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492.社長をやめた、社長のいない不思議な会社【前編」

coucouさんのお仕事論⑮

1.社長のいない会社
 

ここに、社長のいない会社がある。

この会社にはいつも社長がいない…。

専務も、部長も、課長も、係長もいない不思議な会社なんだ~
いるのは16名の社員たち。
彼らの仕事は、建設業界の壁紙を貼るクロス屋さんなんだ。

coucouさんはね、工務店さんや建築屋さんの顧問契約をしている。

 
coucouさんが初めてこの会社を訪問したとき、社長さんとお会いしたいとお話したら、「社長はおりません」という返事だった…。

「では、どなたか代表の方はいませんか?」

すると、「代表もいません」という返答だった。
社内を見渡すと、若者たちが中心の会社でイキイキとしている。
その中に一人だけ年配の方がいて、「私でよろしいですか?」と声をかけられた。
「失礼ですが、代表の方ですか?」
「いえ、一番年配の社員です」
 
coucouさんは、困った…。
それはね、誰と話をすればよいのかわからなくなったからなんだ。
だから、
「どなたか、わかる方とお話をしたいのですが…」

「私でよければお相手しますが…」
 
coucouさんは戸惑いながらも、その年配の人と話をすることになった。

「この会社には、社長も、専務も、部長もいないのですか?」
「はい、おりません」
「どうやって経営をしているのですか?」

「私は元社長です。ここには精鋭の社長が15人います。私を入れて16名でこの会社を経営しています。ここは、すべてに合議制を取り入れて、皆の意見を取り入れながら仕事をしています」

「どうしてそのような考え方になったのですか?」

「私が経営をするとうまく行かないからです。私の性格は社長に向いていないのですよ。それに70歳近くになりまして、会社を誰かに譲ろうかとも考えていました。そこで、ここにいる15人のスタッフと話し合った結果、全員が社長の気持ちで経営をしたいという意見を尊重して、このように役職を持たない業態に変えることになりました。私が社員となって皆に仕えることで、この会社が飛躍するのではないかという希望を持ちました。私以外の全員が20歳代の若者なので、思い切って任せる決心をしたのです。私は同時に窓際族となり、スタッフを見守り続ける役目になりました」

「どのような会社形態に変貌したのですか?」
 
「仕事はすべて平等、問題点はすべて合議制とし、会計内容もスタッフ全員に公開、ガラス張りとしました。利益に関しても平等に還元する利益還元方式にしました。全員が社長という考えですから大変かもしれませんが、やる気が違います。もともとクロス張りの仕事は数名で行う仕事ですから、1カ所の現場をそれぞれのチームが分担するようにしています。私が社長でいた頃よりも業績は上向きとなりました。それだけ私の経営能力がなかったのです…」
 
そこで数人の社長に訊ねてみた。

「以前の社長は超ワンマンで、みな嫌っていました。一番嫌なところは、私たちの考えを聞いてくれなかったことです。確かに我々は若い、的が外れている意見も多かったと思うのですが、いつも聞いてほしいと願っていました。その社長がある日、会社を辞めると言い出したのです。もちろん年齢のこともわかります。高齢者ですからね。我々はそのとき、この会社を任せてくれないかと提案しました。一瞬、社長は驚いていましたが、数日してすべてお前たちに任せる、好きなようにしてみなさいと言われたのが始まりでした」
 
「社長はそのとき、どうしてそう考えたのですか?」

「嬉しかった。ただ嬉しかったです。私にも会社に対する愛着があります。このまま辞めたくはありませんでしたが、子どももいませんでしたから、後継者がおりませんでした。ここにいるスタッフが私の子どもたちだと思って今まで接して来ました。彼らから見れば厳しい親父だったと思います…」
 
「そうです。我々にとっては親父同然、とても感謝していました。今度は我々が社長を雇う番が来たと考えました。こう見えて、社長はとても優しいところもあるのですよ~」
 
彼には息子たちが15人。逞しく育った後継者たちがいた。

こんな会社もあるんだね。
こんな社長もいるんだね。
 
彼はここにいる若者たちに希望を持ったんだ。

©NPО japan copyright association Hiroaki



※クロス屋さんのお仕事を知らない人のために~
クロス屋さんって、こんなお仕事しているんだよ~
(参考資料)


©NPО japan copyright association 

2.そう、みんなが社長なんだ~そう、みんなが経営者なのさ~


世の中、後継者、跡継ぎの問題でたくさんの人が困っているようだけれど、どうして困っているの?
自分が汗水たらして創業してきた会社を守りたい、守り続けたい、残したいと願う。
それだけの歴史と愛情を持っているのだから当たり前だと思うけれど、それって必ず、自分の息子さんや娘さんでなければいけないの?
どうして、そんなに血縁に拘るの?
世の中では当たり前のことかもしれないけれど、不思議に思うcoucouさんなんだ。

そう、みんなが社長なんだ~
そう、みんなが経営者なのさ~

さて、coucouさんのこの会社のお仕事内容をお話するね。

相変わらず、coucouさんはオブザーバー~

現場の働きさんたちの声を聞く場を作るだけ。
どうしてって、その中には必ず、ヒントが隠されているからなんだよ~

さらに、coucouさんの学びになる。

こんな素敵な勉強方法はないよね。

ここで少しばかり専門的なお話をするね。
クロス屋さんのお仕事はね、壁紙を張ったり、床張りの専門。
新しい家やマンションならば「下地調整(きれいに貼れる平面)」が楽だけれど、古い家やマンションなどは、「はがし作業」があり、剝がした後の下地調整に時間がかかってしまう。

そのため、新規に貼るよりも、張替えは下地を平らにするだけでも手間と時間がかかってしまう。(壁紙をはがした後処理)
すると、新規よりも費用が割高となる。
また、値引かれでもすれば、利益など簡単に失ってしまう。
(実際にやってみないと手間がわからない)


そんな問題点をみんなで話し合った。
すると、まだこの会社に入社したばかりの24歳の若者が、ボソっと話したんだ。その言葉はね、素人ぽいかもしれないけれど、
「剥がし、張替がなければ楽なのにね…」
「…」

その通り~
誰もが黙ってしまった…。

そして、その彼は、またボソッと。
「クロス屋の仕事って意外と手間ばかりで儲けが薄いような気がする。この仕事以外の方が効率が良いかも…」

その通り~

またまた、みんなは黙ってしまったんだ…。

coucouさんはここで質問をした。
「じゃあ、どうしたらいいと思う?」

「僕はこの仕事がいやじゃあないのですよ。みんなのことも好きだし、この会社も好きです。ただ、みんなでこんなに頑張っているのに利益が薄すぎる気がする。問題はもっと、儲けをだしたい…」

coucouさんは、もう一度質問をした。

「何か知恵はあるの?」

「笑わないで下さいね…。壁紙を張らないで色を塗ったらどうかな?もちろん、穴が開いている場所、傷ついている場所、古くなっている場所は一部パテで補修、修整してきれいに色を塗ったらどうかな?」

みんな、ここで大笑い~

そんなの無理~

大半はあきらめ顔…。

凄い~
素晴らしいアイデアだね~
coucouさんは、彼を褒めたたえた…。


このあと、とてつもない奇跡が起こる~

凄い、逆転現象が起きたんだ~

©NPО japan copyright association Hiroaki




©NPО japan copyright association 

coucouさんです~
みなさん、ごきげんよう~

ああ~
やっぱり文章に終わりがない~
読んでくれている、みんなが嫌になっちゃうよね~

毎回、申し訳なく思っている~

だけどね、このようなアイデアや発想がクリエイターさんたちのお役に立つと、勝手に思い込んでいる。

もう、プロや専門家さんの時代じゃあなくて、素人こそが、現場を知っている人こそが本当の専門家のような気がする。やっぱり、体験や経験って凄いことだよね。

さて、このクロス屋さんがね、全国を制覇するんだ~

「笑わないで下さいね…。壁紙を張らないで色を塗ったらどうかな?もちろん、穴が開いている場所、傷ついている場所、古くなっている場所は一部パテで補修、修整してきれいに色を塗ったらどうかな?」

この一言でね~

つづく~

ごめんなさい~


coucouさんのホームページだよ~みてね~

 
©NPО japan copyright association
©NPО japan copyright association Hiroaki
Character design©NPО japan copyright association Hikaru








 
 

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