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通訳ガイドのこぼれ話

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通訳案内士の経験からのエピソードや外国人案内に役立つ話をまとめてあります
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#英語ガイド

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

日本は終わってないよ。自己紹介代わりに。

通訳ガイドのぶんちょうです。
正式名称は「全国通訳案内士」です。外国から日本に来た旅行者に付き添って各地を案内する仕事をしております。

この職業はあまり知られてないようなので、ざっと書いておきますね。

ガイド期間は、数時間から数週間位まで。案内人数は、1人から数百人位までと色々です。あまり人数の多い場合はガイドが複数つきます。徒歩と公共交通機関の組み合わせや、専用車のみでの移動、団体を率いて大

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外国人もはまる芸者さんとのお座敷遊び

外国人もはまる芸者さんとのお座敷遊び

通訳ガイドのぶんちょうです。

お客様の案内で、久しぶりに東京で芸者さんとの宴に同席しました。
都内某所で3人の芸者さんと6人のお客様です。

朝から都内の観光地を精力的に回ったお客様は一旦ホテルに戻りました。
夜の宴席のためにドレッシーな服に着替えて登場した時は、男性も女性も文字通り見違えるほどで、私もドライバーさんも一瞬、別の方たちかと思ったくらいです。皆さん、50代から60代の方たちです。

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通訳ガイドの春夏秋冬

通訳ガイドの春夏秋冬

春の書入れ時

通訳ガイドのぶんちょうです。通訳案内士にとって一番の繁忙期は桜の咲く春。各国から「あの有名な日本の桜を見ようじゃないか」とやってきます。インバウンド業界の書き入れ時と言えるのが3月から4月にかけてでしょう。

ガイドは出払い、エイジェントも予約のタイミングの遅いゲストはツアーを断わらざるを得ません。知り合いのガイドいたら紹介してとエイジェントが悲鳴をあげる季節です。

エイジェント

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通訳ガイド試験。プレゼンのテーマありすぎて無理!と思ったら、とりあえず各テーマの1行目だけスルッと言えるようにしておくと気持ちが楽になるだけでなく、実際にプレゼンしやすくなります。1行目は定義か結論です。

英語を話す人はアイコンタクトをなめちゃいけない

英語を話す人はアイコンタクトをなめちゃいけない

通訳ガイドのぶんちょうです。通訳案内士として仕事をしているときに起きたあることについてです。

ガイドの仕事は色々な形がありますが、そのツアーはイギリス人のツアーリーダーが日本へお客様と同行してくるものでした。ツアーリーダーは、出発国で集合したお客さんを日本に連れてくることも含めて、色々ツアー中の面倒をみる仕事をします。そして来日してから、日本のガイドに会い、ガイドと一緒に観光地を回ります。

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外国人の別れ際のあっさり加減

外国人の別れ際のあっさり加減

通訳ガイドのぶんちょうです。ツアーを終了した時、当然挨拶をしてお別れとなりますが、実は、日本人と外国人の違いを大きく感じる瞬間です。いいツアーをすれば、欧米の人たちはハグをして、言葉でいかにツアーが楽しかったかを言ってくれます。

「私の家に来てね」と連絡先をくれたり、「友達にもあなたのツアー教えてあげるから」とレベルマックス喜んでくれる人でも、じゃあと挨拶をして歩き出したら、振り向きもせず歩いて

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もう見ることができない都内最古の木造駅舎原宿

もう見ることができない都内最古の木造駅舎原宿

通訳ガイドのぶんちょうです。原宿の駅舎は、通訳案内士の私にとって思い出の場所になってしまいました。この駅舎は1924年、関東大震災の翌年に建てられました。1920年に明治神宮ができた4年後です。そして2020年、96年間にわたって一日も休むことなく働き続けた、この小さな駅の解体が始まりました。

解体の理由

解体の理由は老朽化、特に木造なので現在の耐火基準に満たないということだそうです。そのきっ

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子どものひとり電車通学にびっくりする外国人観光客

子どものひとり電車通学にびっくりする外国人観光客

通訳ガイドのぶんちょうです。訪日外国人は、日本が安全な国だということは認識しています。それでも、都内の電車や地下鉄に小学生が一人で、あるいは友達同士で乗っていると、安全さの度合いが自分が思っていた以上だと知らされるようで信じられないような表情をします。

「あの子はなぜ一人なの?」と聞かれたことがあります。なぜと言われても...。一瞬返答に困ります。電車通学の小学生なんて日本人には見慣れた風景です

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精算前に袋開けちゃだめだよ!焦る通訳ガイド

精算前に袋開けちゃだめだよ!焦る通訳ガイド

通訳ガイドのぶんちょうです。訪日外国人と共に行動する通訳案内士は時々、ドン引きするような光景を目にします。今回はコンビニやスーパーやデパートでのちょっとした買い物のおつきあいでの話です。

友達に日本から手紙を出したいと言うので、丸の内の中央郵便局に一緒に行った時です。絵はがきのコーナーまで連れていき、私は少し離れたところで待っていました。

そろそろ買う物が決まったころかなと思い、観光客のところ

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ちょっと早いけど「門松」の意味

ちょっと早いけど「門松」の意味

通訳ガイドのぶんちょうです。お正月は、とにかくおめでたいイメージですが、元々はお盆と同じく、先祖を祀る行事だったそうです。仏教の影響で、お盆は盂蘭盆会という先祖供養の行事になり、正月は歳神様を迎える神様の行事になりました。

お正月と言えば門松。クリスマスが終わるとすぐに、街では大きな門松が店頭に置かれているのをよく見かけます。訪日外国人にとっては珍しいものなので、滞在先のホテルの門松の説明をよく

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資格は必要か 資格大国日本

資格は必要か 資格大国日本

通訳ガイドのぶんちょうです。12月12日の日曜日は国家試験、全国通訳案内士試験の最終選考日でした。日本は資格大国と言われ、国家試験の数だけで300近くあります。

民間の試験も盛んで、英検とTOEICは例年受験者数のトップになっています。調べると、その他で受験者の多いのは、運転免許、情報処理、宅建、簿記、ファイナンシャルプランナーなどがありました。

私の周りにいる同業のガイド達は、コロナで仕事が

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仏像さんと仲良しになろう 如来編

仏像さんと仲良しになろう 如来編

通訳ガイドのぶんちょうです。仏像の見方について易しく初心者向けに書きます。お寺さんで仏像を見かけたら、こんなところに注目してみてください。きっと仲良くなれます。

仏さんは大きくわけると4つ種類があります。

如来 菩薩 明王 天

如来は「悟りを得た人」のことを指します。お釈迦様がモデルとなっている仏像は釈迦如来と言います。その他に、阿弥陀如来、大日如来、薬師如来など、聞いたことがあるかもしれま

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仏像さんと仲良しになろう 菩薩編

仏像さんと仲良しになろう 菩薩編

通訳ガイドのぶんちょうです。今日はお地蔵さんに代表される菩薩の話です。菩薩は悟りを開いた如来と違い、悟りを開く一歩手前にある状態にいます。悟りを開くことができるけれども、あえて踏みとどまって、皆を救ってあげようと言う、心優しい仏像さんです。

如来さんは悟りを開いた後のお釈迦様を表しているので、シンプルなファッションでした。如来の話はこちら。

でも菩薩さんは悟る前、つまりお釈迦様がまだリッチな王

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仏像さんと仲良しになろう 明王編

仏像さんと仲良しになろう 明王編

通訳ガイドのぶんちょうです。仏像の明王グループの面々は、相当おっかない顔をしています。武器まで持ってるので怒らせたら大変です。

「怒髪天を衝く」の表現通り、怒りで髪が逆立っています。武器は弓矢、悪を断ち切る宝剣、煩悩を縛りあげたり、苦しむ人々を救い上げる縄、災いを突き砕く矛。さらに背中まで怒りでメラメラしています。後背という後ろの部分が、火焔の如く表現されています。

それにしても、どうしてこん

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