仕事デスクに向かうと、あの子供の後ろ姿が、立ち上がり中の暗いデスクトップに浮かんだ。 だからといってプロット書きに手がつかないという事はなく、カタカタとキーボー…
高層階で停止したままのエレベーターを横目に階段をリズムよく飛び降りた。 マンション二階でよかった。 火事の時も電車に遅刻しそうな時もここなら間に合う。 今回も間に…
このベランダからは見えない死角に移動したのか? 部屋に入って目を移したコーヒーカップからは湯気が消えていた。 そして、カップの下に乱雑に置かれた書類が仕事のことを…
コーヒーカップを仕事デスクに置くと、慌ててベランダに飛び出る。 きょろきょろと辺りを見渡すと、子供どころか人っこ一人いない。 あれは夢? 彼女の声でふらふらと居間…
目覚ましのコーヒーをすする。 なるべく音をたてないようにして、子供の声が聞こえるか神経を尖らせていると、聞こえるのは彼女の声。 彼女「私もう出かけちゃうけど、お昼…
猫が鳴いている。みゃーみゃーみゃーと、か細くも耳に残る声。ここいらに猫などいたかと、ふと考え始めた時、自分は猫嫌いだったことがパッと頭に浮かんだ。 普段は猫の声…
ザラキーマ
2023年10月22日 14:28
仕事デスクに向かうと、あの子供の後ろ姿が、立ち上がり中の暗いデスクトップに浮かんだ。だからといってプロット書きに手がつかないという事はなく、カタカタとキーボードは踊った。締め切りへの強迫観念と、まだ掴まえられない子供の影、どちらが空想力に作用したのだろうか。金と命。もちろん命の方が大事だが、今は金の亡者と罵声を浴びせられても聞こえないくらい集中していた。そして、手が止まった時。また思い
2023年10月21日 12:09
高層階で停止したままのエレベーターを横目に階段をリズムよく飛び降りた。マンション二階でよかった。火事の時も電車に遅刻しそうな時もここなら間に合う。今回も間に合うか。坂を下ったところで抗えないスピードダウンが襲って来た。肩で息をし、辺りを落ち着きなく見渡す。二人の影を隠すように、先ほどと打って変わって、わらわらと人が出てくる広場。ジョギングランナーや自転車に乗った主婦が威嚇する暴走族の
2023年10月19日 19:50
このベランダからは見えない死角に移動したのか?部屋に入って目を移したコーヒーカップからは湯気が消えていた。そして、カップの下に乱雑に置かれた書類が仕事のことを思い出させる。そんな無言の圧力に目を背け、足は居間の方へ向かっていた。もう音に頼ることはできない。自分の勘? 一番クリエイターとしては大事にしてきたつもりだが、ちょっと意外なところで試されるとは。もう一つの窓から外をのぞいてみる
2023年10月17日 13:43
コーヒーカップを仕事デスクに置くと、慌ててベランダに飛び出る。きょろきょろと辺りを見渡すと、子供どころか人っこ一人いない。あれは夢?彼女の声でふらふらと居間に行ったような。いや、これが夢?ついに彼女に強力な睡眠導入剤をいれられ、自分は居間で気を失った?はて誰があの子をなだめたのか。もしくは黙らせたのか。答えが出ない時はついブツブツと声に出して、事実を確認してしまう性分。 自分「……
2023年10月15日 23:19
目覚ましのコーヒーをすする。なるべく音をたてないようにして、子供の声が聞こえるか神経を尖らせていると、聞こえるのは彼女の声。彼女「私もう出かけちゃうけど、お昼どうする?」自分「……ああ。適当にやるよ」彼女「その適当を今きめてあげようとしてんの!」自分「だから……任せるよ」ふらっと立ち上がり、逃げるように自分の部屋に戻る。彼女「ちょっと! 人の話きいてる?」人の優しさが余計に感じる時
2023年10月13日 22:51
猫が鳴いている。みゃーみゃーみゃーと、か細くも耳に残る声。ここいらに猫などいたかと、ふと考え始めた時、自分は猫嫌いだったことがパッと頭に浮かんだ。普段は猫の声など気にも留めない。なのに。考えれば考えるほど、頭が冴える。そして映画館を出る時の強烈な眩しさ、穏やかさが目に甦った。子供の泣き声だ。か細い声であることに何故か安堵してしまうが、すぐに子供のことが気になりだした。 泣き止まない理由と