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春の狂気

吐息を生む
その前の
雪の冷たさに
遠く近く
突然の雷鳴に似た
生まれ変わりを
強制するごとく
出来事は
容赦なく訪れる

春が近づくに連れて
乖離する過ちと
許されようとする
頬の緩み
どこにも行き場のない
葛藤が春霞に燃える
愚かさが跋扈する
桜色の惚け

「春先にはおかしな人が増えるから気をつけなさい」

引き裂かれるような
気がして
狂いが呼び覚まされる
三寒四温に
暴走する無明の精神
無表情の年知らぬ心
我知らず叶えられぬ願望
傲慢など知りもしない狭窄
それなりのロジックで
春に狂う
生きている身体を持つ
留まろうとする精神