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【創作】詩や小説や絵や

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2020年12月の記事一覧

【詩】ラーメン評論家

【詩】ラーメン評論家

小一時間待ったラーメンをすすると
思っていたより醤油っ辛くて
旨いと言えば旨いけど
そうでもないと言えばそうでもない

ラーメン評論をなんて
饒舌になれないバカ舌を
詩にもできないバカ舌を
なんだかとても誇りに思う味だね

車に戻ったら
ラーメン味のキスをしよう

僕はチャーシュー
君はワンタン
ラーメン味のキスをして

ラーメン評論なんかそれからだ

【ショートショート】走れディオニス王 ~続・走れメロス~

【ショートショート】走れディオニス王 ~続・走れメロス~

メロスは走った。
メロスは友情の為に走り抜いた。
セリヌンティウス友情の為に待ち続けた。
ディオニス王は二人の友情に感動をし
「おまえらの望みは叶かなったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
と共に涙した。

その夜。
ディオニス王とメロスとセリヌン

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【詩】スケキヨは面長でなくてはならない

【詩】スケキヨは面長でなくてはならない

スケキヨは面長でなくてはならない
丸顔のスケキヨはどこかお茶目だ
まるでパンダだ
怖くない

丸顔の女性は胸が大きくなくてはならない
♪ 顔のわりに小さな胸や~ ♪
と唄ったミスチルの桜井さんはさすが天才だが
♪ 胸のわりに大きな顔や~ ♪
と唄えばミスチルの桜井さんといえど女達に叩かれるだろう

顔と胸とは医学的関係性はないが
この顔の女性はきっと胸が大きいに違いない!
そんな顔は確かにある

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【詩】図書館にて ~一端の詩人だ~

【詩】図書館にて ~一端の詩人だ~

外は
雨が降っている

「詩歌」の棚には
詩人達の本が並ぶ
詩って何だよ
詩人って何なんだよ
なかば喧嘩腰で詩集を羽交い絞めにしては
つまらん
くだらん
それがどうした
と片っ端から難癖をつけて棚に戻す

きっぱりとした雨が降っている

素敵な女性がソファーに座っている
僕は退屈な詩集を小脇に抱えて向かいのソファーに座る
スカートの中が見えそうで見えない微妙な場所を陣取り
詩人の 詩集の 詩の 言

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【詩】かくれんぼ

【詩】かくれんぼ

言葉は僕を離れてしまえば
もう僕のものではない

それをどう解釈されようと
もう僕のものではない

それは受け止めた人の感性に委ねられ
その感性に
その人の中に僕が形作られる
本当の僕は無力に立ち尽くす

ああ
ああ
ああ、またしても
「本当の僕」
などという言葉を口にしてしまった

「本当の僕」
なんと陳腐な言葉だ
と反吐が出る

「僕は僕らしく」
「君は君らしく」
安い流行歌だ
ああ陳腐だ

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【詩】キリン

【詩】キリン

医学の進歩は目覚ましく
臓器を切ったりつないだり
誰かの臓器をもらったり

キリンの首をちょん切って
首の短いキリンとか

キリンの首を僕につないで
首の長い僕だとか

背の高い僕
うっとり見上げて
「届かないよ」とキスせがむ君

首のたてがみに
指をからめて
背伸びをしながらキスをする君

医学の進歩は目覚ましく
なんだか少し
首筋が痒い


【詩】ラーメンとおっぱい

【詩】ラーメンとおっぱい

夜遅くにやっているラーメン屋で
週刊誌を眺めては
うら若き女子の水着写真を眺めては
なんだかな~とため息をつく

どれもこれもおっぱいは若くパンパンと張りがあるが
所詮どのおっぱいも空っぽで
プチンと針を刺せば虚しい音をたてて風船のように空へ飛んでいく
そんなただただおっぱいと言うだけのおっぱいだ

例えばそれぞれにしゃぶりつけば
おっぱいは確かにおっぱいの味はするだろうが

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【詩】スイスアルプス

【詩】スイスアルプス

アルプスの風はミルク
頬に残る母の匂い

アルプスの土はビール
父の膝の上のいたずらな苦み

アルプスの空は虫取り網
雲を追いかけて膝すりむいた赤い血

アルプスの命は滴
子宮の中の卵子と精子

アルプスからアルプスへ
摂理は当たり前につらなり
不連続の連続に
今

連立方程式
DNA
円周率
コスモ

鏡の中の瞳
鏡の中の瞳の中の瞳
鏡の中の瞳の中の

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【詩】肉よ

【詩】肉よ

君が肉を食う
肉が君となり
肉が君の肉となり
その贅沢な尻となり
足となり
肩となる

君が肉を食う
肉が君となり
肉が君の肉となり
その奔放な胸となり
血となり
熱となる

ああ肉よ
君に食われし肉よ
吾は肉を愛撫し
甘噛みし
いつまでも飲み込まず
筆先のそれのような優しさで愛おしみ
見つからぬ場所に爪痕を刻むだろう

ああ肉よ
君に食われし肉よ
その咀嚼音よ
その唾液に絡まれる繊維よ
その閉じ

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【詩】花言葉

【詩】花言葉



私達は年頃になると
生殖器がぷっくりと膨らむの
やがて太陽のギラギラとした視線を浴びて
生殖器を開くの
開くの 開くの 開くの
ねえ、見てって大きく開くの
生殖器から漂う香りに虫さん達が集まるわ
虫さん達ったら私の生殖器に顔をうずめて・・・
ああ恥ずかしい
人間の男なんて私達の生殖器を束にして
愛する人に贈るの
女達は私の生殖器の香を嗅いで
「ありがとう」なんて涙浮か

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【詩】竹

【詩】竹

空を突き抜ける竹も
ただ
すくすくと伸びたわけではなく
竹なりに夏を超え冬に絶え
竹とて争い
竹として何故、自分は竹なのかと悩み
時に竹も竹として恋をし
恋に破れ
涙し
眉間に皺を寄せ
歯軋りし
頭をかきむしり

竹は竹ゆえの挫折感と戦い
挫折は節となる

挫折のエネルギーが節で
節と節との連続が竹なのだ

節のない竹など
挫折のない竹など
己の身の重さに

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【詩】同じウイルスを含んでキスをしよう

【詩】同じウイルスを含んでキスをしよう

なんの根拠もなく恐れる人々を
なんの根拠もなく僕は嘲笑う

なんの悪気もなく受け渡す人と
なんの落ち度もなく受け取る人と
なんの不思議もなく感染する
きっと
それが社会ってやつなのだ

例えば
なにかのウイルスが人類を滅亡させようとして
最後まで生き残るのは
きっと
「ひきこもり人」という社会不適合者達で
もしも
その日が来たなら「ひきこもり人」は
「ひきこもり人」達とコミュニケーションをとるのだ

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