マガジンのカバー画像

お念仏と読書

22
これまで読んで感銘を受けた本を紹介して、それを通して味わった仏様のお話をしていこうと思います。
運営しているクリエイター

#仏教

お念仏と読書21『ヘレヘレじいさん』

お念仏と読書21『ヘレヘレじいさん』

『ブータンで本当の幸せについて考えてみました。「足るを知る」と経済成長は両立するのだろうか?』本林靖久・遠藤智樹(光文社新書)を読みました。
GNH(国民総幸福量)を提唱するブータンについて書かれてあり、読むと「本当の幸せ」とは何なのかを考えずにはおられなくなる本です。

その中で大変興味深い民話、昔話に出あいました。その主人公の名を「ヘレヘレじいさん」というのです。
ブータン人の生き方を見ていく

もっとみる
お念仏と読書⑯プラス思考の向こう『あしたのねこ』/きむらゆういち文・エムナマエ絵

お念仏と読書⑯プラス思考の向こう『あしたのねこ』/きむらゆういち文・エムナマエ絵

今回は私が一番好きな絵本『あしたのねこ』をとおして、私たちの「プラス思考」や「解釈」はこの世を渡っていくのに最強だが、そこにも限界があるということ、そしてその解決について書いてみたいと思います。

いつものように、ネタバレ注意ですが、宜しければお読みくださいませ。

『あらしのよるに』のきむらゆういちさんが文を書かれ、完全に失明をされているエム・ナマエさんが絵を描かれています。
エムさんの淡いタッ

もっとみる
お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

お念仏と読書⑬『でんでんむしのかなしみ』殻を背負う私と、私を背負うナモアミダブツ

新美南吉さん作『でんでんむしのかなしみ』という絵本があります。

この絵本を通して、私たちの抱える苦しみの根源について味わいました。
また、そこに「そのまま背負う」とはたらくアミダ仏のおすくいを書かせていただきます。

あらすじ一匹のでんでんむしがいました。でんでんむしはある日、自分の悲しみの原因が何によってであるか気づくのです。

「ああ、自分の背中には殻がある。その殻の中には、悲しみがいっぱい

もっとみる
お念仏と読書#1「大丈夫」

お念仏と読書#1「大丈夫」

コロナウィルスの問題で、今現在(2020年3月現在)お寺の法要、法話会など残念ながら自粛している状況です。法話会が休座になると、法話をする機会が失われます。
しかし、一軒ずつしているお彼岸のお参りや日々のご法事などでは、法話をしたり、法話の文章を配ったりしている。今だからこそともに聞いていきたい仏様の「安心」があります。
第一回の投稿として、この春彼岸にお参りする時に配る法話を載せます。

『大丈

もっとみる
お念仏と読書#3 いのちの見方

お念仏と読書#3 いのちの見方

3回目となる今回は、福岡伸一さんの『最後の講義 完全版 どうして生命にそんなに価値があるのか』を読んで、内容を少し紹介します。そして仏教の「いのちの見方」について味わってみたいと思います。

「あなたは人生最後の日に何を語りますか」?
NHK BSで放送され、大反響をよんだ「最後の講義」が、本になってよみがえりました。

まず、「人生最後の講義であったとしたら?」何を語るのかというのが、とても興

もっとみる
お念仏と読書#2「ギブ アンド ギブ」

お念仏と読書#2「ギブ アンド ギブ」

浄土真宗では、仏さまや、仏教についてのお話のことを法話と言い、それを聞くことを「聴聞」と言います。この聴聞をとても大切にしています。
なので、ご法事やお通夜でお経のお勤めの後に必ずと言っていいほど法話があるのです。お経に説かれている内容を、一緒に聞かせていただく時間と場所を大事にして、今まで仏さまのおこころは伝わってきました。

今回は、仏さまのおこころについて、シェル・シルヴァンスタイン作、村上

もっとみる
お念仏と読書#4 不思議な踊りをおどるハト~迷信が生まれる訳~

お念仏と読書#4 不思議な踊りをおどるハト~迷信が生まれる訳~

今回は脳科学者の池谷裕二さんの『自分では気づかない、ココロの盲点 本当の自分を知る練習問題80』を取り上げます。
脳科学の研究から、私たち誰しもが抱える「認知バイアス」という脳の癖をわかりやすく解説されます。

脳が私をそうさせる。「認知バイアス」の不思議な世界を体感。たとえば買い物で、得だと思って選んだものが、よく考えればそうでなかったことはありませんか。こうした判断ミスをもたらす思考のクセはた

もっとみる
お念仏と読書#5「苦しみを語る」

お念仏と読書#5「苦しみを語る」

今回で5回目となります。この「お念仏と読書」では、お念仏のお法(みのり)を、読んだ本を通してお伝えできたらと書いています。
浄土真宗の教えが、このブログで伝えたいことの根底にあります。
魅力あふれる本を読んで感銘を受け、その中で私自身が仏様のこころを感じたり、考えたりしたことを書き綴っています。どうぞお聴聞くださいませ。

今回は私たちの抱える苦しみについて、どう解決し、どのように受け止めていけば

もっとみる
お念仏と読書#6「名前のすくい」

お念仏と読書#6「名前のすくい」

本屋さんで見つけて即買ってしまった絵本があります。竹下文子さん文 町田尚子さん絵『なまえのないねこ』です。
今回はこの絵本を読んで、浄土真宗における「名前のすくい」ということについて味わっていきたいと思います。宜しければお聴聞ください。

まずこの猫の瞳に引き込まれました。私はそもそも猫アレルギーだし、猫がそんなに好きというわけでもないのですが、猫好きな人にとってこの本は堪らないと思います。

もっとみる
お念仏と読書#7「分人主義」とてつもない、つながりを知る

お念仏と読書#7「分人主義」とてつもない、つながりを知る

今回は平野啓一郎さんの『私とは何か』を読み、仏教を感じ、途轍もない世界とつながりを感じたので、それをお伝えしたいと思います。

私という存在は、ポツンと孤立に存在しているわけではない。つねに他者との相互作用の中にある。というより、他者との相互作用の中にしかない。
他者を必要としない「本当の」自分というのは、人間を隔離する檻である。

日本語の「個人」とは、英語のindividualの翻訳で、日本で

もっとみる
お念仏と読書#8「認めてもらいたい!!」

お念仏と読書#8「認めてもらいたい!!」

今回は、太田肇さんの著書『「承認欲求」の呪縛』を読んで、現代社会に生きる私達の抱える最も大きな苦悩とも言える「承認欲求」について、感じたこと書かせていただきます。

SNSで「いいね!」をもらうことに全身全霊を傾けてしまう人がいる。職場で表彰されるために「もっとがんばらねば」と力んでしまい、心身を蝕む人がいる。エリートであるがゆえにプレッシャーを感じて、身を滅ぼした人もいる……すべての原因は「承認

もっとみる
お念仏と読書#9「承認欲求」をこえる

お念仏と読書#9「承認欲求」をこえる

前回の記事「認めてもらいたい!!」では、太田肇さんの著書『承認欲求の呪縛』を読んで感じたことを書きました。
書いていて一番思ったのが、自分自身がまさに「承認欲求の呪縛」の中にいるのだなということです。
前回のブログに著者の太田肇さんからイイネ!がついていて、また承認欲求を刺激されてしまう自分がいました(笑)

私達は誰しも褒められたら嬉しいし、貶されたら悲しいものです。
多かれ少なかれ「承認欲求」

もっとみる
お念仏と読書#10『ソラニン』と苦しみの原因

お念仏と読書#10『ソラニン』と苦しみの原因

今回はマンガ、浅野いにおさん著『ソラニン』を読んで、私たちの抱える根本の苦悩の根源には何があるのかを、仏法に聞いていきたいと思います。

1.あらすじ
主人公の入社2年目OLの芽衣子は、仕事にやりがいが持てず、上司との関係も悪く、死んだように生きている自分に嫌気がさし、会社に行きたくなくなります。

そのような時、バンドを通じて出会い、大学時代から付き合って同棲している彼氏、種田から「辞めちゃいな

もっとみる
お念仏と読書#11無限にあう

お念仏と読書#11無限にあう

今回は初めて仏教書からの紹介です。森田真円先生の『ひらがな真宗』を通して、無限につて考えていきたいと思います。

京都女子大学教授で、本願寺派勧学の森田先生は、浄土真宗のおみのりをやさしく、わかりやすく、豊かにお示しくださいます。この本は著作がたくさんある先生の最初の本です。

この本には、「迷い」や「他力」「老苦」といった仏教の言葉について、初めて仏教に触れる方にも楽しく味わえるように、簡潔に浄

もっとみる