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これからの、小売の話をしよう。

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ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい… もっと読む
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#小売

「ていねいな暮らし」は、庶民による庶民のためのラグジュアリー

「ていねいな暮らし」は、庶民による庶民のためのラグジュアリー

「日本的なラグジュアリーとは何だろうか」。

この5年ほど考え続けてきたテーマである。

もちろん値段の高さだけで見れば、日本ならではの高級品はいくらでもある。茶道具も着物も日本家屋も、日本文化の延長線上にある「ラグジュアリー」だ。歴史を遡ってみれば日本の陶器は江戸時代から高級品としてヨーロッパへ輸出されていたし、現代においても日本の作家さんのうつわを買いにはるばる日本までやってくる海外の顧客も多

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「文章が苦手」派のお店に試してみてほしいnote活用法

「文章が苦手」派のお店に試してみてほしいnote活用法

「お店の発信にぜひnoteを活用してほしい!」
と話すと必ずと言っていいほど相談されるのが

「文章を書くのが苦手なんです…」

という悩み。

noteは文章のイメージが強いのか、文章を書き慣れていないことによって一歩が踏み出せない人も多いように感じています。

しかしnoteは「書く」だけでなく「まとめる」にも適したプラットフォームで、noteにまとめることによって他のSNSとの相乗効果も見込

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ものづくりへの想いは、大企業も変わらない #ローソンPBに思う

ものづくりへの想いは、大企業も変わらない #ローソンPBに思う

昨晩はローソンPBについて竹増社長にお話を伺う配信イベントに出演させていただきました。

開始前はもっとローソンのビジョンや開発背景をローソン視点で語っていただくイメージを持っていたのですが、開始早々から世論を真摯に受け止め、改善しようとしている姿勢に感銘を受けた方も多かったのではないでしょうか。

つまり今回のリニューアルもよりよくしていくための途中経過でしかなく、ここで得られた意見をもとにより

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大企業の挑戦が難しい理由

大企業の挑戦が難しい理由

ローソンのPBデザインについて、いまだにSNSで賛否両論が飛び交っています。
先月PBについてこんな記事を書いたところ思いがけず多くの方に読んでいただき、私の記事に対しても様々な感想をいただきました。

なかでも多かった反応は、やはりその視認性の悪さへの言及でした。

大企業の「挑戦」は顧客の不便を生む私自身はそこまで見づらさを感じていなかったのですが、これだけの人が見づらさを訴えるということは、

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小さなお店でも使える広報戦略としてのnoteの考え方

小さなお店でも使える広報戦略としてのnoteの考え方

お店がnote活用を検討する際、「そのnoteからどれだけ売上が作れるか」を考えることが多いのではないかと思う。
数多ある投稿の中から見つけてもらい、信頼して買ってもらえるようになるにはそれなりの時間がかかる。

この部分を懸念して一歩踏み出せないお店も多いはずだ。

しかしお店のnote活用は、直接ファンを増やすだけではなく「広報」の役割も担っている。
端的に言えば、noteに書いたことがきっか

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「小売業の繁栄は平和の象徴」

「小売業の繁栄は平和の象徴」

先月の「読んだ本一覧」にも書いたのだけど、最近意識して小売関連の名著を読むようになった。
その中でも感銘を受けたのが、イオン元会長・岡田卓也氏の著書だった。

イオンがもともと「岡田屋」という地方の呉服店からはじまったことを知る人は少ない。
岡田氏は七代目として家業を継ぎ、買収や提携を繰り返して日本トップレベルの小売グループを築いた。

もともと老舗のDNAを持っていることもあって、その家訓からは

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ローソンのPBデザインリニューアルは「これでいい」から「これがいい」への第一歩

ローソンのPBデザインリニューアルは「これでいい」から「これがいい」への第一歩

先月から徐々にローソンのPBパッケージが新デザインに切り替えられ、その変化の大きさにSNSでも賛否両論が飛び交っている。

▼リニューアル後のパッケージ例。ベージュで統一され、ひと目見ただけでは中身がわかりづらい。

若い女性を中心としたデザインに敏感な層からは「かわいい」「そのままでも暮らしに馴染む」と高評価を受ける一方、「視認性が低い」「シズル感が足りない」といった否定的な意見も多い。

ちな

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「緊急事態」の今、お店の発信で取り組んで欲しいこと

「緊急事態」の今、お店の発信で取り組んで欲しいこと

昨日「緊急事態宣言」が出され、これまで以上に実店舗の運営が厳しくなってきました。
大手百貨店や駅ビルなどの商業施設も次々に臨時休館を発表しています。

アメリカではニーマン・マーカスの倒産を筆頭に、どの百貨店も支払いサイトの引き延ばしや買い付けのキャンセルを行うなど混乱を極めていますが、おそらく同じことがこれから日本でも起きていくはずです。

また商業施設が休業することによって、テナントとして入っ

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それでも、ファッションの楽しみを絶やさないために

それでも、ファッションの楽しみを絶やさないために

昨日のnoteでファッション誌に求められる今後のコンテンツとして、おうち時間の楽しみ方がキーになるのではないか、という話を書いた。

3年以上前から書いている通り、私はファッションと外出には深い結びつきがあると考えている。
逆に言えば、出かけることが禁止されれば洋服が売れなくなるのは当然のこと。
すでに海外の小売系メディアはこうしたアパレル需要のダウントレンドにまつわる記事ばかりが並んでいるけれど

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いま、商業施設ができること。

外出自粛が広がる今、商業施設も客数が大幅に減り、苦境に立たされている。
時間短縮を行う施設や週末の休業を発表した企業も増え、小売業界全体の大打撃は避けられない状況だ。

そんな中でルミネはいち早く最低保証家賃の減額を発表し、テナントへの配慮を見せている。

いまだ国の補償の目処も立たない中で半額まで家賃を引き下げるのは体力に余裕のあるルミネだからこそできることではあるかもしれないが、長期戦の覚悟が

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こんなときこそ、もっと「伝える」ために。

こんなときこそ、もっと「伝える」ために。

コロナ感染拡大が重大局面を迎え、いよいよ日本も諸外国と同じく外出規制が発生する可能性が高まっています。
先月からすでに飲食店や商業施設の困窮や不安がSNS上でも散見されていますが、ここから2週間ほどはこれまで以上に人が出歩かない期間になるはずです。

小売の視点から考えると、店舗だけではなくものづくりや物流といった人が介在する事業すべてにストップがかかる可能性があるため、オンライン専業だからといっ

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店舗というメディアにしかできないこと

店舗というメディアにしかできないこと

店舗はメディアになる。
これは「小売再生」の中でダグ・スティーブンスも語っていたことだ。

私も百貨店で働いていたとき、ずっと「これから百貨店のライバルは雑誌になる」と考えていた。

「売る」という機能も「新しいものを紹介する」という機能も店舗の専売特許ではなくなった今、店舗に求められる役割は何なのか。

この数年、そのことをずっと考えてきた。

先週月刊koeの創刊イベントとして月刊koe編集長

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@cosme TOKYOという「メディア」の本質

@cosme TOKYOという「メディア」の本質

1月10日、原宿駅目の前のGAP跡地に@cosme TOKTOがオープンした。店舗はその名の通り、@cosmeが運営している。

遅まきながら先日店舗に足を運んだところ、『これこそがまさにメディアとしての店舗である』と感銘を受けたのでそのポイントについて整理しておきたい。

「とりあえずここに行けばいい」という第一想起としての店舗@cosme TOKYOの売りは、通称「デパコス」「ドラコス」と呼ば

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まずは、自分たち自身が『愛せるモノ』をつくること #note感謝祭

まずは、自分たち自身が『愛せるモノ』をつくること #note感謝祭

約半年前、イケウチオーガニックの代表・池内さんの「『ストーリーを売る』への僕の違和感」を読んだことが、私がイケウチオーガニックに興味を抱いたきっかけでした。

『ストーリーで売る』がトレンドになりつつある今、むしろいいものを作ること自体がストーリーになっていくという考え方は、ものづくり企業としてとても本質的で、それこそが顧客への誠実な向き合い方だと思ったからです。

私はいつも、noteは誠実に発

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