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エッセイ

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2019年3月の記事一覧

おやすみなさい

おやすみなさい

「おやすみなさい」

この言葉、好き。

さようならも、おつかれさまもいいけど、もっと親しみがこもった感じがする。眠るときの無防備な時間を、ほんのり予感させるからだろうか。
今日も一日、よく頑張りました。もう、休んでいいよ。
そんなねぎらいの意味合いが、こもっているからだろうか。

「おやすみなさい」

この言葉を交わすだけで、心がふわふわ浮いていく。ふかふかベッド、ふっくらまくら。あったかゆたん

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新宿砂漠

新宿砂漠

新宿紀伊国屋ホール。開場は18時から。
それまで文章を書こう。でも、家だと誘惑に負けちゃうから、お昼のうちに出て外で書こう。交通費勿体無いから、直接新宿に行ってしまおう。新宿ならどこにでも喫茶店あるでしょ。

そう思い立った私、パソコンと数冊の本とノートの入ったリュックを背負って家を出る。

新宿まで徒歩込みで1時間くらい。
平日だというのに、電車は座れないくらいには混んでいる。
リュック、重い。

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親子の背中

父と弟の後ろ姿が似ている。
おんなじくらいの背丈、ちょっと左肩の下がる猫背。のっそりとした歩き方まで。

私の家族は、父、母、私、弟の四人家族なので、四人で歩く時は二人ずつ列を作り、フォーメーションを組む。父はのっそり歩くけど、一歩が大きいのでどんどん先に行ってしまう。弟も同じ歩幅でついていく。だから大抵母と私が後ろ。

「二人、そっくりだね」

私と母はひとしきり笑う。笑っちゃうくらい似ている。

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8度目の3月11日を迎える

8度目の3月11日を迎える

3月11日を迎えるたびに、生のまま化石化したあの日の思い出がありありと蘇る。また季節が巡り、あれから何年という節目を迎えたことを噛みしめる。14:46を、今日も迎える。

昨年の今日は、父と大洗磯前神社の境内から茨城の海を眺めながら、町内放送の案内に従って黙祷を捧げた。
一昨年の今日は、オーケストラに乗っており、福島県相馬市でのチャリティコンサートの舞台上で黙祷を捧げた。
今年は千葉県松戸市で、大

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青春という戦場を乗り切った

青春という戦場を乗り切った

父とお風呂に入れなくなったのは、小学校高学年の時。理由は父が嫌だったからではない。

膨らんできた胸が惨めでどうしようもなかったからだ。

子供のわたしから見た時、大人の体はとってもグロテスクだった。
だから大人は自分とは別の生き物に見えたし、自分が将来あの体になるなんて信じられなかった。

だけど、体の成長は容赦なくわたしを襲ってきた。そう、襲ってくるという感覚に近かった。わたしは自身の体の変化

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画面の中の彼と、彼を見る私

気分が塞いだり、何もかも否定的になってひどく落ち込む日がある。そんな時、私はyoutuberたちの動画を見る。自分では思いつかないようなばからしいことをみて笑ったり、話がとても上手くてつい引き込まれてしまったり、自分より下の世代の子たちのあどけない声に癒されたりする。
そうすると、重く滞留した心に新鮮な空気が入り込んで、何となく元気になれるのだ。

でも昨日、ずっと見てきたyoutuberの方が1

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我輩は猫になりたい

我輩は猫になりたい

私は意図して人を傷つけようと思うことはあまりないけど、言葉を発した後に、あ、今相手を傷つけてしまったな、とか、自分本位の言い方になってしまったなとか気づいて、しばらく落ち込む、ということがある。
そんな時、謝れる場合は後日でも、謝るようにはしている。
でも、自分では思わぬ一言で相手を傷つけてしまうこともきっとたくさんあったと思う。その場合、私は相手に謝ることができていない。

きっとこういうことは

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