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7.【小さいチップ<大きいミッキー】


我が家には二匹の猫がいる。
父猫のチップと息子猫のミッキー。
牛柄の親子だ。

ある日の夢は我が家の二階から始まった。
また夢の中で目覚めたアタシ。

このパターン……。

数日前に黄色いサルの夢を見たばかり。
また巨大な何かがいるのではないかと、扉にある擦りガラスから部屋の前を見てみた。何もいない。
安心していたら、扉の外で物音が聴こえる。

そーっと扉を開けてみると、父猫のチップが座っていた。
いつもは三階にいて、二階には下りてこない。
珍しいなと思いつつチップを抱っこして、猫達の寝床がある三階へ向った。

階段を上りきったところに、今度は息子猫のミッキーが座っていた。
ミッキーの姿が見えた途端、チップがアタシの腕から無理矢理下りた。
二匹揃ってリビングの方へ走っていったので、気になって追いかけようとしたら、キッチンから何か音がする。
電気を点けてみると、テーブルの上にチップが座っていた。
でも、子猫のように小さい。

その小ささに驚いていたら、突然ふくらはぎにドンッとよろけるぐらいの衝撃を受けた。
慌てて下を見ると、中型犬サイズのミッキーが脚にスリスリしていた。
見慣れない大きさに、アタシは思わず後ずさってしまった。
ジリジリと追い詰められるように、背中からリビングへ一歩入った瞬間――
たくさんの猫の鳴き声が一斉に聴こえてきた。

何事かと思ったら、何故かリビングのアチラコチラに、たくさんのチップとミッキーがいた。
でも、みんな模様も色も大きさもバラバラ。
どの猫が普通のチップとミッキーかわからなくなっちゃうじゃんか! なんて思ったアタシは、手当たりしだいに探してみた。

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マトリョーシカのように並ぶ中から、普通のサイズのチップを発見! 
そう思って抱っこしてみると、顔はチップなのに模様がミッキー。
今度こそ発見した!と思って抱っこしてみると、チップだけど、今度は尻尾が短い。
探しても探しても、なかなか見つからない。
それでも一生懸命探していたら、どこからか音がする。
まるで猫缶を叩くような……。

そんなこと考えている間に、サイズのバラバラなチップとミッキーが一斉に階段の方へ走り出した。
音は下の階からするのか、次々と下へ行ってしまう。
つられるようにアタシも追いかけようとしたら、目が覚めた。
起きてすぐにチップとミッキーの模様と尻尾を確認。

何ともなくて安心したけれど……
どこかに小さいのがいるんじゃないかと、今でもたまに戸棚の扉を開け閉めしてしまう。

【アッチノ世界】で、大群のマトリョーシカみたいな猫達に遭遇したら、猫缶の音が聴こえてくるのを待つといいかもしれない。
幸運の猫缶の囁きに、彼等は貪欲に反応してしまうはず……。
そんなことを思った夢でした。

別サイト初回掲載日:2010年 11月05日




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