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留学生の日本語クラスにゲスト参加して、日本企業の《困った上司》について議論しました (街で★深読み)

某大学で留学生に日本語を教えている知人から誘われ、昨日、彼女のクラスのディスカッションにZOOMでゲスト参加しました。
なかなか勉強になりましたので、忘れないうちにシェアさせてください。
コロナ禍により、留学生もそれぞれ、母国からZOOMを使っての参加です。講義は受けられても、「日本に留学した」感がないでしょうね。

議論のテーマは「職場でのミスコミュニケーション」。経産省が2019年に作成した、《日本人上司》と《外国籍部下》間でのコミュニケーション問題の動画を題材に、
➀両者の気持ち
➁何が問題か
➂どうすれば良かったか

を留学生と日本人ゲストが、もちろん日本語で議論します。
留学生とのコミュニケーションは、まったく問題ありませんでした。《通訳メガフォン》も《ほんやくコンニャク》も不要です。

日本語を学ぶ留学生の多くは日本企業への就職を念頭においているでしょうから、確かに重要なテーマですね。その中で、課題担当留学生が選んだ3件です。

最初は《飲みニケーション》です。外国籍社員が上司から頻繁に飲みに行こうと誘われ、困っています。【下記動画は48秒】

既に日本の大手企業で働いている留学生H君が、
「今はもうこんなことないよ。セクハラで問題になっちゃうよ」
と言いますが、中小ではまだけっこうあるでしょうね。
もちろん、誘う上司の側に問題があります。

経産省はこの「問題」動画に続く「解説」で、日本企業側(つまり上司側)に《外国の文化の違い》に配慮するようアドバイスしています。
しかし、H君の言うように、今や日本人部下に対しても、このようにしつこい《お誘い》はマズイでしょう。

誘う上司が悪い、とばかり言っていても仕方がないので、外国籍社員(というより、あらゆる《部下》)へのアドバイスとして、
「こういう《淋しい上司》はどこにでもいるんだよ。単身赴任のアパートに帰りたくないんだ。こういう人には、嘘でもいいから、夕刻にはいつも用事がある、と言ってはっきり断るのが一番平和裏に解決するよ」
てな話をしました。
すると、ひとりの女子留学生が、私は断るのが苦手です、と言いました。
うーん、関係がぎくしゃくするのでは、と心配だからね。わかるけど。


ふたつめは、母国での結婚式に出席するため、《長期休暇》を取りたいという外国籍社員に、上司が「長すぎる」と難色を示す場面。【下記動画は26秒】

これも、経産省の「解説」には、
「葬式や結婚式が日本より長い国もあります」
《上司側》に、文化の違いを理解するように言っています。

しかし、問題はそこではなく、この上司が、
「結婚式で2-3週間は長すぎるんじゃないか」
漠然と《期間の長さ》に難色を示していることではないでしょうか。
重要業務を担当する社員が長期不在だと、深刻な支障をきたすこともあるでしょう(組織のリスク管理の問題、というそもそも論は別として)。
この社員が休みを取ると、具体的にどういう問題が生じるのか、それゆえに会社としてはこの社員に(期日を減らす、対策を講じるなど)どうして欲しいのか、をはっきり言う必要があります。

外国籍社員側は、不在中問題が生じないため、休暇前にしておくべきことを確認するのが良いでしょうね。
「私の国では結婚式が長いんです」的なことをあまり言う必要はない、と思います。高価な航空運賃を払ったら、せっかくなので長く故郷にいたい、というのは当然です。
問題は、会社にどれほどの不利益が生じるか、それを最小限にする方策はあるか、でしょ。


最後は、部下に資料の修正を求める上司が、間接的に、しかも、《曖昧な言葉で指示を出す》問題です。【下記動画は42秒】

上司が「資料の見た目を《工夫》して欲しい」というのに対し、経産省は、
《工夫》というような言葉は外国籍社員にはわかりにくい」
というのですが、
「こんな曖昧な指示、日本人社員に対してもわかりにくいぜ!」
と誰もが思うでしょう。

ただ、こういう上司ってたしかにいますね(お前だろ、とブーメランが飛んでくるかな)。
長い付き合いから、この上司の使用言語を読み解く《翻訳技術》を編み出したかわいそうな部下を除き、誰にもわかんねーよ

留学生には、
「こういう場面では、その上司に直接、《具体的な指示》を求めると良いよ。日本人部下だって曖昧な表現に困っているはず。何度か繰り返せば改める。つまり、あなたが彼を教育するわけだ」
とアドバイスしましたが、野次馬が言うはやすく、当事者はたいへんですよね、実際は。

でも、こういう《直言》は、日本人部下よりも、外国籍社員からの方が効果的かもしれません。
受講者の中のドイツ人留学生A君(ドイツからZOOM参加)が、
「ドイツ人は論理的に話す、と思われています。そのこともあって、私はこのテーマ、《言いたいことをはっきりと》を選びました」
と言っていました(もちろん日本語で)。
アッパレ!

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