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2023年12月の記事一覧

【詩】海の底でも

置いておく場所がなくなったので
写真をたくさん捨てた
これで思い出せなくなることがまた増えた
風の吹かない朝
月の出ない夜
もしも逃げだせない時は
いつでも電話してほしい
海の底でも
崖の上でも
あのファミレスでも
どこへだって迎えにいくよ

【詩】あとの二人

100人いたら
90人は同じようにやるだろう
5人は変わり者だと笑われ
3人は金持ちになり
あとの2人は今も行方知れず
あのことを告白するのは
もう少し後にするよ
雨が埃を流した頃
ぬかるみにそっとつける足跡のように
君が私を忘れた頃
その髪をなでる風のように

【詩】海の町の嘘

君の町の海は宝石みたいに輝く緑色で
この町の海は見慣れた灰色
知らない人が人気者になって
すぐに忘れられていった
少しだけ信じていたあの予言が
当たっていた世界のことを考えてみる
「小説は読まない。だって全部嘘だから。」
そう言いながら 私の話はいつも聞いてくれたね
全部嘘かもしれないのに

【詩】昇る時と沈む時

太陽が昇る時と沈む時、
どちらが美しいと思う?
君は昇る時で
私は沈む時だった
君の好きな人は
私の嫌いな人で
君がとっておきの日に選んだ服は
私が苦手な紫のジャケット
いつか今日と同じ悲しみに出会う時には
思い出すことくらい許してくれよ
まぶしすぎる朝日と
しずかな夕暮れの色

【詩】偽物

本物の星は手に入らないから
星空の絵を描いた

本物の月は手に入らないから
紙を切り抜いて作った

それでも足りなかったから
庭の木に電球を吊るして
光らせてみたりした

本物の君にはもう会えないから
君が好きだった歌を聴いている