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村中璃子、ちょこっと読み。

わたしの書いた記事や科学・医学のニュースのまとめを適当にセレクトしてちょこっとお届けするマガジンです。わたしがnoteに書いた記事をぜんぶ読みたい方はマガジン『文系女医の書いて、…
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記事一覧

帯状疱疹ワクチン、定期接種へー生ワクチンを捨てられない「日本の特殊事情」

帯状疱疹ワクチン、定期接種へー生ワクチンを捨てられない「日本の特殊事情」

来春から、65歳以上を対象に帯状疱疹ワクチンが定期接種となる予定です。帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと組み換えワクチンの2つの異なるワクチンがあります。どちらもすでに任意で接種できますが、定期接種としてどのワクチンがどのように使われるのかはまだ検討中です。帯状疱疹ワクチンを定期導入しているほとんどの国では現在、組み換えワクチンを使用していますが、日本ではまだ検討中なのです。

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コロナより簡単!エムポックス予防のためにできる4つのこと

コロナより簡単!エムポックス予防のためにできる4つのこと

WHOがエムポックスの緊急事態宣言(PHEIC)を出しました。聞きなれない病名ですが、2022年、男性同性愛者を中心にアフリカの外で流行した時にも緊急事態宣言の出たサル痘のことです。

サル痘は昨年2月、特定の動物や地名・国名などを病名につけるのは差別につながるなどとしてWHOが「サル(Monkey)」のMと「天然痘(Poxvirus)」のPをとった呼び名に変更したのに従い、日本でも「エムポックス

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東京地裁HPVワクチン集団訴訟、本人尋問の中身(鈴木エイト氏X投稿まとめ)

東京地裁HPVワクチン集団訴訟、本人尋問の中身(鈴木エイト氏X投稿まとめ)

いまでも子宮頸がん(HPV)ワクチン問題を取材し続けている数少ないジャーナリスト、鈴木エイトさんが2024年8月7日に行われたHPVワクチン集団訴訟の証人尋問メモをXに投稿した。

国と一緒に訴えられたワクチン製造元は被害者だという女性たちのカルテ開示を周到に行い、症状がワクチン接種前からあったことや、いわゆる「いい子」に多い身体表現性障害(機能性身体症状)の診断を受けていたこと、ワクチンを接種し

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ドイツの言語聴覚リハビリ「ロゴペディ」①舌圧子とストローによる訓練

ドイツの言語聴覚リハビリ「ロゴペディ」①舌圧子とストローによる訓練

症状が悪くなった気がするーー。
術後3ヶ月目の体調を素直にまとめると、そうなります。

7月は医療記事も少なく、「文系女医のリハビリ話」も更新しなかったのはそれが理由です。記事を楽しみにしてくださっている皆さま、本当に申し訳ありませんでした。

そんなある7月の夕方、バカンスシーズンに入ってキャンセルが出たとの連絡があり、ドイツ式言語聴覚リハビリ「ロゴペディ」が始まりました。

リワイルディングの贈り物

リワイルディングの贈り物

オーガニック食品は好きでも嫌いでもない。だが、わたしのお気に入りのグリースプディング(ドイツのざらっとした食感のプリン)のLサイズは、オーガニック食品を売る「ビオショップ」にしか売っていないので、毎週1回はビオショップに行く。

(オーガニック食品についての詳細は、以下の記事をご覧ください)

5月、ビオショップで「ハチは花を求めて」とパッケージに書かかれた花の種をもらった。

生物学的多様性を上

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クロアチアの市場で買ったもの

クロアチアの市場で買ったもの

アドリア海の見えるクロアチア・シベニクの市場には旬の地物が並んでいる。前回のウインナー・コーヒーに続き、今日はその市場で売られていたもの種類や値段、味などについて書く。

「リスク低」なのになぜ?欧米が鳥インフルエンザワクチンの準備を始めた理由

「リスク低」なのになぜ?欧米が鳥インフルエンザワクチンの準備を始めた理由

7月4日、アメリカで4例目となるヒトの鳥インフルエンザの感染が確認された。「鳥インフルエンザ」とはA(H1N1)型インフルエンザウイルスの俗称だ。ヒトが感染するのも鳥が感染するのとまったく同一のインフルエンザウイルスだが、ヒトが感染しても他の動物が感染しても「鳥」インフルエンザと呼ばれている。アメリカでは今年に入ってからこのA(H1N1)の感染が乳牛の間で拡大しており市販の牛乳の5つに1つから鳥イ

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ニワトコの花の黒パン

ニワトコの花の黒パン

ドイツには夏至の前後の短い間、小さな白い花を咲かせるとびきりステキな木がある。

ニワトコ(Hollunder)だ。

日本で言うと沈丁花のような感じだろうか。甘い香りがして見上げると、小さな白い花の房をつけたニワトコの木が立っている。街路や庭、公園はもちろんのこと運河や湖沿いの森にもニワトコは立ち、可憐な花を咲かせる。

実はこのニワトコの花、レモンを浮かべた砂糖水に浸してやるとお酒になる。仕込

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ウワサのハギス

ウワサのハギス

今日は医学も科学も関係ない、スコットランドの「ハギス」という食べ物についての話です。

ハギスについては先日のラジオ「おはよう寺ちゃん」でも触れましたが、音声で説明を聞いてもどんな食べ物なのか想像が難しいのでは?と思い、写真を載せて説明を補足することにしました。この記事のカバー写真の黒いひき肉のように見えるのがハギスです。

ハギスとは羊の肺や肝臓と穀類、スパイスの腸詰で、「ハギスを食べずしてスコ

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ハンブルク麻薬使用室前で男に追われる

ハンブルク麻薬使用室前で男に追われる

2月28日付の記事で、ドイツには「麻薬使用室」と呼ばれる、麻薬常用者が清潔な針と消毒を使って麻薬を使用するための施設があること、また、ハンブルクでは麻薬使用室周辺の治安が悪化しているため、4月から周辺地区の再開発が計画されていることについて書きました。

あれから、再開発は進んでいるのか、麻薬使用者たちはどうなったのかーー。今日は体を張って撮ってきた写真と共に現状をレポートします!

「ドイツのた

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術後3週間:焦ラズ、落チ込マズが難しい

術後3週間:焦ラズ、落チ込マズが難しい

目覚めるたびに「また良くなっている」と感じられていた症状も、術後2週間を過ぎた頃から急に変化に乏しくなってきました。 

話題の「やせ薬」のパーキンソン病治療薬としての実力やいかに?

話題の「やせ薬」のパーキンソン病治療薬としての実力やいかに?

日本でも「奇跡のやせ薬」として話題の「セマグルチド」が、今度は早期のパーキンソン病の進行を遅らせる可能性があるという早期の臨床試験データが発表された。パーキンソン病とは脳に進行性の(元に戻らないで悪くなっていく)変性の起きる病気で、震えやこわばり、動作の緩慢、認知症などさまざまな神経症状を示す難病だ。米俳優マイケル・J・フォックスが20代で若年性パーキンソンにかかったことを知っている人もいるだろう

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手術は無事終わり、良性腫瘍でした

手術は無事終わり、良性腫瘍でした

手術は無事終わり、腫瘍は良性で確定診断となりました。

大きな腫瘍だったのに、口の中から手術したため、手術したことは外目からは全く分かりません。体への負担も少なく、手術から40時間後、翌々日の朝には退院することができました。

日本で手術を受けるに至るまでの経緯については、こちらのnoteをご覧ください。

口の中は粘膜なので皮膚の傷よりも閉じるのがずっと早く、傷口を縫っていることもあってすぐ塞が

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世界一の医療を受けるために日本へ

世界一の医療を受けるために日本へ

「日本の医療が恵まれている」いう話は、日本人であれば誰もが耳にしたことがあるでしょう。

発展途上国や医療費が高額で有名なアメリカに比べれば恵まれていることは想像できます。でも、「普通の先進国」と比べた時、日本の医療がどうなのかについてはピンと来ない人が多いのではないでしょうか。

今日はわたしが経験した欧州では一番いいと言われるドイツの医療との比較を通じ、日本の医療がどのくらいいいのかについて考

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