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世界平和はいかにして可能なりしか

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独自の視点から世界平和について理論的に考察します。
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記事一覧

システム論的世界平和➀ー歴史の法則性についてー

システム論的世界平和➀ー歴史の法則性についてー

 歴史を大局的に振り返ると、誰でも気付くことだが、人類社会は「システム安定期」と「システム模索期」のタイムスパンを繰り返すことで発展してきた。

 これを理解するため、ごく単純なシステムのモデルとして、「シャワーの適温問題」について考えてみよう。

 ビジネスホテルのシャワーを使おうとして、お湯の蛇口を捻ったところ、熱湯に近い湯が出てきて「熱ッ!」となったという経験は、おそらく、そう特異なことでは

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損益分岐点からみるウクライナ戦争と防衛費の増大が尖閣危機を高めるという衝撃の結果

損益分岐点からみるウクライナ戦争と防衛費の増大が尖閣危機を高めるという衝撃の結果


戦争の損益分岐点について
 戦争の損益分岐点について考察してみます。

 ある軍事国家が他国の領土を侵略しようと考えたとします。
 この時、軍事国家が侵略によって獲得した領土にかかる利益と損失をプロットしたのが以下の図になります。

 軍事国家はおそらく「領土の拡大」を「利益」と感じると想定されます。そのため侵略によって獲得した領土と利益は正比例の関係性をとります。(※なお、ここではモデルを単純

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記事が書けなくなった理由

記事が書けなくなった理由

 そもそもビュー数が少ないのに、こういうことを言うのは自意識過剰な気もするが、「伝え方」を気にしているうちに、記事が書けなくなった。

 それというのも世界平和という課題について、どういう伝え方をすれば、他者の納得が得られるのかが、よくわからないのである。
 一般原則として述べると抽象的で曖昧になり過ぎる一方で、具体論として書くと、イデオロギー色が強くなり過ぎる気がするからだ。

 たとえば、「世

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ゲーム理論の簡単な説明から、世界平和が可能な理由を考える 前編

ゲーム理論の簡単な説明から、世界平和が可能な理由を考える 前編

 世界平和というと、高尚な理想に基づく自己の利益を超越した固い信念によって、その努力がなされるものだという一般的なイメージがあるかと思います。
 しかし、そのイメージとは裏腹に、実際には、信念もなく自己の利益を優先するような人間にこそ、世界平和は可能になるのだということを、簡単なゲーム理論からみていきたいと思います。

 まず、ゲーム理論における囚人のジレンマとナッシュ均衡の基本的な考え方です(ご

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このマガジンの狙いについて

このマガジンの狙いについて

 静と動。緊張と緩和。善と悪。瞬間と永遠。

 芸術の本質は二律背反にある。

 同様に、ビジネスの本質は「課題の解決」にあるという。「課題」とは、「やりたい(理想)けど、できない(現実)こと」――つまりは、これも二律背反である。

 二律背反。あるいは矛盾。

 矛盾とは、信義に反する武器商人のような、整合性のない、望ましくないものを意味する。しかし、矛盾のないところに、進歩もまたない。矛盾こそ

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世界平和への地図と自作自演による超訳

世界平和への地図と自作自演による超訳

 こんにちは。プテゴリラといいます。
 本マガジン「世界平和はいかにして可能なりしか」は、人間の徳性に期待することなく、経済的合理性の積み重ねによって世界平和を実現する方法を、その実用的方策まで踏み込んで考察していこうという結構野心的なマガジンです。

 とはいえ、思考をまとめて文章にするというのは難しく、なかなか更新頻度があがらなくて四苦八苦しています。

 しかし、考えてみるに、それなりにカロ

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「フェミニズム論争が争いを生み続ける本質的理由」という記事が書いてて長くなりすぎたので、一部を別記事にしてみた。

「フェミニズム論争が争いを生み続ける本質的理由」という記事が書いてて長くなりすぎたので、一部を別記事にしてみた。

 この記事は当初、「ジェンダー論争が争いを生み続ける本質的理由」という記事の一部として書かれたものですが、あまりに長くなりすぎたので、別ページ扱いにしたものです。
 ですから、この記事だけを読まれても、筆者の意図を誤解されるかもしれません。

 できれば、上の記事から読んで頂くことをお勧めします。

本論

 それでは、早速、女性の競争原理軸の引き上げが男女平等にならない理由についての詳細を書いて

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フェミニズム論争が争いを生み続ける本質的な理由

フェミニズム論争が争いを生み続ける本質的な理由

 この記事は世界平和について、筆者の私的な考察をまとめた一連の記事の第五回目になります。各回完結した内容となっていますが、続けて読むと、よりわかりやすい内容となっています。過去分の記事はこちらから。

戦国時代の真の勝者から考えるジェンダー論 浅井長政という戦国大名がいます。
 北近江(今の滋賀県)を本拠地とし、かつての同盟者であった織田信長に楯突いたことから、小谷城の戦いで打ち滅ぼされることとな

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認知機能と発達と世界認識の拡大

認知機能と発達と世界認識の拡大

 この記事は世界平和について、筆者の私的な考察をまとめた一連の記事の第三回目の補足になります。各回完結した内容となっていますが、続けて読むと、よりわかりやすい内容となっています。第三回の記事はこちら。

 さて、上記の更新で、性善説と性悪説、それからマズローの五段階欲求仮説を絡め、人間の認知能力がいかに拡大していくかという自説を公開しました。

 ところが、少しそのあたりの説明不足だったように思い

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脳の認知機能から考える性善説と性悪説

脳の認知機能から考える性善説と性悪説

 この記事は世界平和について、筆者の私的な考察をまとめた一連の記事の第三回目になります。各回完結した内容となっていますが、続けて読むと、よりわかりやすい内容となっています。過去分の記事はこちからから

脳は世界を理解するため、物語を欲する 突然ですが、筆者の趣味は読書です。
 本を読むのはもちろん、本が並べられた空間も好きで、本屋や図書館によく行くのですが、しばしば圧倒されることがあります。
 そ

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世界平和のためのマインドセット

世界平和のためのマインドセット

 この記事は世界平和について、筆者の私的な考察をまとめた一連の記事になります。
 今回分から読んで頂いてもかまいませんが、できれば以下の目次から前回の記事を読んでからの方が、読みやすい内容になっているかと思います。

 さて、前回の記事において、「世界平和は不可能という思い込みが、いかに世界平和の実現を妨げているか」について考察しました。
 もっとも、世界平和が可能と信じるだけで、世界平和が実現す

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1世界平和はいかにして可能なりしか・序

1世界平和はいかにして可能なりしか・序

「世界平和」
 と、いうと、この記事をお読みの方はどう思われるでしょうか?

 人類の夢。ただの理想論。非現実的。世迷い言。平和主義者の妄言。
 あるいは、そんな印象を持たれる方が多いかもしれません。

 しかし、筆者は世界平和は現実的に実現可能であり、それどころかある種の歴史的必然として達成されるものと考えています。

 筆者は囲碁に詳しくありませんが、囲碁の世界では、昨今話題のAIによって、そ

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