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毎日が病みあがり

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2020年1月の記事一覧

ふかひれラーメン屋の夫婦喧嘩

ふかひれラーメン屋の夫婦喧嘩

気仙沼に行ったことがある。

わたし達は学生時代のクラスメイトで、社会人になっても5人でよく遊んでいた。みんな仕事が忙しかったり、出会いのチャンスがなかったりで、独身のまま20代後半にさしかかっていた。ところがある日、その中の一人が「結婚する」というので、「まじか!!」と小躍りした。寝耳に水だが、喜ばしいことだ。

さて、友人は鹿児島県出身だが、宮城県の気仙沼に行くと言う。わたしたちは九州生まれの

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わたしに必要なもの

わたしに必要なもの

クレソンを摘みに、友だちに連れて行ってもらった。

福岡市は海と山が近く、ちょっと車を走らせれば、自然の中へ飛び込める。今日は、みんながドライブする道路を途中から左に折れて、川沿いの道をゆく。友だちが『クレソンポイント』と呼ぶ場所を目指す。

路肩に車を停め、垂直な護岸を階段やはしごではなく、壁に打ち込まれた金属の取っ手のようなものにつかまり、足をかけながら降りる。クレソンは川底に群生しているのだ

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菅田将暉のせいだよ。

バス停で、大勢の老人に混じって立っていた。そうしてバスを待ちながら、Spotifyでランダムに菅田将暉の歌を聴いていた。ムスメの同級生がいい曲だから、と勧めてくれたのだ。

「エモいー。」思わず声が出た。なんだこの少年ぽい声。歌い方の自由さ。歌詞の平易さ。サウンドの懐かしさ。自分で作ったのだろうか。

菅田将暉のことは、おばちゃんも知ってたよ。GReeeeNの映画で歌っていたことも、去年の紅白に出

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夢の話

夢の話

どういうわけか、トイレの夢をよく見る。たいていは、トイレが汚かったり、ドアや壁がなかったりで、用が足せない状況だが、昨夜の夢は違った。トイレは清潔で、どこも汚れてはいない。ドアもある。しかし、別のルールがあって、用を足すのがひじょうに困難だった。

なぜか、誰かを肩車をしていかなければならないのだ。

わたしは下半身に服を着ていなくて、パンツ一丁だ。それをカモフラージュするために、という理由だが、

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お茶を飲もうっと。

お茶を飲もうっと。

ザクッ。小さいシャベルのような形のスプーンを茶葉の中に差し込んだ。新しい缶を開けたのだ。渋い感じの茶葉の香りと相まって、レディグレイの柑橘系の香りが広がった。

このところずっと、天気が悪い。晴れ間もちらほらあるのだが、傘のいる日が続いている。昨夜から雨足が強く、朝になっても止まなかった。

「年明けからおてんとうさまをずいぶん見てないな」とオットが言った。おてんとうさまが出ている時に昼寝していた

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必ず最後に愛はカツ

必ず最後に愛はカツ

昨日も書いたが、験担ぎにカツを食べる日々が始まった。なんだか笑っちゃうけど、そういうのってイメトレにつながるから、けっこう大事だと思う。

今日は「中学校新人吹奏楽フェスティバル」にムスメの学校も出るというので、聴きに行った。コンクール形式なので、金・銀・銅の結果をもらう。24校を全部聴き、表彰式まで見届けると7時間かかる。オットと二人で「腰が痛い」だの「腹が減った」だの言いながら、それでもがんば

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カツの日々

カツの日々

明日、ムスメの出る吹奏楽のコンクールがある。新人コンクールだ。

去年の夏、全てのコンクールの応援に行った。そして、その度に、「カツ」を食べた。オットと一緒に、トンカツ、カツカレー、カツ丼、などを毎週食べていた。もりもり食べて、二人で太った。

わたしたちの験担ぎの甲斐あってか、ムスメたちは代表権を得て、次々と大きな大会に進んでいった。いや、もちろん実力があるってことなんだが、オットもわたしも、「

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宝くじ当たらんかな。

宝くじ当たらんかな。

母が宝くじを買い続けて、40年以上経つ。「そろそろわたしの番だと思うんだけどね」と言う。大金が当たったことはない。「何十年買っても当たらんし、もう買わなくてもよくない?」と言ったら「買わんと当たらんもんね」と母は笑った。

わたしは社会人になって、薄給に喘いではいたが、仕事仲間とよく飲みに行った。「あー、宝くじ当たらんかな」「宝くじ当たったらどうする?」という話題が出た。

まだ20代のわたしは、

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おやすみなさいを言えたら

おやすみなさいを言えたら

いま、「おやすみなさい」と言って布団にもぐれたらどんなにいいだろう。眠気がピークの時にスッと眠れたらさぞかし気持ち良いだろう。

子どもが眠いときに、スッと寝てしまうような、あの感じ。お母さんに抱っこしてもらいながら、ソファでおもちゃを握ったまま、夕食のテーブルで顔をごはんつぶだらけにしながら、次の瞬間、「あっ。いま、あっちの世界に行ったな」と思うような感じで。

洗いかけのお茶碗のことも、明日の

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さかなと指

さかなと指

朝から雨が降っている。階下に降りてドアを開けたら、リビングがさかな臭い。湿った空気の中で、さかな臭さに気が滅入る。

おととい、ブリ大根を作った。そのニオイが続いているのだ。外が寒くて、窓を開けて空気の入れ替えをせず、換気扇でなんとかしようとしたのだが、そうはいかなかったようだ。雑然とした本棚、テーブルに山積みの書類、ハンガーにかけた上着の隙間から、まるで青魚がチラチラと顔を覗かせているかのようだ

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まいったな

まいったな

訃報は予告なく訪れる。そういうものだとわかってはいるが、かなりしんどい。思わず「まいったな」と声が出てしまった。お世話になった方が亡くなるのは精神的にもしんどいが、わたしの場合、物理的にもしんどい。そう。喪服。先月末に着たとき、改めてパツパツなのを体感し、「痩せよう」と心に誓ったのに、まだ痩せてない。

しかしあれから、なぜかネットを見るたびに「1日10円で激痩せ!運動なし!食事制限なし!」「40

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今どこに立っているか(脳内カレンダー)

今どこに立っているか(脳内カレンダー)

今日が何月何日か、一瞬、わからなくなることが増えた。でも月日のイメージは子どもの頃からずっと変わらない。

わたしの頭の中では、『1年=12ヶ月』のイメージは、アルファベットのO(オー)が、右に傾いた形で収まっている。これを『脳内カレンダー』と呼び、わたしはいつも、その線上にいて、時間とともに移動している。そのカレンダーは脳内に三次元で存在しており、時には俯瞰で眺めたり、別の月日から全体を見たりす

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ラーメンよりうどん派過半数

ラーメンよりうどん派過半数

福岡・博多といえばとんこつラーメンと思われがちだが、実はうどんの方が多く食べられている気がする。(自分調べ)
博多は、聖一国師というお坊さんによる「うどん伝来の地」とされているらしい。中国に仏教の勉強をしに行って、戻ってきた1200年代の半ばのこと。

福岡のうどんは麺が「やわい」。コシがないことで有名な伊勢うどんにもヒケを取らない柔らかさ。しかしコシのある麺でないとダメな派も多くて、讃岐系のうど

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エンプティ

エンプティ

空っぽである。

とりあえず、胃袋の方はさっき近所の名店で「うどん」を補充しておいた。自分のうどんは汁まで全部飲んで、ムスメの海老天うどんの残りまで全部食べた。その足でスーパーマーケットに寄り、甘いものを中心に買いものをした。家に戻って、メロンパンとかワッフルとか、ポテトチップスとか、とにかく手当たり次第に食べた。これがやけ食いというものだろうか。

しかしまだ、わたしは空っぽなのだ。頭の中も心の

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