#散文
ボルシチを知らずに彼は死ぬでしょう
2024年5月なかば
「あれって女の子の店でしょ」と、夫が言った。
スープストックトウキョウの好きなスープを聞いた時だ。
「行ったこと無い」という夫に最初に思ったのは、へ?(スープストック)東京なのに?店名に東京ついちゃってるし、あなたは東京出身なのに?で、「女の子の店でしょ」と言われてまた、へ?っと思った。
けれど確かにあの店で男性1人客に出会ったことが無い。かも…いや…今日いた…あれは…
安全なこっち側の世界で卵の如く(散文)
9月、台風がきた。金曜日
雨は言われていたよりもひどくなくて、少し肩透かし。被害が無くて喜ぶべきだ、わかっている。喜んでいるしホッとしている、けれど少しだけ残念に思ってしまうところもあり、私の大人の部分が罪悪感を抱える。私の中にはまだ初めての雷に興奮したあの頃の、保育園児の私が生きている。脈々と。
昼。歯医者に行こうと外に出たら寒くて、出掛けに部屋に戻ってシャツを羽織った。東京で真夏日じ