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#小説

「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」。生きる術を知る大人の理屈である。しかし、子供はどうだろう。特に中学生の心の悩みは深い。その一言では効かない。「学校」と「家」以外にそんな場所がどこにある。大人になれば辛い目にあったり、理不尽なことをされたら「辛かったら逃げてもいい」とさかんに言われるようになった。その通りなのだが、子供たちのコミュニティは「親」と「先生」で構成される集団にしか属していない。それゆえ、逃げ

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はじめに (2018.12.4編集)

初めまして、からてと申します。以前は主にMF文庫Jでライトノベルを書いたりしていました。最近はソーシャルゲームのシナリオなどを書いていますが、もっぱらソーシャルゲームをやりながらyoutubeを観ています。残りの時間は寝るか起きるかをしています。

noteでは主に日記を書いていこうと考えています。その日食べたものや、読んだ本や観た映画、好きなコンテンツ、仮想通貨で大損した話(現在進行形)などにつ

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人気作家・深緑野分の解説を特別公開! 大ヒット中の北欧ミステリ『熊と踊れ』

人気作家・深緑野分の解説を特別公開! 大ヒット中の北欧ミステリ『熊と踊れ』



解説

作家  深緑野分

 私たちは暴力と共に生きている。人類がこの原始的な道具を忘れたことはなく、程度の差はあれ、誰もがその被害者で、加害者だ。殴打や殺人、戦争など見かけの激しい行為だけでなく、威嚇や罵声、虐めなど。そのすべてが悪いものだとわかっていながら、冷めた目で受け入れてしまう。

 だが、暴力と真正面から対峙し、小説を通じて問いかけ続けている作家がいる。それが本書の著者のひとり、ア

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書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。

書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。



本書の目的は、小説を面白く読むための方法を示すことだ。
大雑把に説明するとmetaphor。つまり、比喩に注目する。
この話しは何を言おうとしているかを読み取ることが大切だと述べている。

第一部は、小説の読み方をレクチャーしているのだが、それよりも第二部の各論。
実際に名作を例にとり、どの部分に着目し読むと楽しいかの具体例が良かった。

芥川と川端のところが、とくに秀逸で読みながら何度も「そ

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40分で小説書けた!

40分で小説書けた!

図書館でたまたま目に入った本

『たった40秒で
 誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』
 著者:田丸雅智

実践しながら小説が書けちゃう!
小説とか書いてみたいな、と
ふと考えたりするので
読みながら、実践しながら、
とても楽しかった!
工作をするように書けるから
上手く書こうとしなくていいし、
不思議な言葉から想像していくから
自由に書けるところがおもしろい!
子どもも大人も、友達や

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読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード

読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード

これは無名だったパール・バックが、『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。信じられないけれど、本当だとか。あの壮大な物語が、こんなきつい一言でボツとは信じられない。数年後にノーベル文学賞を受賞した作品が、ほぼ読まれもせずボツ。ああ……

他にも、この本には文学史の教科書に出てくるような『白鯨』や、誰もが知っている『アンネの日記』、映画化された『チャタレイ夫人の恋人』や『宇宙戦争』、の

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