につき
エッセイを集めます。
抒情詩たち
物語詩を集めます。
(あらすじ)北の深い山にまだまだ熊たちが沢山いたころです。熊の中には、神様から生まれたものが混ざっていました。その名を「キカリ」と言いました。これは、そのキカリの母子熊の物語です。(一話冒頭)
詩情と呼ばれるテーマが、消えてしまうまでに、言葉が間に合うように。 短くもっと短く / ろうそくの燃えるほどに / 命はこんなに燃えている
晴れた川縁に 桜並木が 満開に咲き誇るころ 澄んだ水は輝き 緑がねばるように薫り始める 菜の花が黄一面に野を埋める 錆の野良猫がのんびり欠伸する 明るい日差しに 子ど…
詩は古くよりあった 物語よりずっと古くよりあった 詩とは比喩により掴み難き意味を分からせるための形 それは形式であって思想ではない それはレトリックであり真意はな…
奏でられる歌たちは 美声を求められている 春の夜はまだ明るい 弦楽器に弾かれる露は 瀬戸内のゆるやかな海へ 祖母と向かった列車を連れていく 記号に意味があると信じて…
美人とは 嘘と欺瞞と 商業的な利己のための 操作と支配であると 65% 独りとは 一人きりの孤独を 抱き耐えるのではなく 久遠との対話であると 20% 曖昧さとは 混ざり合う…
それらの言葉を知らずに運ぶ ひたすらに嘘を知らず ひたすらに身を削り ひたすらに生命は通信する その意思を知らず ひたすらに醜い言葉を吐き ひたすらに己に閉じこもり …
すっかり春になり 手入れされた 明るい川辺に 今年も桜が咲いた 並木の下を 恋人たちが手を繋いで歩く 子どもは母親と手を繋いでいる 暖かな曇り空の下 真っ黒な林を背に …
見た者が悲鳴を 上げるような絵を 真っ黒な影の絵を 恐らくわたしは 描くことが出来る しかし本物の 美しい花一輪を 描きたいとずっと 想い続けている 儚げなそして 凛と…
春の公園に 一人座り 面影が押し寄せた わたしはここに生きていて あなたはもういないのだと 心の何処かが血を流した いつか 薄れていく痛みを 裏切りだと何処か感じた …
左手の爪を全て剥がした 血まみれの痛みを 利き手じゃないから いいでしょうと言う 熱帯夜から程遠い 甘やかな春の夜の香が 奥底に眠っていた狂気の 蕾を開花させようとし…
吐息を生む その前の 雪の冷たさに 遠く近く 突然の雷鳴に似た 生まれ変わりを 強制するごとく 出来事は 容赦なく訪れる 春が近づくに連れて 乖離する過ちと 許されようと…
かつての憧れが 隣にまだある 呼ぶ声はいつも 異材を溶融する プラズマの真白な炎 きっと心を抑えて 淡々と謡えばいいのだと それで見えないところで 世界は綺麗になるの…
かつての炎が 今は消え しかし確かに燃えていたこと そのことを夢に見る 失った生家がまだ 夢の中で建っている その中に見知らぬ誰かが 棲んでいて 誰だと問う 或いは 先…
この世に 初めて咲いた花は きっと小さくて それでも まっさらな朝の 一つだけの夢だったことを 真冬の 窓ガラスに映る 静かな夜に 明日を待たない あなたの 憂いの瞳に …
パステルの 暖かな靄に潜む 冷たい刃たち もはや 穢れたままの 流れを泳ぐ我ら 曖昧な 揶揄追従だらけ 奇怪な物陰が 面白いと 壊れた継ぎ接ぎの 素直を 眺めているだけ レ…
波は 果てのはじまりを 知らないままに 溶けあっている 止め処なく 冬曇りの空と海と 道は家へと続く 子どもは 冬晴れを悲しんでいる 帰りたくなくて、 心地よさだけで足…
わたしは猫を飼っている。その猫の毛並みを撫でていて思う。懐かしさ、郷愁、慈しみ、そして喪失感。 そして、わたしの最も奥底に疼くものを感じる。 抑えきれない欲求の源…
2024年5月5日 01:07
晴れた川縁に桜並木が満開に咲き誇るころ澄んだ水は輝き緑がねばるように薫り始める菜の花が黄一面に野を埋める錆の野良猫がのんびり欠伸する明るい日差しに子どもは母親と手を繋いで歩く明るい幸せの風と光が道に街に野に訪れているしかし陽が暮れて影が濃くなれば今わの際に在る者たちは寂しい春の夜風に誘われてしまうもう餌を取れず草むらに倒れていた老いた獣が立ち上がり静かな
2024年4月30日 00:16
詩は古くよりあった物語よりずっと古くよりあった詩とは比喩により掴み難き意味を分からせるための形それは形式であって思想ではないそれはレトリックであり真意はないそれは方便でありふんわりと意味を感じさせる形それはやわらかく伝えるための語りであった今や詩は何処へ行ったのか経典のそれと異なり何時しか人心と乖離している詩は大衆へ向けてのものだった詩は分かりやすくするための言葉だった
2024年4月16日 22:36
奏でられる歌たちは美声を求められている春の夜はまだ明るい弦楽器に弾かれる露は瀬戸内のゆるやかな海へ祖母と向かった列車を連れていく記号に意味があると信じていたまだ目もはっきりと見えないころに黒い猫と地震に怯えた思い出という誉よりもずっと黒い絵を描き切れず傷痕は透明に包まれてしまった花見の席の直ぐ傍の桜の下で首縊りがあったのだそれは本当に他人事であったのかおおよ
2024年4月16日 22:19
美人とは嘘と欺瞞と商業的な利己のための操作と支配であると65%独りとは一人きりの孤独を抱き耐えるのではなく久遠との対話であると20%曖昧さとは混ざり合うべきでないものたちが不当に混ぜ合わされているから静寂と安寧の中で分離していくと7%雷鳴とは春の夜に激しく屋根を打つ雨と速やかに去ってしまう閃き瞬間の轟く言葉だと8%
2024年4月16日 11:02
それらの言葉を知らずに運ぶひたすらに嘘を知らずひたすらに身を削りひたすらに生命は通信するその意思を知らずひたすらに醜い言葉を吐きひたすらに己に閉じこもりひたすらに失うことを恐れ続ける放逐されたとまるで拗ねて迎えを待つようにどうせ救われないのだからとどこかに正しさがあるはずだと正しさはこの世にない苦しみだけが燃えているそれらの言葉の中に正しさはない過ちを余りに含み
2024年4月8日 22:02
すっかり春になり手入れされた明るい川辺に今年も桜が咲いた並木の下を恋人たちが手を繋いで歩く子どもは母親と手を繋いでいる暖かな曇り空の下真っ黒な林を背に桜が妖しく映えおいでおいでと手招きして誘うように燐光しているわたしたちをこれほどまで深く妖しく魅了する桜には秘密がある夜になり桜の老樹の根元から呻く声が低く響く果たされなかった恨みが報われなかった祈りが
2024年4月8日 21:55
見た者が悲鳴を上げるような絵を真っ黒な影の絵を恐らくわたしは描くことが出来るしかし本物の美しい花一輪を描きたいとずっと想い続けている儚げなそして凛とした輪郭の不意に現れる姿の無い気配を消えてしまう姿をそうして風景は余りにも巨大で完全だからわたしにはとても描きとれないからその影だけを写しとり始めたそれはやがて線になり文字になり言葉になっただか
2024年3月23日 23:58
春の公園に一人座り面影が押し寄せたわたしはここに生きていてあなたはもういないのだと心の何処かが血を流したいつか薄れていく痛みを裏切りだと何処か感じた深海魚の骨がマリンスノーのやわらかな深みへ沈んでいくそうして夢にばかり毎日現れた面影を何処か疎ましく思いながら消えた生家の中で笑い合っていた人は消えない繋がりある限り続くその為にわたしもまた繋げたの
2024年3月23日 22:23
左手の爪を全て剥がした血まみれの痛みを利き手じゃないからいいでしょうと言う熱帯夜から程遠い甘やかな春の夜の香が奥底に眠っていた狂気の蕾を開花させようとしているねばねばとした若葉の緑の裏切りに似た香り諧謔の夜であった冬が遠く何者かであろうとしたい春が来る愚かさが激しく押し寄せる時遅れをぼやかせる桜色の霞それでも憂いは刻まれている暗闇は木々の影に土はまだ冷たい
2024年3月23日 21:53
吐息を生むその前の雪の冷たさに遠く近く突然の雷鳴に似た生まれ変わりを強制するごとく出来事は容赦なく訪れる春が近づくに連れて乖離する過ちと許されようとする頬の緩みどこにも行き場のない葛藤が春霞に燃える愚かさが跋扈する桜色の惚け「春先にはおかしな人が増えるから気をつけなさい」引き裂かれるような気がして狂いが呼び覚まされる三寒四温に暴走する無明の精神無
2024年3月23日 21:23
かつての憧れが隣にまだある呼ぶ声はいつも異材を溶融するプラズマの真白な炎きっと心を抑えて淡々と謡えばいいのだとそれで見えないところで世界は綺麗になるのだと言葉はとても残酷で丁寧に来し方をなぞり行き方を暗示する我らは言葉から始まったそして超えるために追い求めて止まない声は文体と一体のメタファーとなり啓示は語と語の溶融するビートに現れる引き裂く境界を超えん
2024年3月21日 23:47
かつての炎が今は消えしかし確かに燃えていたことそのことを夢に見る失った生家がまだ夢の中で建っているその中に見知らぬ誰かが棲んでいて誰だと問う或いは先祖であろうか見知らぬどこか懐かしい顔が恨めし気に見つめる何処か暗いそれでもなぜか遠く明るい何処にもない家屋の中でまだ消えていないと何時までも続いているのだと青い炎が瞳に宿る余りに静かな永遠の午後
2024年2月1日 00:28
この世に初めて咲いた花はきっと小さくてそれでもまっさらな朝の一つだけの夢だったことを真冬の窓ガラスに映る静かな夜に明日を待たないあなたの憂いの瞳につめたくてやわらかなゆきがふることをおはよう いい天気こんにちは よいお日和こんばんは いい夜挨拶たちはふたりでしあわせを願い合うと始めて本当になるそのためにあることをだからつまりまたねさようなら
2024年1月13日 22:16
パステルの暖かな靄に潜む冷たい刃たちもはや穢れたままの流れを泳ぐ我ら曖昧な揶揄追従だらけ奇怪な物陰が面白いと壊れた継ぎ接ぎの素直を眺めているだけレトリックではないぎこちない言葉の表側歪が明らかな者には境界が引かれるリストに載せられた剥き出しの心社会より隔絶される本当の純真嘘の無い者に冬の雨が降る凍てた分水嶺に穴の開いた頭蓋骨が沈む表情は
2024年1月11日 18:14
波は果てのはじまりを知らないままに溶けあっている止め処なく冬曇りの空と海と道は家へと続く子どもは冬晴れを悲しんでいる帰りたくなくて、心地よさだけで足を運ぶとぼとぼ下を向いて窓に烏らが騒ぎ冬の雨を呼んでいる群れは夕暮れに大きく今も鳴く
2024年1月10日 17:41
わたしは猫を飼っている。その猫の毛並みを撫でていて思う。懐かしさ、郷愁、慈しみ、そして喪失感。そして、わたしの最も奥底に疼くものを感じる。抑えきれない欲求の源。暴発しそうな喚き。水底に届く月光のような寂しさ。抗えない衝動。それらが言葉ではとても抑えきれない。それでも何とか社会的に生活するために建前としてあろうとしている。しかし、一方でまったくの晴天のような知性の静かな青もまた心地よい。動物だ