いま、商業施設ができること。

外出自粛が広がる今、商業施設も客数が大幅に減り、苦境に立たされている。
時間短縮を行う施設や週末の休業を発表した企業も増え、小売業界全体の大打撃は避けられない状況だ。

そんな中でルミネはいち早く最低保証家賃の減額を発表し、テナントへの配慮を見せている。

いまだ国の補償の目処も立たない中で半額まで家賃を引き下げるのは体力に余裕のあるルミネだからこそできることではあるかもしれないが、長期戦の覚悟が必要となった以上はどの施設も検討しなければならなくなるだろう。

とはいえ、商業施設の売上の大部分はテナントからの家賃収入だ。
家賃を引き下げることはその分売上が落ち、利益を圧迫することになる。

そんな状況だからこそ、これまで「来店」に主眼を置いてきたあらゆる施策を、「EC」にシフトしていく戦略が必要だと私は考えている。

今や、ほとんどの百貨店や商業施設が自社ECを展開している。
しかし実店舗の売上の方が大きいため、広告やDMやSNSといった施策のほとんどは来店促進のために行われてきた。
その予算を今こそECに振り分けることで、アフターコロナ時代の新たな事業につなげることもできるのではないかと思うのだ。

そして私が個人的に特に注力すべきだと思っているのは、キュレーターとしての役割である。

たとえば先日、minneのnoteアカウントで「スタッフのおすすめ」というシリーズが公開されていた。

予定していたハンドメイドマーケットが開催できなくなったために企画された「エアハンマケ」という企画の一環として、おすすめ商品をピックアップする記事シリーズだ。

他にもファッションやインテリアなど、様々なテーマでおすすめ商品がキュレーションされている。

外出ができない今、SNSでの発信はお店に残された「今できること」のひとつである。

しかし、お店ひとつひとつの発信力はそこまで大きくないし、これから注力してもその効果がでるまでには時間がかかる。

だからこそ、点ではなく面での発信が必要になるのだ。

先ほどのminneの記事でも、商品単体の情報がバラバラに発信されていたら、届く範囲はかなり限られていただろう。
minneが「アフタヌーンティー」という切り口で複数の商品をまとめているからこそ、「何かほしいものがあるかも」という気持ちになり、その中から選んで買うという行動につながる。

もちろんブランドが他社の商品と組み合わせて自社商品を紹介したり、同じエリアのお店同士が協力して「面」で発信するといった草の根的な活動も必要だ。

ただ、商業施設やプラットフォームにはすでに培われてきた信頼とブランド力があり、それを最大限に活用してほしいと思うのだ。

そしてそのためには、ブランドや商品をひとつひとつ紹介するのではなく、ブランドを横断的に見て新たな切り口を提案するキュレーション力こそが求められている。

誰もが不安を抱えている今こそ、人をワクワクさせる新しい視点を。

それがメディアとしての店舗の役割なのではないだろうか。

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