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118.【見知らぬ誰かの痛すぎる夢】

ある日の夢は……

アタシは短髪の男の子だった。
中学生ぐらいに見える。
ゲームセンターと飲食店が一緒になったような場所にいた。

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子供の溜まり場なのか、店の中にいるのは子供ばかり。
その中に一人、店主らしきメガネをかけた白髪のおじさんがいた。
恰幅のいい体付きで、なんだか白クマみたいだった。

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覚えていないのか、夢が飛び飛びなのか、
そのおじさんからジュースを受け取ったと思ったら、場面が切り替わった。
目の前に少し髪の長い男の子が立っていた。
感覚的に短髪の男の子の同級生なんだと思う。
手に持っていたジュースをこぼしたのか髪の長い男の子の服が汚れていて、短髪の男の子は慌てた様子で謝っていた。

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「大丈夫。気にしないで」

そんなことを髪の長い男の子が言うと、また場面が切り替わって、今度は店の外にいた。
扉を開けて中に入ると、みんな天井を見上げながらざわざわしている。
釣られるように上を見ると、天井には大きなプロペラ飛行機の模型が吊り下げられていた。

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よく見ると、胴体の側面に黄色いスプレーでラクガキしたみたいに何か書いてある。
それを見た瞬間、短髪の男の子の名前だと感じた。
思ったんじゃなくて、そう感じた。
『 iio 』か『 inoo 』
どっちかだったと思うけど、起きたら忘れてしまった。

「なんで?」

短髪の男の子もわけが分からなそうな表情で視線を下に戻すと、正面奥に髪の長い男の子がいた。
壁にもたれながら床に座っている。

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短髪の男の子と目が合うと軽くニヤッと笑った。
でもすぐに真顔になって
「僕、犯人知ってますよ。アイツです。この間も近所で同じようなことして怒られてました」と言って短髪の男の子に向かって指をさした。
みんなが一斉にこちらを見る。

「えっ……」

否定する間もなく白クマみたいなおじさんが近づいてきた。
短髪の男の子の左腕と右脇腹を掴んで、押すように店の奥に連れて行こうとする。

「違う……俺じゃない!」

おじさんに必死に訴えても、犯人かどうか確認もせず無言。
男の子の顔すら見ようとはしなかった。
不思議だったのは、夢なのにアタシも本当に掴まれているみたいに右脇腹が物凄く痛い!
いつものアッチノ世界の夢だと、刺されても銃で撃たれても、冷たいものを長時間あてた後の肌みたいに熱くなるような独特な痛みだけだった。
でも、今回の夢は夢とは思えないぐらいにハッキリとした痛み。
寝ながら大声で叫んでいたかもしれない。
それぐらい痛かった。

短髪の男の子も痛いはず。
それなのに興奮しているのか、おじさんを睨みつけながら「俺じゃないって後でわかっても許さないからな! 俺じゃないってわかって謝ってきても、絶対に許さないからな!」と人が変わったみたいに怒鳴っていた。

そのまま店の奥に入るかどうかのところで、また場面が切り替わった。
短髪の男の子は大人になっていて、事務所のような場所でスーツの男の人と向かい合うように座っている。
痛みから開放されて、アタシはホッとした。

「店主は死亡しておりますがよろしいですね?」

そう言いながらスーツの男の人が書類を指さした。

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「はい。二人に送ってください」

短髪の男の子は怖そうな顔で頷く。
死亡した店主は白クマみたいなおじさんのことだと思った。
たぶん、もう一人は髪の長い男の子。

「わかりました。書類を作成して送ります」

そんなようなことをスーツの男の人が話している時に目が覚めた。
すぐに夢を遡って思い出す。
「大人になってから、あの髪の長い男の子とおじさんを訴えたのかな?」とウトウトしながら思った。

こんなにハッキリと他の人の体験のような夢を見たのは久しぶりだったけど、もうあんな痛い思いはしたくない。


そう思った夢でした。

別サイト初回掲載日:2018年 12月13日


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