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【生き易くなるための選書】 生きるのがひたすら辛かったわたしへ 良書7選~村上春樹からゲーテまで

好きなことをしていいよ、と言われても「何が好きなんだっけ?」と戸惑ってしまうときがあった。あんなに待ち望んでいたはずの休みも、なぜか心から楽しいと思うことなく流れ去ってしまう

自分の言葉が出ない、自分の立ち位置や意味が見えない。身を割りそうなほど沈痛なきもちを抱えているのに誰も理解してくれない。他の誰かがこんな気持ちに折り合いをつけているとは到底思えないけっきょく世界は私独りぼっちなのか。

そんな思い込みを脱するには、やはり誰かとつながる感覚を得て治療するしかないのだと思う。けっきょくは、本を読むのが手っ取り早い

今すぐに、専用で明確な答えを提示してくれる書物は少ない。だが、時代を超えて読み継がれ、たくさんの人々に示唆を与え続けた名作には、それだけのエッセンスがあるはずだ。

・『光あるうちに光の中を歩め』 (岩波文庫 赤 619-4) 1960/1/1トルストイ著・米川 正夫翻訳

ロシア文学の巨匠トルストイ。贅沢な暮らしをする貴族が、物質的な充足では幸せになれないことに悩み、キリスト教に傾倒する。

・『若きウェルテルの悩み』ゲーテ著・高橋義孝訳、新潮文庫、初版1952年

ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。

・『14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に』宮台 真司 (著)

人間はどうしていきるのか?社会のしくみ。昔の哲学者はどの問題になやみ、どう結論を出したのか?平易な文体で物の見方を提示する良書。文庫版も出版。

・『彼女の人生は間違いじゃない』河出文庫 廣木隆一 著

震災後 福島市役所職員と東京のデリヘル嬢 二つの人格を往き来する主人公。彼女の生きるための闘いを描く小説(映画からの書き下ろし?)。震災を通して大きく書き換わってしまった文脈のなか、だんだんと足を絡め取られる様に身動きが取れなくなってゆくグロテスクさのある日常と、そこからの逃避。それでもなんとか向かう先を定めようともがく物語りに、平易な文体で生活の厚みと深さを感じさせる。

・『生きるとは、自分の物語をつくること』(新潮文庫)河合 隼雄・小川洋子

生きていくとき、どうしても認めたくない、腹落ちし難い現実に直面することがある。それを何とか受容できる形におさめ、理解し、解釈することが、物語を紡ぐという事である。それこそが人生の営みであるとする対談。とても読みやすい。

・『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(新潮文庫)河合隼雄・村上春樹

村上春樹氏と、カウンセラー河合隼雄氏との対談。物語りを紡ぐことで社会に意味を提供し、誰かを治療しているという。

・『アフターダーク』

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』の時期の小説。主人公の深夜から夜明けまでを定点観測する新しい小説。
「ねえ、僕らの人生は、明るいか暗いかだけで単純に分けられているわけじゃないんだ。そのあいだには陰影という中間地帯がある。その陰影の段階を認識し、理解するのが健全な知性だ。...」(村上春樹『アフターダーク』)

他にもさまざまな本があり、どの物語もきっと“役に立つ”はずです。
他の物語との相対距離をはかり、自分の物語の位置を確認するとすこしだけ、自信が持て、生きやすくなるかもしれません。ぜひ感想を聞かせてくださいね。


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