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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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2019年5月の記事一覧

白シャツという自由

白シャツという自由

最近、白シャツが楽しい。

少なくともここ3日間、気づいたら白シャツを着ている。

素材やデザインはいろいろだし、たいていキャミソールとかタンクトップとかとあわせてラフに着るのだけれど、とにかく真っ白なシャツがメインというのがいい。とてもいい。とても、なんていうか、気分だ。

朝、ねむい頭のままクローゼットの前に立って、ぼんやりと洋服を見る。

ああ、昨日も白シャツだったなあと思いながら、でもまた

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週末はピザトースト

週末はピザトースト

書こう書こうと思っている間に旬が過ぎてしまうということはよくある。

このピザトーストの話なんてまさにそんな感じだ。

春先、まだ寒さが残るくらいの季節に、週末の朝食としてピザトーストをするのにハマっていたときがあって、「ピザトースト簡単だしおいしいし最高じゃんこれ書こうっと」なんて思っていたら、いつのまにか汗ばむほどの陽気に見舞われる季節になってしまった。

いや、まあそれでもおいしいんだけどさ

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だいじょうぶ、だいじょうぶ

だいじょうぶ、だいじょうぶ

「#社会人1年目の私へ」という企画をやっているのはぼんやりと知っていたけれど、なかなか書く気になれずにいた。

なんというか、まぶしかったのだ。

いろんな方が悩みや葛藤を振り返り、それをくぐり抜けて今へとつながるような意義を見出したりしている中、自分は胸をはって「あの日々の葛藤があったからこその今」と言い切れる自信がなかったのだと思う。

あるいは20代後半のころのわたしなら、むしろ堂々と書けた

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ぽんぽんのくつした

ぽんぽんのくつした

それは娘がまだ赤ちゃんのころ、ばあばがプレゼントしてくれたものだ。

パイル地というのだろうか、伸縮性のあるタオルみたいな生地でつくられた、ベビーサイズの小さな小さなくつした。足首の前のあたりに、直径2cmくらいある大きめのぽんぽんがついている。

当時はそのくつしたにぴったりの、小さな娘の足にそれを履かせて「あらかわいい」なんてほほえんでいたものだ。なんだろうね、あの時期って親が着せたいものを着

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消えゆくもの

なんでもない瞬間にふと、死について思いを馳せることがある。

病にふしているときや、誰かの死を見送ったときではなくて、むしろ幸せいっぱいな夜なんかに。

たとえばこの前は、日中、友だち家族と子連れで牧場にでかけて、1日めいっぱい遊び、とても充実した時間を過ごした日の夜だった。ひとりでシャワーを浴びながら「ああ、今日楽しかったなあ」なんて思い返していたら、いつのまにか、死のことを考えていた。

楽し

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皿からパクチーを取りのぞくような気づかい

皿からパクチーを取りのぞくような気づかい

“相手のためによかれと思ってしていることが、相手によっては嬉しいどころか、むしろ悲しい思いを抱かせていることもある……よなあ”。

最近ちょっとあることがあって、そんな気持ちをぷすぷすと、胸のなかでくすぶらせていた。

そんななか、ひさびさに外食ランチでもしようと入ったタイ料理屋で、出てきた料理にはパクチーがのっていなかった。

それを見た瞬間、ああこの気分どこかで、と思ったのだ。

その気づかい

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砂場にて

砂場にて

いわゆる人付き合いというものに器用なほうではないわたしは、子どもたちの場にいると学ぶことがとても多い。

昨日も帰省先の近所の公園で娘と遊んでいて、ちょっと感銘を受けるような出会いがあった。

そもそも幼子とゆく公園というのは、意外と地味にコミュニケーション力を使うところだ。今ではわたしもだいぶマシになったと思うが、すべり台の順番待ちだとか、他の子にぶつからないかだとか、安全確保や秩序確保のために

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夫婦ってやつぁ

夫婦ってやつぁ

たとえばあなたの奥さんが、あなたが連休中に5日間ほど出張だというので、「世間が楽しんでる時期にワンオペはつらいし」と、幼子を連れて奥さんの実家に1週間ほど帰ったとする。

そうして連休明けに帰ってくる。

家のドアを開けて、ただいまーと言ったところまではよかったが、中に足を踏み入れてくるにつけ、なんだか奥さんの雰囲気がすぐれない。「なんか、臭うね……」とか言い出す。台所の排水口を見て、ふう、とか静

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