猫と人との矛盾(エッセイ)
わたしは猫を飼っている。その猫の毛並みを撫でていて思う。懐かしさ、郷愁、慈しみ、そして喪失感。
そして、わたしの最も奥底に疼くものを感じる。
抑えきれない欲求の源。暴発しそうな喚き。水底に届く月光のような寂しさ。抗えない衝動。それらが言葉ではとても抑えきれない。それでも何とか社会的に生活するために建前としてあろうとしている。
しかし、一方でまったくの晴天のような知性の静かな青もまた心地よい。動物だったころ、この静けさはなかっただろう。しかし、もしかして穏やかでどこまでも平和な