妙法院庫裏 修理工事現場公開
京都府文化財建造物修理工事現場2023へ行ってきました。
今年は妙法院の庫裏【国宝】の公開でした。
妙法院庫裏について
庫裏とは一般的に寺院の台所を指しています。妙法院の庫裏は正面23.7メートル、奥行き21.8メートルと、庫裏としては巨大です。入母屋造、本瓦葺とし、頂部に煙出を設けます。建物は西を正面とし、唐破風造の
玄関が取り付きます。内部は西寄りの土間にかまどを設け、中央から東寄りには板間を設けます。上部には天井板を設けず小屋組を露出させています。
この庫裏は豊臣秀吉が祖父母の供養のために800人の僧を集め「千僧供養」を行った時に、集めた僧の食事を準備するために建てられたと伝わっています。
修理の内容
小屋組を支える梁に亀裂が見つかったこと、その梁の下部の指貫にもたわみと亀裂が生じていたこと、建物全体の傾斜が生じていたことから半解体修理工事が行われることとなりました。
具体的には建物全体の傾斜の修正を行い、小屋梁の交換、補修、組み立てと軒廻りの補修、組み立てを行うとのことです。
修理現場の見学
入口で記名とヘルメットを着用し、中に入ります。解体がかなり進んでいて骨組みが残っている状態でした。
内部に入ってすぐ左手にかまどの痕跡を確認出来ました。修理前の姿がうろ覚えですが、特別公開の時の記憶を呼び起こして確認しました。
発掘調査の成果も展示されていました。
江戸時代の根継ぎの修理の記録です。
文化7年(1810)6月28日の記載がありそれぞれ大工の名前が分かります。
建物全体で80本ある柱のうち17本が寛文の頃(1661〜1671)に金輪継ぎという方法で根継補修を行っていたことが分かったそうです。下屋部分では3本が文化7年に根継補修を行っていたそうです。
足場の2階へ進むと軒廻りの様子が伺えます。
今回の修理で取り替えた部材には令和4年度修補の焼印が押されていました。後世の人がこれを見て工事の記録を確認すると思うと感慨深いものがあります。
足場はさらに一段高くなり小屋組を見ることが出来ました。
覗き込むと大きな梁も見えます。普段、見れるとしても下から見上げる部材を上から覗き込むことができるとはなんとも贅沢な瞬間でした。
当初材もかなり残っているようです。
当初材、中古材の茅負も展示されていました。
構造材むき出しの建造物の姿という非日常の姿に感動を覚えます。
筆者の記録用に幾つか写真を置いておきます。
趣味の日本建築史を離れてかなり経ちますが、それでも知的好奇心をかなり刺激された1日でした。こうした公開をしていただけることに感謝。
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