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本のあれこれ

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ネタバレに留意しておりませんので、お気を付けください。
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とわの庭 読んだ

とわの庭 読んだ

繁忙期が落ち着いた。

あんなに終わらないと思っていたのに、急に終わった。

あともう少しで山場を越えられそうだなと察知してから、ものすごく本が読みたかった。

数えたら、約三ヶ月ぶりの読書欲だった。

さて、帰り道で本屋に立ち寄り、フィーリングで選んだ2冊。

『とわの庭』小川糸
『長いお別れ』中島京子

じわじわと染み渡るような、あまり刺激の強くない本が読みたくて、さらりと棚を見てすぐ決まった

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読了:楽園のカンヴァス

美術館の絵の話だと聞きかじって気になっていて。やっと読めた。

読んだ人読んだ人から「これは良いよ〜」と言われ、期待値も上がっていた。

結論から言うと、その期待をも上回るものだった。

あらすじ感想あれ?と思ったところ、好きだなあと思ったところ、の順に。

館長室の理由

館長室に呼ばれたときの織絵が妙に白々しく感じられた。

隠していたとはいえ、あれほどの実績があったなら、「もしかして」と思う

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癒えない傷は無いだろう

傷は癒えると思っている。

癒えるのにかかる時間はまちまちだとしても。

このことを考えたきっかけは、違う考え方の人に出会ったからだ。

経緯

そもそもは、たまたま居合わせた人(Aさんとする)と好きな本の話になり、私は原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』を持ち出した。

以前にも書いたことがあるが、私がその本の中で1番好きなセリフがある。

本当は自分で読んでほしかったが、どうしてもそのセリフ

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読了:凍りのくじら

覚え書き。

ネタバレしかありません。

感想2回目の読了。

でも、読む前に覚えていたのは、最後のテキオー灯に照らされるシーンのイメージと、別所あきらの正体だけだった。

あんなに堕ちていった若尾のことも、郁也のことすらすっかり抜け落ちていたなんて。

ただ、別所の正体を知っていたからこその視点で読めたので、それはとても良かった。

あのシーンもこのシーンも、別所がそうだと思って読むと、しっくり

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読み終わった:傲慢と善良

予想しながら読む。

今は半分の手前くらいまで読んだ。

既にぐさぐさ刺さっている。

相手の点数は自分の点数とか、傲慢さとか。
痛い…。

予想結末について、きっとどんでん返しがあるはず。
そういうことだったのね、と、真実がどこかで紐解かれるはず。

なので、その真実を予想してみる。

どうでもいいけれど、彼女の名前が真実(まみ)なので、真実(しんじつ)と書いても真実に見えてしまってややこしい。

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古本に押し花

古本に押し花

星野道夫の『旅をする木』を読んでいた。

確か大手の某古本屋で買った本だったが、途中まで読んで、しばらく置いていた。

さてまた読むか、と久しぶりに本を開いて、何とはなしにパラパラとページをめくったとき、隙間からなんと押し花がこぼれ落ちてきたのだ。

自分で挟んだんだっけ、と思ったが、覚えの無い花だし、自分なら本に花は挟まないだろう。

挟まってしまったにしても等間隔で、きれいな挟まり方だった。

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嫌われる勇気:2回目

1回目に読んだのは、10年くらい前だったか。

出版は2013年だったから、それよりは後だろう。

初めて読んだ当時は、聞いたこともない考え方や価値観に驚いたのと同時に、確か、会得するのにはこれまでの自分の人生の半分がかかると書かれていて、その時の長さに果てしなさを感じたことを覚えている。

ちなみに、今の年齢でも計算してみたら目眩がした。

1回目に読んだとき、よく飲み込めないままだったところは

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ブックカフェで心を取り戻す

ブックカフェで心を取り戻す

直近で最後に本を読んだのが年末。

そこから流行病にやられたり、仕事やら引っ越しやらに押しつぶされ、余裕が無いと本も手に取らなくなる。

そんな中、たまたま、東京駅へ行く用事があり、そのまま銀座で髪を切ることにした。

寄り道

美容院へ向かう道すがら、ふと、この辺で行きたかったお店はなかったかな、と思い出した。

Googleマップに気になった場所にピンを立てておいて、近くに行く用事があるとよく

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2022年の読書履歴

2022年の読書履歴

こんな年の瀬だというのに、喉を痛めて布団にこもっている。

実家に帰った当日にマッサージ椅子で寝落ちして、親からやれ抗原検査だ(陰性だった)やれあれしてこれして早く寝ろとやんややんやされて、疲れた頭で全てが嫌になって自分の家に帰ってきてしまった。

2022年の読書履歴他の人がやっていておもしろそうだったので私もまとめてみた。

上から読んだ順だ。
小説以外も少しある。
■はおすすめされて読んだ本

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"日本のヤバい女の子"を読んだ

とても好きな友達に、なんの本が1番好きか聞いたら教えてくれた。

女の子が登場する昔話に、ひたすらツッコミを入れたり、フェミニズム的に考えたりしたりものが軽快に語られている本だった。

その目の付け所もさることながら、はらださんの言葉の選び方はとても好きだった。

なんとなく、日本語訳されたどこかのおしゃれな──例えばパリとかの、国の言葉に見えてくる。

もうひとつ好きな文があって、それがあったか

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『夏の庭』と装丁の想像

『夏の庭』と装丁の想像

「夏の庭」を読んでいる。

例に漏れず、内容に触れます。

今読んでいるあたり
今、おじいさんがだんだん元気になってきたあたり。

すごく良い。

最初は、おじいさんがもうじき亡くなると始まった少年達の見張りごっこ。

実際におじいさんは本当にすぐに亡くなりそうなほどくたくたで陰鬱な生活だったが、少年たちに見張られていると知ってから変わっていく。

ゴミだらけだった庭は片付き、洗濯をするようになり

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読了:白夜行

こんな終わり方があるのか…

最後まで読んだ最初の感想はこれだった。

鈴伏線のちりばめ方が、とても絶妙だった。

読者がきちんと気が付くように、さり気なく、でも不気味に、そこかしこに撒かれていた。

特に、雪穂の鍵の鈴なんて特にそうだと思った。

鞄に鍵を入れたまま、母親の発見を横で見ていたであろう雪穂を、想像するだけでぞっとした。

手口動機や手口が明記されていないことも、この話の不気味さを際

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物を大切にする理由

「海の見える街」を読んだ。

その中では、本に全く詳しくない、若い女の子が配属されてくる。

その女の子は、子どもの絵本コーナーに置いてある本をカゴに入れるとき、なんと投げて入れたのだ。

その上、それを咎めた主人公に対し、

「なんで(本を投げちゃいけないん)ですか?」

とまで聞いた。

図書館に置いてある本は売り物ではないし、特に絵本は子どもたちだって乱暴に扱っていることもあるのだから、大切

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2回目の『本日は、お日柄もよく』

2回目の『本日は、お日柄もよく』

友人の結婚式のスピーチを頼まれた。

本当に大切な友人なので、スピーチを頼んでもらえて嬉しい気持ちがまず1番。
後になってからじわじわと、心配な気持ちを自覚した。

そこで、スピーチと言えば真っ先に思い出すこの本を、読み返してみることにしたのだった。

ここまでが下書きに入っていた。
そうだった。
画像込みのリンクの張り方が結局わからなくて止まってたんだった。
わからないからこのままで。

何を書

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