3年燻っている未練を、解きにいく。
――コロナのせいで夢を失っていた謎解き好きのふたりが、木の家ゲストハウスを舞台に夢を叶えにいくまでの物語
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家、木の家ゲストハウスマネージャー、FMぱるるんのラジオ番組「Dream Dream Dream」のパーソナリティーとして活動しています。
毎月最終日には誰の目を気にすることもなく、自分の過去について話しています。今日は8月31日。今月も今日で終わりなので、記憶の旅に出かけようと思います。
今回は「3年燻っている未練を、解きにいく。」というテーマで話していこうと思います。
🏨しゅんちゃんとの物語
最近の僕といえば、謎解きイベントの準備で頭がいっぱいです。僕は木の家ゲストハウスという宿泊施設で仕事をしているんですが、そこを舞台に謎解きイベントを開催しようと思い至り、企画運営その他諸々を受け持つことにしました。
その名も、泊まれる謎解き『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』。あらすじはこんな感じです。
9月18日(水)、9月28日(土)の2度にわたり公演を予定しています。それに向けて、脚本のブラッシュアップ、演出面の強化、集客するための仕掛け、演劇部分の稽古を進めています。時間はないし、余裕もない状況ですが、進めなきゃ進まないのは当然なので、1ミリでもいいから前進を心掛けている日々を過ごしています。
今回、僕の他にもうひとり、メインで動いている人がいます。大学時代の後輩のしゅんちゃんです。彼との付き合いも長いし、そこには物語があるので、今回はそれを振り替えっていこうと思います。
コロナのせいで夢を失っていた謎解き好きのふたりが、木の家ゲストハウスを舞台に夢を叶えにいくまでの物語です。
🏨出逢ったその日から意気投合した
しゅんちゃんと出逢ったのは、彼の大学の入学式の翌日だったはず。2年生だった僕はそのとき専攻会に所属していて、1年生との対面式に出ることになりました。対面式といっても、世の中はコロナ真っ盛り。お互いがパソコンの画面と対面するオンライン対面式でした。
オンライン対面式の後、有志の新入生は先輩方から直接レクチャーを受けることができました。大学のこと、授業のこと、履修の仕方、生活のこと……何でもいいので分からないことを先輩に訊くという時間です。専攻会の僕はもちろんそこに参加したわけですが、その場にいたひとりが、そう、しゅんちゃんでした。
未だに覚えています。彼に話しかけた第一声を。
「それ、『しまむら』でしょ」
僕は彼が着ている服のことを話題にしました。というのも、彼が着ていた服を、僕も持っていたからです。それを『しまむら』で買ったことを覚えていたので、彼にそう指摘したのです。
よく分からない出逢い方をした僕らでしたが、同じだったのは服だけではありませんでした。僕も彼も、小説を書いていたし、クイズが好きだったし、謎解きが好きだったんです。
出逢ったその日から意気投合したのです。
🏨僕らには諦めた夢がある
その後、よく連絡を取り合うようになった僕らは、秋に控えていた文化祭の企画を一緒に考えることになりました。当時の文化祭はオンラインと対面のハイブリッド開催という異例の形で執り行われることになったんです。
僕としゅんちゃんは、当初、謎解きイベントを開催するつもりでした。謎解きならばオンラインでもできるし、お互いにやってみたいことだし、強みを生かせると思い至ったのです。
しかし、盛り上がっていたのは僕らふたりくらいで、仲間をつくることができませんでした。それまでの僕らの学科はたい焼きをやってきたので、どうすればいいのか誰も何も分からない状態。
僕は専攻会の役員で、なおかつ文化祭を取り仕切る役を任されていたから、主体的にいろいろ考えていたんだけれど、そもそもコロナでろくにコミュニケーションも取れていないし、希望を見出しにくい時代だったから、全然前に進まなかったんですね。
結局、文化祭は白紙。僕らの学科はそこから撤退することになりました。夢を諦めることにしたんです。ちなみに、当時もnoteを書いていたので、そのときの想いをつらつらと語った記事があります。もしよかったら、覗いてみてください。
🏨3年前の未練を、解きにいく
それからというもの、僕もしゅんちゃんもそれぞれ得意な領域で動いてきました。
僕は初書籍『Message』を出版して、それを届ける活動を続けていました。ビブリオバトルの全国大会に出たり、自分でイベントを開いたりしていくうちに、人の縁が広がっていったんです。
広がった縁の先で待っていたのが、木の家ゲストハウスのオーナーの宮田さんで、親睦を深めていくうちに「うちくる?」という流れになり、今やそこで仕事をしているという流れです。
一方のしゅんちゃんは謎解き好きが高じて、自分でも自主公演を開催したいと思い至り、自作の謎解きイベントを開催するようになりました。
謎解きサークルもつくったし、今では企業と提携して、街歩きをしながら謎を解くイベントの謎制作を受注しています。僕もテストプレイをしたり、参加者として楽しんだりしてきました。
あの頃よりも少なからずステージアップしたふたりは、再び同じ夢を叶えにいくことにしました。僕が物語をつくり、彼が謎をつくる。ふたりで謎解きイベントを開催する。文化祭では叶えられなかった夢を、叶えにいくことにしたんです。
その舞台は、木の家ゲストハウス。僕は木の家ゲストハウスを魅力的に発信していきたいという思いがあり、謎解きイベントの開催に行き着きました。
正直な話、文化祭以降も別の場所を舞台に謎解きイベントを開催するプランが2回あったんですが、2回とも頓挫してしまっていたんですね。しかし、今となっては、木の家ゲストハウスでその夢を叶えることができてよかったなと受け止めています。
ゲストハウスは、眠りについて夢を見る場所、「夢」という言葉と親和性が高いからです。
オーナーの宮田さんは、木の家ゲストハウスを誰かの夢が叶う場所にしたいという思いがあります。「木の家ゲストハウスは夢を見られる場所」というブランディングに一役買う物語を生むことができました。
また、冒頭で紹介したように、『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』は、幽霊の生前の夢を叶えるために、謎を解いていく物語が展開されます。脚本を書きながら、僕は、自分としゅんちゃんのふたりの物語を重ねていました。
ずっと掴めなかった夢を、来月叶えにいきます。
3年燻っている未練を、解きにいきます。
泊まれる謎解き『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』の予約受け付けは明日9月1日から開始します。詳しくは明日のnoteの記事をご覧ください。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20240831 横山黎
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