置し、現在の建物は寛永12年(1635)に京都の豪商後藤益勝の援助により建てられた。
桁行29.9m、梁行17.0m、入母屋造、桟瓦葺(一部檜皮葺)の建物で南を正面とする。平面は前面4室、後部4室の8間で構成されており、前面を西(入口側)から礼之間

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2013年9月正倉院正倉整備工事第4回現場公開の写真記録

2013年9月正倉院正倉整備工事第4回現場公開の写真記録

 正倉院正倉は校倉造の建造物として有名で、天平勝宝八年(756)頃に建てられたと考えられており、聖武天皇、光明皇后ゆかりの品をはじめとする多くの美術工芸品を納めていた。
 建物は桁行九間、梁間三間、正面約33m、奥行約9.4m、床下約2.7m、総高約14m、寄棟造、瓦葺で北倉と南倉を校倉造、中倉を板倉造とする高床式の倉庫である。
 その正倉院正倉は平成23年(2011)8月~平成26年(2014)

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六華苑(旧諸戸氏住宅)へ行こう

六華苑(旧諸戸氏住宅)へ行こう

●六華苑について 愛知県と三重県の境目の三重県側、桑名市にある六華苑のお話です。もともとは諸戸清六という人物の住宅として大正二年(1913)に造られたもので、現在では桑名市の管理となっています



 大別すると洋館、和館、庭園から構成されます。

●洋館(国指定重要文化財)

 洋館【国重文】です。木造二階建てで四階建ての塔屋が付きます。設計は鹿鳴館の建築で有名なジョサイア・コン

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建築的に行きたいお寺の話

建築的に行きたいお寺の話

 建築的に行きたい寺社は本当に沢山ありますが、今回は愛知県、岐阜県の2寺院を紹介します。いずれも国宝指定の建造物を有する寺院です。

●金蓮寺(愛知県西尾市)  愛知県の三河湾地方の都市、西尾市にある金蓮寺です。名古屋駅から名鉄西尾線で1時間ほどのところにある、現在は曹洞宗のお寺です。

 なかでも弥陀堂【国宝】は1200年代頃に作られた愛知県最古の木造建造物です。
 桁行三軒、梁間

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ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)へ行こう

ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)へ行こう

 兵庫県の芦屋市にあるフランク・ロイド・ライト建築として有名なヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)へ久し振りに行きたくなりました。というお話です。

 阪急芦屋川駅で降りて川沿いに山手の方へ行くとあります。

 ヨドコウ迎賓館は鉄筋コンクリート造の4回建てで1924年に住宅として建てられたらものです。設計はフランク・ロイド・ライトで実施設計を弟子の遠藤新、南信が行っている。

 2階の応接室

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忠太妖怪コレクション-本願寺伝道院-

忠太妖怪コレクション-本願寺伝道院-



 伊東忠太(1867-1954)という明治~昭和時代の建築家をご存知だろうか。建築史というジャンルを確立した人でもあり、シルクロードを逆走していった人物でもある。
 そんな伊東氏が設計した建物には良く分からない謎の彫刻が置かれることがある。その謎の彫刻を誰が呼んだかしらないが「忠太妖怪」と呼ぶことにし、今回は本願寺伝道院(京都府)のものを紹介したい。

 本願寺伝道院は1912年に伊東忠太の設

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建築的に行きたい神社の話

建築的に行きたい神社の話

 趣味で日本建築史の本をアレコレと読んで、国内旅行のテーマにしてたことがありまして、最近は他県に赴くことがなかなか出来ませんが久し振りに自分が参拝したい神社の話をします。建築としても本殿が国宝指定を受けている三社をご紹介します。

●仁科神明宮(長野県大町市)  松本市から北へ抜けて行ったところにある仁科神明宮です。森の中にある雰囲気の良い境内で神聖さを感じます。

 本殿【国宝】は

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ゆるい -耳鳥斎を鑑賞する-

ゆるい -耳鳥斎を鑑賞する-

 江戸時代の大坂に耳鳥斎(にちょうさい・生年不詳~1802か1803)と言う絵師がいた。独特の作風で緊張感のかけらも無く脱力感あふれるタッチで描かれる絵はなんともゆるいのである。
 そして現在、国立国会図書館デジタルコレクション、関西大学デジタルアーカイブにて耳鳥齋の作品が公開されており誰でも閲覧が可能な状態である。そこで本稿では耳鳥斎の作品である『絵本水や空』、『大石氏祇園一力康楽之図』、『別世

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判じ絵 -江戸時代のなぞなぞ-

判じ絵 -江戸時代のなぞなぞ-

 岩崎均史氏の研究によって注目を浴びた判じ絵、つまり江戸時代の目で見るなぞなぞ、絵解きクイズです。
 浮世絵師たちが趣向を凝らした様々な図様には人々の遊び心が詰まっています。

●判じ絵とは 絵に置き換えられた言葉を当てるなぞなぞで、人名や地名、名所、動植物、道具などなどテーマが決められています。江戸時代を通じて庶民の娯楽として広く親しまれました。

●判じ絵のパターン①しゃれ・だじゃれ
同音異義

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